非定型抗精神病薬の一覧
2020年1月27日 丿貫 コメントをする
ネットより参照
https://hechikan.net/medicine/atypical-antipsychotics
承認年
承認 商品名 一般名
1996 リスパダール リスペリドン
2000 ルーラン ペロスピロン塩酸塩
ジプレキサ オランザピン
セロクエル クエチアピンフマル酸塩
2006 エビリファイ アリピプラゾール
2008 ロナセン ブロナンセリン
2009 クロザリル クロザピン
リスパダールコンスタ リスペリドン
2010 インヴェガ パリペリドン
2013 ゼプリオン パリペリドンパルミチン酸エステル
2016 シクレスト アセナピン
2017 ビプレッソ クエチアピンフマル酸塩徐放錠
2018 レキサルティ ブレクスピプラゾール
非定型抗精神病薬とはそれまで使われていたクロルプロマジンやハロペリドールといった定形薬と薬理学的性質が異なる。
定形は主にドパミン受容体を遮断するのに対して非定型はセロトニン受容体やその他の受容体にも作用して陽性症状だけでなく陰性症状も改善する力がある。
定形使うと暴れる患者さんは何とか鎮静できたけど感情が無くなったりやる気が無くなってしまい社会生活が送れなくなった。
そんな患者さんに陰性症状に効果がある非定型を使うと社会生活能力が戻ってくる
マイルドな印象の非定型抗精神病薬だが代謝系に対してはクロルプロマジンよりも強く影響するので一部の薬は糖尿病患者に禁忌となっている。
非定型抗精神病薬の一覧
セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)
商品名 リスパダール ルーラン ロナセン
リスパダール錠1mg ルーラン錠8mg ロナセン錠4mg
一般名 リスペリドン ペロスピロン ブロナンセリン
リスペリドンの構造式 ブロナンセリンの構造式
日本承認 1996年 2000年 2008年
開発 ヤンセン 大日本住友 大日本住友
製造販売 ヤンセン 大日本住友 大日本住友
CP換算 1mg 8mg 4mg
1日上限量 12mg 48mg 24mg
妊娠(豪州) C N/A N/A
授乳(Hale) L2 N/A N/A
特徴
SDAのfirst in classであり基準薬
非定型薬にしては抗陽性作用が強い
高プロラクチン血症がでやすい
液剤は即効性だが苦いGFJ味
代謝酵素が日本人で個人差がある2D6
1日6mgを超えるとSE出やすい
内用液はコーラやお茶に混ぜると薬効が低下
陰性症状や認知障害に有効
同製薬会社のタンドスピロンが元
ブスピロン的(日本未承認
5-HT1Aアゴニストで抗不安作用あり
D2に強く結合するがすぐに遊離
なのでEPS少ない
代謝物のヒドロキシペロスピロンが本剤よりも活性
D2結合親和性はRPDより強い
なのでSDAというよりDSA
ドパミン受容体以外に作用しにくい
なのでH1遮断による眠気やα1遮断の低血圧が少ない
非鎮静系で過鎮静は少ない
陰性症状でRPDに対して非劣勢
16mg/day以上でEPSリスク↑
空腹時より食後の方が吸収率高い
商品名 インヴェガ リスパダールコンスタ ゼプリオン
インヴェガ錠3mg リスパダールコンスタ ゼプリオン
一般名 パリペリドン リスペリドン パリペリドンパルミチン酸エステル
パリペリドンの構造式 リスペリドンの構造式 パリペリドンパルミチン酸エステル
の構造式
日本承認 2010年 2009年 2013年
開発 ヤンセン ヤンセン ヤンセン
製造販売 ヤンセン ヤンセン ヤンセン
CP換算 1.5mg N/A N/A
1日上限量 12mg 50mg 150mg
妊娠(豪州) C C C
授乳(Hale) N/A L2 L2
特徴
リスペリドンの活性代謝物9-ヒドロキシリスペリドン
1日1回朝(夕は効果が落ちる
放出制御システムOROSで徐放
4日間で定常状態
非定型抗精神病薬で唯一の腎排泄
Ccrが50ml以下は禁忌
空腹時に服用で吸収率↓
マイクロスフィア内に封入
疼痛が少ないが冷たいままだと痛い
2週間に一回
注射部位は臀部筋肉内
まずは内服薬で相性を確認
効果立ち上がりは3週間程度
最初は錠剤と併用
冷所保存
4週間に一回
注射部位は三角筋又は臀部筋内
初回150mg、1週間後に100mg、4週間ごとに75mgを筋注
