メンタルにゅーすVol.121

メンタルにゅーすヒエダ

 

統合失調症芸人

ハウス加賀谷

2012年  Vol.121

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

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統合失調症を乗り越えて復活した芸人・ハウス加賀谷が語る"お笑いの意味"

2012年5月21日 19時45分 (2012年5月21日 22時30分 更新)

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 NHK Eテレでは、ことし4月6日から、『バリバラ〜障害者情報バラエティー〜』が放送されている。公式サイトに「これまでタブー視されていた障害者の性やお笑いのジャンルにも果敢に切り込みます」とある通り、"バラエティーを通してバリアフリーを考える"を番組のコンセプトとしている。人道的に見れば、障害者を笑い物にすることは決して許されることではない。しかし、番組に出演している障害者たちの"笑われる"のではなく"笑わせたい"という情熱は、テレビを通して伝わってくるものがある。

  この『バリバラ』に、プロのお笑い芸人が自らの障害をカミングアウトして出演している。お笑いコンビ「松本ハウス」のハウス加賀谷さんだ。1990年代の『ボキャブラ天国』(フジテレビ系列)では、「汚れなき壊れ屋」として、異常なまでのハイテンションを売りにして活躍した。しかし、"ボキャブラブーム"の終焉とは無縁に、彼らは表舞台から姿を消した。その理由は、ハウス加賀谷さんが、精神疾患の一つである統合失調症を発病したからだ。

 障害者と"お笑い"。一見すれば相反するものに見える。健常者は、つい障害者を腫れ物のように扱ってしまう。憐れみを受けたら笑ってもらうことが不利になるお笑いの世界で、ハウス加賀谷さんは自らの病名をカミングアウトして舞台に立っている。彼にとって、あるいは障害者にとって、人を笑わせることの意味とはなんだろうか。10年近くの治療を経てお笑いに戻ってきたハウス加賀谷さんに、その心中を聞いた。

(聞き手:ハギワラマサヒト)

"自分の臭いに対する恐怖"で学校へ行けなかった

――"統合失調症"を発症された経緯を教えていただけますか?

 病院で統合失調症と病名が付けられたのは25歳のころ(1999年)ですが、中学校に入った頃から幻聴が聞こえていました。小学生まで明るい性格だったのに、中学生になったらガコーンと暗くなっちゃって・・・。

 中学3年の三者面談のとき、先生に「将来、何になりたいんだ?」と聞かれて、「ホームレスです」と答えました。本気でした。世の中がもう嫌になっていて、「今ある社会は、自分がいてはいけないところだ」と思っていました。社会に適合できないし、逃げたいと真剣に思っていました。

お笑いコンビ「松本ハウス」のハウス加賀谷さん

――ほかにはどういう症状があらわれたんでしょうか?

 "自己臭恐怖"ですね。例えば、こうして話していると、「きっと僕が臭いから眼鏡をかけているんだろう」と訳の分からないことまで考えていたんです(注:筆者は眼鏡をかけている)。

                       exite news.ニュース 2012.5.21

 

【編集後記】

西暦2000年を過ぎて精神障碍者の活躍が目覚しいです。障害者の中で精神障碍者ほど差別・偏見・汚名を受ける当事者はいないと思います。私(SAM)にしても下関市内の仕事ならば本名を使うが、だいたいがピアカンネイムを使っています。現実に本名を使うとどんな影響があるか、私自身ちょっと怖い気がします。別に私は、本名だろうがピアカンネイムだろうが私は気にしてないとは言う反面、なかなか勇気が出ません。時が来たら私も本名を明らかにしないといけないと思います。すみません、気が弱いSAMなのでとりあえず勘弁してください。私の望みはメンタルにゅーすヒエダというニュースレターを続けることです。多くの精神の仲間たちに、私の統合失調症の向かい合い・勉強したこと・試行の繰り返しで経験したこと・病気と障碍の対処法・制度などを同じ精神の仲間たちに伝えていきたいだけなんですけどね。30年という統合失調症との共存で分かったことを仲間たちに「メンタルにゅーすヒエダ」のホームページで知識と経験を共有していくことを目的にして編集を続けています。私が下関に移り住んで11年が経ちました。私と同じ統合失調症の後輩たちのためにメンタルにゅーすをこれからも編集していきます。

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