根強い旧呼称の記憶
統合失調症に変更し10年
医学的に不適切な上、患者への差別や偏見を助長するとして「精神分裂病」の呼称が「統合失調症」に変更されて10年。しかし、いまだに認知度は旧呼称の方が高く、年代が上がるほどその傾向が強いことが、製薬企業ヤンセンファーマ
(東京)と精神・神経科学振興財団の高橋清久理事長が共同で実施した意識調査で分かった。
5月中旬、全国の20〜69歳の男女計500人を対象にインターネットを通じて質問した。
新旧の呼称を含めた13の精神疾患名を示し、聞いたことがある名前を複数回答で尋ねたところ、最多は92・4%の人が挙げたうつ病。次いで認知症(89・0%)、アルコール依存症(88・4%)の順だった。精神分裂病(64・6%)と統合失調症(55・6%)はそれぞれ7番目と8番目で、旧呼称の認知度が新呼称より9ポイント高かった。年代別では20〜30代で新呼称が旧呼称を上回ったが、40代で逆転、60代では新呼称の57・0%に対し旧呼称は88・0%に達した。
一方、呼称のイメージについては、統合失調症の方が「自分や身近な人がなった場合も抵抗なく使える」と93・0%の人が回答。家族が統合失調症と診断されたらどうするかを複数回答で尋ねると、「治療を勧める」(83・6%)と「入院を勧める」(18・8%)が上位で、「恥ずかしいので近所や知人には隠す」(3・6%)や「家族として受け入れられない」(1・8%)はごく少数にとどまった。
高橋理事長は「誤った認識による偏見や差別がなくなったとは言えない」としながら「新呼称は抵抗なく使える。病名の告知が進み、当事者や家族の病気への認識が高まり、治療に積極的に参加するようになる効果がある」と分析している。
からだ・こころナビ2012.08.07医療世紀 MEDICAL NEWS 2012.8.7参照
2002(平成14)年1月、日本精神神経学会の理事会において、それまで長年の間使われてきた「精神分裂病」という病名呼称が「統合失調症」へと変更されることが正式に決定されました。そのニュースは全国紙の一面を飾り、社説や一面のコラムでも取り上げられ、その後のマスコミ報道においても次第に「精神分裂病」から「統合失調症」への呼称変更が行なわれ、現在ではかつて聞く人に大きな誤解と偏見を与え続けてきた「精神分裂病」という呼び名を聞くことがほとんどなくなってきています。
この病名変更は当事者や家族、医療・福祉関係者にとって大きな喜びと期待(誤解、偏見の緩和など)を持って受け入れられましたが、10年経った現在、特にその期待の部分についてはあまり成果を挙げているとは言えないように感じられます。それは何故か?呼称の変更により「精神分裂病」という一聴しただけで誤解・偏見を生む語感はなくなったものの、いくらそれを「統合失調症」と読みかえたところで原語の「SCHIZOPHRENIA」というこの病気の全体像をつかむことはできないからです。病名呼称変更については大きく取り上げたマスコミ報道ですが、それに関連してこの病気そのものを解説したり、啓蒙的な記事による誤解・偏見を積極的に解消しようという動きが当時は勿論のこと現在に至るまで見られないのは残念なところです。
(ピース・オブ・マインド はまゆう土井氏談)
【編集後記】
20,30代の人達は統合失調症の認知度が高いです。40代以降の人達は統合失調症より精神分裂病の認知度が高いです。40代以降の人達に聞くと昔は精神分裂病だったこと差別・偏見・汚名を受けていたこと、何をするか分からない・怖いという健全者が多いですね。私は、30年前に発病していますので、自分の勝手な差別感があって私の人生はおしまいで一生精神科病院に入院していないといけないと勝手に思っていたことを思い出しました。20、30代の人達は統合失調症の呼称でマイナーなイメージはありません。やっぱり、病名の呼称で当事者はダメージの受け取り方が違うのだなーと思います。いい意味でも悪い意味でも呼称が統合失調症に変わったことはいいことだと思います。私も統合失調症歴30年の経験があります。自分なりに病気と障碍に少しずつ対処できるようになりました。メンタルにゅーすから少しでも当事者の皆さんのお役に立てば幸いです。
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