【薬物療法】
主にドーパミンD2受容体拮抗作用を持つ抗精神病薬(日本では20数種類が使用できる)の投与が、陽性症状を中心とした症状の軽減に有効である。近年、従来の抗精神病薬よりも、副作用が少なく陰性症状にも有効性が高いなどの特徴をもった非定型抗精神病薬と呼ばれる新しいタイプの薬剤(リスペリドン、ペロスピロン、オランザピン、クエチアピン)が開発され、治療の主流になりつつある。さらに、最近アリピプラゾール、ブロナンセリン、クロザリル、インヴェガが加わり、日本では現在2010年10月現在8種類の非定型抗精神病薬が使用可能となっている。ただ、非定型抗精神病薬が治療の質を向上させたのは事実であるが、新たな問題もある。副作用面では、オランザピン、クエチアピンが稀に高血糖・糖尿病を誘発することがある。また、医療経済的に見るとオランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールなどの薬価が非常に高く設定されている。
抗精神病薬の一般的な副作用として、黒質線条体系のドーパミン拮抗作用によるパーキンソン症候群、錐体外路症状、アカシジア、ムスカリン拮抗作用による便秘、口渇、眼のかすみ、抗ヒスタミン作用などによる眠気、体重増加など、抗アドレナリンα1拮抗作用による低血圧が生じることがある。また、統合失調症に抑うつ症状や強迫症状を伴う場合などに抗うつ薬を、不安症状が強い場合に抗不安薬を、不眠が強い場合に睡眠薬を併用することもある。
抗精神病薬の換算方法としてクロルプロマジン換算がある。参考の一つとして利用されている。
【電気けいれん療法(ECT)】
薬物療法が確立される以前には電気けいれん療法(電気ショック療法)が多く用いられてきた。これは左右の額の部分から100V、50~60Hzの交流電流を脳に1~3秒間通電してけいれんを引き起こすものである。
電気けいれん療法の有効性は確立されているとされている[37]、一方で有効性の皆無も臨床実験で報告されている。かつて電気けいれん療法が『懲罰的』にされていた事もあり、実施の際に患者がけいれんを起こす様子が残虐であると批判されている事、稀に電気けいれん療法が脊椎骨折等の危険性があるため、現在では麻酔を併用した『無痙攣電気けいれん療法』が主流である。しかし、副作用や無痙攣電気けいれん療法の実施の際には、麻酔科医との協力が必要であることなどからして、実質的に大規模な病院でしか実施出来ない。現在では、この治療法は主力の座を薬物療法にその座を譲ったものの、急性期の興奮状態の際などに行われる事もある。
【心理教育】
薬物療法によって陽性症状が軽減しても、自らが精神疾患に罹患しているという自覚(いわゆる「病識」)を持つことは容易ではない。病識の不足は、服薬の自己中断から再発率を上昇させることが知られている。病識をもつことを援助し、疾患との折り合いの付け方を学び、治療意欲を向上させるために心理教育を行うことが望ましい。また、患者本人のみならず、家族の援助(家族教育)も行うこともある。精神保健福祉士が主に担当。
統合失調症の患者は小人のように正直すぎる。なにもかも正直でなくていい、秘密があっていいということを教育する。秘密にすることで自分を守ることだしマナーでもある。これを身につけることが社会復帰のために必要である。
【ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)】
統合失調症を有する患者は、陰性症状に起因するためと、社会的経験が不足しがちなことにより、社交、会話などの社会的技能(ソーシャル・スキル)が不足していることが多い。それらの訓練として、ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)を行うことがある。デイケアプログラムの一環として行われることが多い。精神保健福祉士・作業療法士が主に担当。
【作業療法】
絵画、折り紙、手芸、園芸、陶芸、スポーツなどの作業活動を主体として行う治療。非言語的な交流がストレス解消につながったり自己価値観を高めたりする効果がある。病棟活動やデイケアプログラムの一環として行われることが多い。作業療法士が担当。急性期では、作業活動を通して幻覚・妄想などを抑え、現実世界で過ごす時間を増やしたり、生活リズムを整えることを目標とする。そのためには患者が集中できるような作業活動を見つけて適用することが必要となる。慢性期では、退院を目標とする。そのためには服薬管理や生活リズム管理など、自分のことは自分でおこない自己管理ができるようになり、作業能力と体力も向上することが必要となる。慢性期での作業療法では患者のペースで行なえる作業活動を徐々に増やしていくよう心がける。
【心理療法】
薬物療法と並行して、疾患の心理的な受容、疾患や治療に伴い経験した喪失体験の受容などを援助するために個人精神療法を行うこともある。臨床心理士が主に担当。異性関係のことが自分の中であまりにも整理されていない人が多い。異性の気持ちになって物事を見ることも大切な心理療法である。
【社会的援助】
治療や社会復帰をすすめるために必要な福祉制度、精神保健福祉法の活用、様々なアドバイスなどの社会的援助を、精神保健福祉士(精神医学ソーシャルワーカー;PSW)などが支援する。看護師と精神保健福祉士が協働する訪問看護などもある。
【その他の治療法】
難治例や緊張病などで興奮が著しく緊急を要する場合や、重篤な抑うつ症状を伴う例では電気けいれん療法 (ECT) を行うことがある。その他、認知行動療法を行うこともある。
出典 統合失調症 - Wikipedia
【編集後記】
精神病の治療を今振り返って勉強し直してみると成程なと考えさせられることも多いです。私は3度目の入院で私の担当の看護師さんが言われたことを今でもはっきり覚えています。私の言うことをきかないと「この精神科病院より厳しく怖い病院に転院させる」からね。 また、「身体に電気をかける」からねと言われました。電気に関しては、治療されたことがないのでぽかんとしていました。実際に私が入院中に電気をかけられた当事者の患者を見たことも聞いたこともないので未だかってわかりません。しかし、その当時電気をかけられた経験のある当事者は、看護師の言うことをきいていました。それ程、当事者にとって怖い治療というより、拷問だなと思います。私が、うろ覚えでの記憶ではイタリアで電気治療が始まったということだけです。1938年、イタリアのU.ツェルレッティ(Ugo Cerletti)とルシオ・ビニ(Lucio Bini)によって創始されました、元々精神分裂病(現在のほぼ統合失調症に当たる)に対する特殊療法として考案されたものです。日本では1939年に安河内と向笠によって創始されました。その後、他の疾患にも広く応用されて急速に普及し、精神科領域における特殊療法中、最も一般化した治療法である[1]。ECT(electroconvulsive
therapy)、電撃療法(electroshock theraphy: EST)、電気ショック療法(ES)[2]とも言います。うつ病、躁うつ病、統合失調症などの精神疾患(まれにパーキンソン病などにも)の治療に用いられています。このような電気けいれん療法は拷問または虐待・懲罰に使われる可能性が高いです。決してこのような治療法を許さないと私の心の中に誓います。
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