メンタルにゅーすVol.106

メンタルにゅーすヒエダ

 

統合失調症者

タバコ

2012年  Vol.106

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

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統合失調症・タバコについて

統合失調症の人の喫煙率は8090%にも及び、喫煙率は一般人の3倍近くあり、飛び抜けて高いといえます。統合失調症とタバコの関係について紹介していきます。

統合失調症とタバコの関係

統合失調症の人の喫煙率が8090%にも及ぶことは、いくつかの研究で明らかになっています。統合失調症以外の精神病患者の喫煙率は約50%で、一般の人の喫煙率はおよそ30%ですから、統合失調症の場合は、飛び抜けて高いといえます。統合失調症の人に、どうしてヘビースモーカーが多いのかは、はっきりとはわからないのですが、理由として、いくつかのことが推測されます

●自己治療説

ニコチンは、人によっては不安を緩和し、眠けを抑え、集中力を高めるように作用します。この効果が、統合失調症の人にとっては、一種の自己治療となっていると考えられています。また、統合失調症に特有の脳機能(音感識別)の障害が、喫煙によって一時的に改善したり、抗精神病薬の副作用で起こるパーキンソン症状が、喫煙によって軽くなることも、調査で明らかになっています。つまりタバコを吸うことは、統合失調症という病気にとって、プラスに作用することもあるらしいのです。

●受容体への影響

ニコチンは、脳の神経伝達物質の受容体に影響を及ぼすことがわかっています。具体的には、ドーパミンやセロトニン、アセチルコリン、ノルアドレナリンなどの放出を促進させます。脳にはまた、ニコチン受容体というものもあって、このような受容体との関わりが、統合失調症と関係していることも考えられます。

●コーヒーや紅茶との関連は?

統合失調症の人は、カフェインの摂取量も非常に多いとされています。ニコチンの場合ほど正確に計量化されていないですが、実際のところは、カフェインも神経伝達物質の受容体に作用し、ドーパミンやセロトニン、ガンマアミノ酪酸、グルタミン酸、ノルアドレナリンなどの代謝に影響を及ぼすと考えられています。一方、カフェインによって神経が過敏になり、不眠、興奮、頻脈、筋肉の痙攣が起こり、それによって統合失調症の症状が悪化することがあることもわかっています。また、コーヒーや紅茶は、抗精神病薬の吸収を妨げることがわかっています。症状の悪化は、そのためでもあると考えられます。

                          *ネット「統合失調症.com」より

 

 ここまで読んできて、統合失調症の人が喫煙率が高いのは何故かという疑問が残りますね。次に示すことが理由なのです。少し難しい専門用語の文章ですがひるまずにもう少し集中してください。

 

 ニコチン依存の多い理由

 タバコの煙が肺に吸い込まれると、一瞬のうちにニコチンは血流にのって脳にたどりつきます。そして、神経細胞の表面にあるニコチン受容体に結合します。このうち、特にニコチンと結合しやすいのは、a4と呼ばれるタイプです。低濃度のニコチンでは主にこちらに作用し、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出させます。コカインや覚醒剤に似た作用が、軽度ながらあります。タバコを吸ったとき、爽快感とともに、頭が冴えるように感じ、集中力が高まるのは、この働きによります。

 だが、その効果は、まったく一時的なものです。ニコチンの受容体は、脱感作(感受性を失い反応しなくなること)してしまい、反応しなくなります。しかし、さらに高濃度のニコチンを摂取すると、別の作用があります。高濃度のニコチンは、海馬の介在ニューロンの表面にあるa7受容体に結合し、GABAを放出させます。海馬の錐体細胞の興奮を鎮めてくれます。

 思考のまとまりがよくなったり、幻聴が減ることもあります。統合失調症の患者さんは、自己治癒のために高濃度のニコチンを求めてしまいます。

また、先ほど述べたドーパミンの放出を増やす作用は、薬の効果を打ち消し、錐体外路症状などの副作用を和らげます。さらにニコチンには抗精神病薬の代謝(分解)を活発にする作用があり、これも抗精神病薬の効果を緩和する方向に働きます。こうしたニコチンの作用を求めて、無意識のうちにタバコを手に取ってしまうのだと考えられます。実際、抗精神病薬をたくさん服用している人ほど、ニコチンを多く取る傾向がみられます。

「タバコばっかり吸って」と家族から白眼視され、肩身の狭い思いをしている患者さんも多いのですが、こうした原因が背景にあることも、理解しておく必要があります。

 現在、ニコチンのように効果がすぐ薄れることなく、また有害な副作用も少ないニコチン受容体の刺激剤の開発が進められています。

      参考文献「統合失調症」岡田尊司(おかだ たかし)  PHP新書

【編集後記】

 抗精神病薬を服薬すると喉が渇くのでよく水分を摂ります。私もそうですが、コーヒーをよく飲みます。多分、私は、コーヒーを飲む量が多いと思います。1日に16杯くらい飲んでいます。私はもう、タバコを止めて5年目に入りました。タバコ、コーヒー・紅茶は、ドーパミンなどの神経伝達物質のバランスを崩すので統合失調症の症状の悪化を誘発すると考えられています。ここ5年くらい、私は状態が安定しています。私の場合、タバコを止めたせいで薬が良く効いて、状態が安定しているのでしょうか・・・・・?私はかつて、かなりのヘビースモーカーでした。タバコをやめるのは、かなり苦しかったですが薬や主治医のおかげで何とかやめました。今回、長年の疑問の統合失調症の人は何故喫煙率が高いのか分かりましたので、心の中がすっきりしました。

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