RPDコンスタ50mgから切り替える場合は最終投与から2週間後に本剤100mg
インヴェガ錠とは併用必要無し
常温保存
多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)
商品名 クロザリル ジプレキサ セロクエル
クロザリル錠100mg ジプレキサ錠2.5mg セロクエル錠25
一般名 クロザピン オランザピン クエチアピン
クロザリル オランザピン クエチアピンフマル酸
日本承認 2009年 2000年 2000年
開発 ノバルティス イーライリリー アストラゼネカ
製造販売 ノバルティス イーライリリー アステラス
CP換算 50mg 2.5mg 66mg
1日上限量 600mg 20mg 750mg
妊娠(豪州) C C C
授乳(Hale) L3 L2 L2
特徴
MARTAの始祖
第二世代で最強
主な作用機序はD2ではない
なのでEPSが起こりにくい
1958年に合成された歴史ある薬
しかし無顆粒球症という怖いSEのせいで開発・販売中止となった過去。
白血球数が4,000未満or好中球数が2,000未満は中止
無顆粒球症は開始18週以内におこりやすい
なので18週間は院内管理
難治性統合失調症において著効する事があるので見直されて発売再開
2種類以上の抗精神病薬を試して無効だった場合に
クロザリル患者モニタリングサービスに医師も患者も登録が義務
クロザピンがseedの米国産
半減期が長く1日1回でD2遮断
賦活作用が強い
肥満は最強クラス
高血糖になりやすいのでDM禁忌
しかし米国でDMは注意非禁忌
ザイディスは口腔粘膜から吸収されないので飲み込む
認知症の攻撃性に(適応外
抗がん剤服用時の吐き気止め
GEはメーカーにより動態にバラつき
CYP1A2で代謝されるので喫煙すると効果が低下する。
クロザピンがseedの英国産
陰性症状に効果的
老人認知機能も
双極性障害のうつ病に効果が高く適応外で長らく使われていたがビプレッソが新規製
剤として登場
D2に対して緩く結合するのでEPS↓
しかし半減期が短いので1日2回以上服用
選ぶメリットはEPSの少なさ
体重増加はするがオランザピンよりマシ
H1親和性のため眠気は出る
色んな意味でオランザピンよりマイルド
商品名 シクレスト ビプレッソ
シクレスト錠5mg ビプレッソ錠50mg
一般名 アセナピン クエチアピンフマル酸塩徐放錠
クエチアピンフマル酸
日本承認 2016年 2017年
開発 米メルク アストラゼネカ
製造販売 meijiseika アステラス
CP換算 N/A N/A
1日上限量
20mg(適宜) 300mg
妊娠(豪州) C C
授乳(Hale) L3 L2
特徴
舌下投与タイプ
舌下投与後10分間は飲食禁止
舌のシビレや膨張
1時間もすればシビレは消える
飲み込むとAUC2%以下に低下
5-HT1A刺激作用
抗コリン作用は少ない
DMが禁忌ではない
CYP2D6を阻害するのでパキシルとか併用注意
クエチアピンの徐放製剤
双極性障害におけるうつ
1日1回就寝前
導入1回50mg,維持1回150mg
食後に服用すると血中濃度が↑てしまうので空腹時に服用
ドパミン・システム・スタビライザー(DSS+SDAM)
商品名 エビリファイ レキサルティ
エビリファイ錠3mg レキサルティ錠2mg
一般名 アリピプラゾール ブレクスピプラゾール
アリピプラゾールの構造式 ブレクスピプラゾールの構造式
日本承認 2006年 2018年
開発 大塚 大塚
製造販売 大塚 大塚
CP換算 4mg N/A
1日上限量 30mg 2mg
妊娠(豪州) C C
授乳(Hale) L2 L3
特徴
大塚として最大ヒット商品
ムコスタ、プレタール、と同じキノリノン骨格
脳内ドパミンを整える部分作動薬
シナプス前D2を刺激してシナプス後D2を遮断する事による
少量でうつに効果
高用量で鎮静するので躁病に効果
しかし過鎮静にはなりにくい
吐き気でドロップアウトしやすい
液剤は不穏時の頓服に効果的
エビリファイの後継者
より副作用を少なく進化
ドパミン受容体からセロトニン受容体にフォーカスを移動させたSDAM
5-HTに作用するので陰性症状に効果
直接刺激作用があるからSSRI等再取り込み阻害薬より早く効果が出る。
アカシジアがエビリファイよりは少ない