障碍者福祉制度改革について
昨年2011年8月30日内閣府の作業部会「障害者制度改革推進会議総合福祉部会」において、障碍者に係る総合的な福祉法制となる「障害者総合福祉法」(仮称)の制定に向けた骨格提言がまとまりました。厚生労働省はこれを全く無視して法案化を進め、国会へ提出しようとしています。
障碍者制度改革スケジュール(政府発表)
国のそれぞれの法案の審議と国会提出の予定は次のとおりです。
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障害者基本法
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障害者総合福祉法
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障害者差別禁止法
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障害者自立支援法
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平成
23
年度
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▼法改正・制度改革推進体制等の法案を提出(予定)
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総合福祉部会において検討
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差別禁止部会にて検討
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年度内に全福祉施設が新体制移行完了
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平成
24
年度
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次期障害者基本計画の決定
12月目途)
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▼障害者総合福祉法案の国会提出
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差別禁止部会にて検討
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利用者負担金の見直し検討
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平成
25
年度
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平成25年8月までの施行を予定
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▼差別禁止法案国会提出
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▼総合福祉法が通れば廃案
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国の計画では、障害者自立支援法は平成25年6月までに廃案。平成25年7月に障害者総合福祉法の施行を予定されているということです。
年度途中の法改正は、様々な困難が考えられるため平成26年4月からの障害者総合福祉法完全施行となりそうです。が、自立支援法も平成18年10月という時期に移行基準日とした経緯もあり、これもまだなんとも言えません。
福祉施設種別・形態がどうなるかは全く不透明な状況ですが、障碍種別の枠を取り払い、生活介護型と福祉就労型と地域移行型の大枠は崩れないと思われます。
障碍福祉制度改革の基本
制度改革の基本的な考え方
障害者権利条約の締結に向け、国内法制度をその理念・趣旨に沿う形で整備することを基本として、障碍の有無にかかわらず、それぞれの個性の差異と多様性が尊重され、それぞれの人格を認め合う「共生社会」を実現することを目的とし、制度改革を進めるに当たって次の6点を基本として改革に当たっています。
1.
障碍のない人との平等と公正
障碍者とそうでない人との生活水準や暮らしぶりの隔たりをなくし、障碍があるないにかかわらず市民として尊重され、誇りを持って社会に参加できるようにする。
2.
谷間や空白の解消
障碍の種別間の谷間や制度間の空白を解消する。
3.
放置できない社会問題の解決
どんな障碍があっても地域で暮らしていけるように支援体制を確立し、効果的な地域移行プログラムを確立する。
4.
格差の是正
どんな障碍があっても、また、何処に住んでいても、一定水準以上の支援を受けられるようにする。
5.
本人のニーズにあった支援サービス
「本人が望む生活スタイル」が尊重される支援サービスの決定システムを開発。
6.
安定した予算の確保
安定した障碍者予算を確保するため、給付・負担の透明性、納得性、優先順位を明らかにし、財源確保について広く国民から共感を得る。
H24(2012)年2月8日(水)第19回総合福祉部会が開かれました。部会は大荒れに荒れました。結局自立支援法は廃案になるようです。厚労省側は、今まで新法に関わる骨格提言が何も反映されないものとなりました。部会のメンバーは、厚労省側の発言に唖然として何も言えないようでした。それはそうでしょう。与党民主党は、政権をとってから、マニュフェストで障害者自立支援法を廃止にして新たに障害者総合福祉法を制定すると明言したのにと。障害者福祉法制をよりいい形にしてくれるものと総合福祉部会のメンバー55人は今まで会合を開いて骨格提言を検討しました。私は、メンバー達の仕事を労うことができませんでした。(私の心の中で)厚労省側は、骨格提言に対して何も回答をせず、全くのゼロ回答でした。私は、これからの総合福祉法が心配でなりません。法名だけ変えて、中身は自立支援法のままの内容で押し切られてしまいそうです。民主党は言ってる事とやってる事が違う、一体何を考えているのだろう。
(※文中、法律名称や印刷物等の固有名詞で使われる場合は「障害」記載を使用しています。)
【編集後記】今まで障碍者福祉は障碍を持つ当事者を「施し」の対象として扱ってきました。障碍者福祉法制は「恩恵」でなく「人権」の問題です。障碍のある人々を権利の主体として位置づけ、障碍の無い市民と同等の市民生活を送ることについて合理的配慮を前提に保障する。その具体的手立てを実体法である障害者総合福祉法(仮称)で具体化し、法的担保をはかるというパラダイムシフト(価値観の変化)はまさに歴史的内容といえます。私は、ボンクラだから、詳しくは障害者総合福祉法のことは良くわかりません。ただ、簡単に考えると私は、当事者が自己決定による生き方を選択したなら、我々CIL(自立生活センター)の職員は、当事者のニーズを大切にして実現したいと考えています。全国のCILで働く当事者職員は、当事者の自己決定・自己実現・自己責任を自覚できるようにピア・カウンセリングやILP(自立生活プログラム)を行い、当事者に自立の根本概念を伝えます。我々当事者は、何処で誰とどんな生き方をするか自由に決める事ができます。病気や障碍を持っているだけの理由で病院や施設で必ず入所して生活する必要は無いと思います。それだから障碍者が地域で過ごしやすい障害者総合福祉法が必要なのです。当事者であれ・健全者であれ、地域社会で自立生活を始める事は良い事だと思います。当事者が、病気や障碍で自分ではさまざまなことができなければ介助者についてもらい生活のサポートをしてもらえばいいのです。ただ、どんなときも自立生活の3J;自己決定・自己実現・自己責任は自分で担う事です。私も、援護寮ヒエダで様々な生活訓練を行い、自立生活をしています。不安な事もありました。私は、母が生きている間に自分の生活を安定させて仕事を持つ事を自己決定しました。そして、自己実現・自己責任を担って生きています。どんな時も私は、あせらず・がんばらず・むりしないで生きています。私の周りには、相談に乗ってもらったりサポートしてくれる人達がいます。私は、彼らのお陰で何とか生活しています。
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