メンタルにゅーすVol.141

メンタルにゅーすヒエダ

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獲得と代償

2013年  Vol.141

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

Tel(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL     http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 多くの人達は大人になるための準備として中学・高校・大学の卒業とともにそれぞれ社会に巣立ちます。学校で様々な教科を習得し、友人との人間関係を作ります。私は、本当の竹馬の友はいません。誰とでも物怖じしないで話はしますが友人はいません。下に弟と妹がいますが彼らに兄として何かをしたと言う記憶がありません。そうすると私のこの54年間の年月はいったい何だったのだろうと思います。

 私は、54歳です。人生の半分を生きてきました。初老期に入っています。記憶力や体力の低下を感じています。友達はそんなにたくさんはいませんが時々、会って話をするぐらいです。49歳で結婚しましたので結婚して5年になりました。生活の多くの時間を連れ合いと一緒に暮らしています。少し周りの人達とは遅れてスロースタートしましたが結婚しました。人並みの帳尻だけは合わせておかないと、と思ったりもする今日この頃です。

統合失調症という病でスタートは2030年健全者とは遅れましたがやっと人生を晩婚時から追いつき追い越せと焦っているわけでもありません。

 私は無宗教ですが私を見守る神様はいるように思います。まず、祖父母、父母、小さな頃、サムやサムやと可愛がってくれました。人間死ねば現世の行いは帳消しで私には、私を見守る神様です。一番私のことを心配していると思います。それと、若い頃キリスト教を信じていましたので我々人間をイエス・キリストは見守ってくれています。信者が多いので見守ってくれますが確率が小さいです。まだまだ、祖父母・父母の神様が私のことを見守ってくれる確率のほうが大きいです。祖父母は、私が生まれて彼らが亡くなる数年間精一杯可愛がってくれました。父母は、曲がりなりにも私が高校を卒業するまで育ててくれました。父には色々ありましたが兄妹の中で私を一番可愛がってくれました。父とはよく喧嘩もしました。私は父と酒を酌み交わす時期には、私は統合失調症を発病していましたので、親子の酒の酌み交わしは実現出来ませんでした。

私が統合失調症を発病して2年経って父は肝不全で亡くなりました。そのときの父の歳が54歳くらいでした。私は曲がりなりにも父と同じ歳になりました。たまたま、父の死ぬ直前に立ち会うことが出来ました。人工呼吸器で無理やり生かされていました。父の主治医が私にもう脳波はありません。呼吸器を止めると自発呼吸はありません。人工呼吸器を止めていいですかと再度主治医に促されました。

母は平成238月1日に亡くなりました。私は3日間妹と交代で看病しました。母は、あっという間に亡くなりました。母も長男の私を可愛がってくれました。母は私が、統合失調症に罹患したことを一番心配していました。私が晩年、CIL下関で働いていたので少しは心配も和らいだのではと思います。しかし、弟が40過ぎて解離性精神病に罹患しました。母は弟のことを心配しながら逝ってしまいました。弟は結婚していましたので連れ合いが面倒を見てくれています。有難いことです。私と弟、妹の3人のうち2人が精神病になりました。幸い、妹には子供が3人います。彼らに次の世代を担ってもらいましょう。精神病は、私と弟の世代で断ち切ってしまいましょう。

 私は、人に言えない様々な事をしでかし、周りの人に迷惑をかけてきました。父母や弟、妹にも心配や迷惑をかけてきました。友人、様々な機会に知り合った人、職場の上司や同僚等・・・・・・・そして、その代償を払いました。かけがいの無い大切な人達でした。それで誰も、私には相手をしてくれませんでした。全く無視されました。辛かったですね。まあ、自業自得と言えばそうなのですが、自分の振る舞いを全部自分の責任だと考えてきました。様々な失敗の中に病気や障碍のために、人に迷惑をかけたこともあります。また、馬鹿にされたりもしました。様々な失敗、迷惑・心配は数限りなくあります。

今は、過去の事だと割り切って生きています。過去の事は過ぎ去った事で取り返しややり直しのできない事です。それよりは、未来に向けて、過去の失敗や心配・迷惑をかけないように今を精一杯生きていこうと思います。曲がりなりにも、何とか働いています。社会の役に立つ福祉の仕事にも携わっています。私は、社会から恩恵を受けていますし、社会から育てられました。ですから、私は、社会に埋め戻しと言うか恩返しをしていこうと思います。私は、CIL(自立生活センター)下関で障碍者の自立生活支援の仕事をしています。私の力は微々たるものですが、この下関で障碍者の皆に役に立てばなと思います。

私は、当事者同士皆でピアサポートをしたり、年に1,2回は講演したりしています。私は、社会で生活している当事者や健全者に統合失調症の理解を伝えています。少しずつ、精神障碍のことを皆に理解してもらおうと頑張っています。不思議ですね、私は昔、周りに散々迷惑をかけていたのに、その私が少しは社会の役に立つように福祉の仕事をしているとは、人間変われば変わるものですね。神様は、どんな人の上にも均等に私たちを見守っているのですね。有難い事です。

 

【編集後記】

 私は下関に来る前は、両親、弟・妹に散々迷惑をかけました。その私が、福祉の仕事を続ける事で様々な人に助けられたり助けたりしながら障碍者の自立生活支援を続けています。昔の私を知っている人なら、あのサムが・・・・・と言われるほど私が変わった事にビックリしてしまうかもしれません。いずれにしても今の私があるのは沢山の人から支えられたり支えたりしているからだと思います。いずれにしても、小さなことからコツコツと諦めず継続したからだと思います。私は、気が短くて乱暴者で下品な人間です。そんな私でも、コツコツと仕事をしてきました。私は、多くの皆さん(健全者、障碍者)のお役に少しでも、生きていく選択肢の一つとして参考になればと思います。私は、今まで自暴自棄な生き方をしてきました。少しでも仲間の当事者のお役に立てばと考えております。こんな私でも、統合失調症を罹患しても自暴自棄にならず頑張って今を生きていますよー

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