メンタルにゅーすVol.107

メンタルにゅーすヒエダ

 

当事者の気持ちA

 

2012年  Vol.107

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

Tel(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL   http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 私は日中、覚醒時幻聴と妄想の症状が継続してありますが、私は何とか対処していると以前お話しました。そのお話を知り合いの心理士に話したことがあります。私だったら、SAMのように病気と障碍に対処できないと話していました。勿論、私も統合失調症を発病した30年前の私は対処ができませんでした。覚醒時、幻聴と妄想が継続してあるのに対処して仕事と生活を送っていることは、昔の私ならばそのこと自体が不可能で、病気と障碍に振り回されていたなと、現在の私は思い出します。私が、今ならば出来ることで昔ならばできないことは、幻聴と妄想に対処することです。

 私が、現在のように幻聴と妄想に対処できるようになったのは、下関の援護寮ヒエダに入寮して統合失調症の勉強をしてからです。その頃たまたま、自分の罹患している統合失調症に興味を持ち勉強を始めました。病気と障害、それらの対処の仕方、予後、薬、薬の副作用、副作用止めの薬等様々な事を本で読んだり、勉強したりしました。そうすることによって、今の症状は「病気の症状」、今の症状は「副作用の症状」などと自分自身で考えていました。そのように私に降りかかる病気や障害、幻聴と妄想など、統合失調症を勉強することで少しずつ理解できるようになりました。病気と障害を体験しながら勉強してくることにより、それぞれの実体験がありますので確実に分かってくるようになりました。私自身、発病して20年経過して何故勉強したのか理由が分かりませんでした。ただ単に、私の知的好奇心を湧かせたのが自分の罹患している統合失調症だったということです。当初、私は統合失調症に振り回されていました。病気のことは分かりませんので、勉強して様々な対処法を仲間に教えてもらったり、自分で考えたりしながら工夫して病気と障碍に対処できるようになりました。

 次に、私が考えたことは、私が稗田病院の敷地内にある援護寮ヒエダに入寮したことです。たまたま、入寮してすぐに「援護寮ヒエダ新聞」の編集をして毎月発行していました。それは精神関係の内容の新聞でしたので、よく勉強しました。その時勉強した知識が後年のCIL下関での仕事・地域社会での自立生活に役立ちました。施設など箱物のハード、施設の中の当事者達への対応の仕方のソフト的なもの様々なことが寮生たち・私にいい影響を与えたのではないかと思います。援護寮ヒエダでは、自立の3原則(自己決定・自己実現・自己責任)で施設長のUさんは私たち寮生に対応していました。この施設では、なんとなく私は感じていましたが、当事者という前にひとりの人間として対応してくれました。

援護寮の中では団体生活をしていますのでルール、施設内の掃除、職員〈健全者〉と寮生〈障碍者〉の対応の仕方、洗濯、整理整頓(自分の部屋、掃除)等様々な人間が社会生活するうえで大切なことをミニ社会の援護寮ヒエダの中で我々当事者は無意識に生活(訓練)していました。私は援護寮ヒエダで様々な経験をしました。今思えば、施設長・PSW(精神保健福祉士)・職員、寮生などの顔が走馬灯のように思い浮かびます。いい経験をしました。皆さん有難うございます。

 三つ目に私を変えたこと、私を受け入れたCIL下関の代表・事務局長・同僚の皆に巡り合えたことが私のこれからの生き方をも変えた気がします。代表のKは、「精神の当事者の場合、調子が悪くなり休んだりすることがあるので、在宅就労を考えているよ。SAMが働きやすいように就労の仕方を考えてください。」と私に仕事として指示がありました。

私が感謝していることは、私を統合失調症者より一人の人間として接してくれたCIL下関の上司・同僚の皆には、今でも感謝しています。ある面、彼らの存在は私にとって強みで、励まされます。そして、私に絶え間のないサポートをしてくれ、今の仕事があることに私は感謝です。皆さん本当に有難うございます。

 四つ目に絶えず自分の後に続く当事者が働きやすいように就労の仕方を工夫していました。私がCIL下関に入社したことで、私の後に続く精神障碍者がCIL下関に入社するかもしれないと考え、就労の仕方を工夫することによって働きやすい職場の実現に取り組みました。短縮就労(9-15)、超短縮就労(9-12)、欝のときは朝が辛いので時間差就労(10-16,早退,休暇をとるなどの工夫をしました。この就労の仕方を自ら調子の悪い時に体験してみまして、精神障碍者の就労の仕方を確立しました。その頃、CIL下関に統合失調症の女性が入社してきましたので、タイミングが良かったというか・悪かったというか・・・・・、彼女が調子を崩したとき話を傾聴し、CIL下関の精神の当事者の就労の仕方を話しました。なんとか、彼女が調子を崩す前までに就労の仕方のシステムができていて良かったです。

【編集後記】

 以前、知り合いの健全者が統合失調症に罹患するってどんな感じと尋ねられました。私は、行動や思考をある一定方向にまとめあげる統合することが上手くいかない病気と話そうとしました。しかしこの説明では、上手く伝わらないと思いましたので次のように話しました。私の体重が73kgですが、病気と障害で1.5(110kg)くらいの重さになり、その重さが足に荷がかかります。時には、1.2(88kg)であったり2倍(146kg)足に荷がかかり、重さが変わります。例えば、幻聴と妄想がセットで発現してマックスパワーで私に襲いかかられると、2倍(146kg)の体重の負担になり、状態が落ち着いていると1.2(88kg)の負担になります。私の場合、平均すると1.6倍(117kg)の負担が日中継続してあります。しかもこの状態は、私自身には現実、健全者には偽の現実、それが私には症状として幻聴・妄想が始終あります。私は、統合失調症と闘ったことがあります。見事に叩きのめされました。その次に私は、戦法を変えて統合失調症に向かいあっています。これで、3年間が過ぎ去りました。薬剤師の先生が「柳の木よ、SAM柳の木のように病気と障碍に向き合いなさい。」と教えてくれました。柳の木のように強い風が吹いてもしなりながら風の力を分散するように私も統合失調症に向かい合うようにしました。私は、統合失調症に叩きのめされてもただでは起き上がりはしません。必ず、成果を持って起き上がります。皆さん、病気と障碍には向かい合ってください。押せば引き・引けば押す柳の木のように・・・・・・・

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