私の病気と障碍を仔細に観察すると、統合失調症を罹患していることを考えず、病気の状態は落ち着いていて、服薬と通院は無意識に守っていることがあります。もちろん、そのとき病気や障碍のことは何も考えず毎日の習慣化された生活の一つ一つの連なりと私は受け止めています。そんなときが稀にあります。時々、友人に聞くのは服薬するたびに自分が精神病なのを確認してしまい、それがいやな気分でブルーになると言います。
私は病気と障碍の対応が今は向かい合うだけで、闘ってはいません。私は、統合失調症を発病して20年間は、巻き込まれ・振り回され・引き込まれていました。病気と障碍に向かい合うことができないでいました。病気と障碍に上手につき合うことができたらいいなと思いました。CIL下関に勤め始めて、少しずつ少しずつ病気と障碍に対応・対処ができるようになりました。服薬と通院が大事と私は精神の当事者に伝えていたのに、5年前減薬への挑戦で服薬が不規則になり3ヶ月の入院となりました。自分自身が人体実験をしているようで入院してしまいました。やっぱり、服薬と通院の遵守は大切だなと猛省しております。
私は最近、CIL下関でも家庭でもイライラしないで落ち着いているのをふと確認します。自分のペースで仕事・家庭生活を送っています。私は躁とうつの気分障碍の気もあります。気分が上がっているときの状態はなかなか気づきにくいのですが少しずつ気づくことができるようになりました。うつのときは自分自身、気分が悪く辛いので落ち込みの初期に気づきます。躁の時の気分が上がったときは、当の本人はスーパーマンの気分になり、上がりすぎて調子が悪いのが気づきません。私には、それを気づくことができるようになりました。これには時間と経験が必要です。
私は時々昼間、調子が悪くなるときがあります。それで、調子が悪くなったら頓服を使うときもあります。幻聴・妄想がひどくなるときは、デパート・スーパーマーケット等人が多くいる所に行くときで、予め頓服を服薬しておきます。また、面識のない人たちの中でも幻聴・妄想がおきますので頓服を服薬します。人が多くて面識のない人ばかりでも、その中に面識がある人がいたら少し気が楽になります。また職場でも幻聴と妄想がひどいときもあり、このときはウォークマンで音楽を聴いています。職場では、上司や同僚の人となりは分かりますので、幻聴と妄想が起きても訂正できます。ただ、私自身の中では幻聴と妄想の症状は現実にあります。私の頭の中では、覚醒時さまざまなことの思念があります。その中から、あるひとつの思念に向かって統合していくことができるように毎日服薬を続けています。服薬して、頭(心)の中の失調を統合しています。服薬することで精神を安定させているのなら、糖尿病や高血圧症と同じで対処療法ではないかとそう言われればそうだと言うしか仕方のないことです。私の考えは、対処療法でもなんでもいいと思います。服薬と通院を守りながら、病院・施設で生活するのでなく、地域社会生活を自立しながら過ごすことこそ私には大切なことです。精神病の場合、他の科のように治癒とはいいません。寛解(かんかい)といいます。寛解とは火山で言えば爆発していたのが休火山のように寛ぎおさまっている状態です。休火山の状態ですから、いつまた爆発するかもしれません。精神病の場合、休火山の状態を維持するために服薬と通院が大切なことです。ちなみに、糖尿病や高血圧症なども薬により寛解状態を維持しています。そして、食事療法なども併用しているかもしれません。
私の経験では、精神科病院に入院や施設で生活するより、病気と障碍があっても再発しないように服薬・通院を守って、自立生活をするほうが私らしい生活ができます。周囲の人たちにああだこうだと指導されるより自分で決めて(自己決定)・自分で実現して(自己実現)・自分で責任を持って(自己責任)生活することが自分らしい生き方ができます。
私がラッキーだったのは、社会復帰施設の生活訓練施設援護寮ヒエダに入所したことです。援護寮の職員は当初、私に対して指導的でした。彼らは、私が何かするとき失敗しないようにああだこうだと言って指導します。私は「彼らの言うことを聞くロボットではないです。血の通った人間です。私には失敗する権利があります。」と施設長や職員に話しました。施設長は頭のいい方ですぐに理解してくれました。精神保健福祉士も理解してくれました。私への対応が少しずつ変わりました。精神障碍者だから何の判断も何もすることができない、何にも責任が取れない、健全者の言うことを何も理解できないとでも考えていたのでしょう。私たち精神の当事者は、健全者を目指して生きていくことが目標ではないです。自分のことは自分で決めて生きていきたいだけです。できないことは自分で周囲の人にサポートを頼みますので少しだけ待ってください。そして、私たちの意見も聞かないで良かれと物事を勝手に決めないでください。(私たちなしに私たちのことを決めないで!)
【編集後記】
私は、統合失調症に罹患して弟や妹に馬鹿にされていました。非道な扱いをされました。○チ○イと言われ、私は、長男として兄として扱われなかったです。私は悲しかったです。私は、統合失調症に罹患したのは、私のせいなのかと考えていました。私が何か悪いことをしたので病気になったのかとかいろいろ考えました。なぜ、私は病気に罹患したのか、20年間考えつくしていましたが、答えは援護寮ヒエダに入所して精神病のことを勉強して分かりました。自分の悪行の因果応報ではないし、遺伝でもないし、病気になる精神の脆弱性が何かのきっかけで発病したのだろうと今ではそう思います。
私は、過去のことを掘り起こさず、未来に向かって自分らしい生き方を病気と共存して生きていきます。過去のことでブルーにならず、未来へ向かって希望を持って生きていこうと思います。そして、少しだけ仲間の精神の当事者にお役に立てればなと思います。
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