精神科の病棟の中では、患者に対して主治医・看護師たちが良く使う言葉があります。「SAMは、昨日幻聴と妄想がひどくてセルシンを注射しました。今日は、『状態』も落ち着いていいみたいですよ。本日1日要観察します。」つまり、「状態が悪い・状態が落ち着いている・状態がいい」というのかもしれないです。状態が悪いのは別の言い方をすれば増悪しているとも言うかもしれないですね。私たち、当事者が服薬するたびに確認させられるのは、自分が精神病だと言うことです。今はないですが、私は朝起きるたびに自分の状態を五感を通じて、今日も何とか爽快に起きたと確認していました。状態は上がりすぎて状態が悪いのと、状態が下がりすぎて状態の悪いのがあります。当事者は、状態が上がりすぎて状態が悪いのは、状態(調子)がいいと誤認してしまいがちです。反対に状態が悪くて沈んでいるときは、本人も苦しいので周りの人に訴えてきます。沈んだとき当事者は周囲の人に訴えてきますが、上がりすぎている時は調子が良いと本人が言っても、本人はスーパーマンの気分ですからトラブルを起こす可能性が高いかもしれません。毅然とした対応が必要です。
3回目の入院のときに私担当の看護師が教えてくれました。でも大丈夫、状態が上がり始めたときの気分があるから、その気分を覚えているといいよと教えてくれました。私は、日記に朝起きた気分と日中の口喧嘩や喧嘩になりそうなときの気分を克明に書きとめていました。今は、何とも言えませんがああそんな気分だったと思い出します。今思い出すと些細なことですがイライラしたなんともいえない怒りです。突発的に心の中に現れて消えていきます。私は、自分の力だけで自分自身のこの怒りを抑えることが出来ませんが、適度の抗精神病薬の力を借りると何とか対処できます。心の中の怒り(イライラ)は、こんな感じで抑えこみます。頓服の力も借りることもあります。沈んでしまって抑鬱状態になると仕事を減らして9〜15時短縮就労の勤務にします。まず早退にしてみます。これで改善しなければ9〜12時の超短縮就労にします。
また、ひどく鬱が出てくると朝会社に行こうか行くまいか「葛藤」が襲ってきます。ところが、おもしろいことに夕方近くなってくると調子が戻ってくるのです。私は、精神関係の雑誌でこのような状態は鬱ですということを目にしました。ああこれが鬱かと思い、出勤の葛藤は、朝起きてから2時間くらいだから、それ以降の時間差就労を取ります。おかしいことに会社に行けば何とか仕事は出来るみたいですけど、このときの辛さは何ともいえません。自分が怠け者になったのかと思いました。この鬱は私の場合、主治医も診察していますから、抗鬱薬や自分の就労の仕方を変えてみます。これで大体の鬱は何とか対処できますが、もっと鬱がひどくなったら仕事を2週間くらい休みます。鬱には休養が一番です。
私には、躁と鬱があります。そして、統合失調症も抱えています。31年位前は、どうしたらいいのか、病気の症状か副作用の症状なのかサッパリ分かりませんでした。今はどうと言うこともないことですがその当時は辛く苦しい毎日でした。しかし、統合失調症のこと・病気の予後・薬の勉強で、今はある時は病気の症状、またある時は薬の副作用の症状と頭を切り替えて対処しています。私は、スーパーマンではありません。日々毎日、自分の観察と病気の勉強で培ってきたものです。本当に私は、スーパーマンではありません。わたしは、自分に抱えきれないものを、日々の勉強・自己観察で色々考えて毎日の生活を送っています。私は、「病気と向かい合うが決して闘わない。」と決めております。闘うと私は必ず負けて入院してしまうのです。それで、この私の統合失調症には「闘わない」と決めております。「闘わないのに向かい合う」とは奇妙なことを言うとは思いませんか?結局、待って、敵がどう来るかが30年も病気をかかえていますので、そこはそれ何とかやっております。
最後に、私は幻聴の対処をウォークマンでしています。ところが幻聴でも耳元で大きく叫ぶタイプと普通に話すのと囁くものがあると本で読みました。私の幻聴は普通に話すタイプなのでボリュームの調整で何とか対処していますが、耳元で叫ぶような大きな音の場合どうしたらいいのでしょうか。私には分かりません。それと、ウォークマンを聴くのも、耳が悪くならないようにボリュームの微調整をしますし休憩をとります。私は、現代に生きていて良かった。ウォークマンがあって良かったです。
しかし、ある程度の薬の調整で幻聴も妄想も消える場合があります。私は、残存してしまいました。運が悪かったと思うしかありませんね。私は、それでも相手(病気と障碍)の傾向が長い間観察していれば分かってきます。今はそれ以上のことは考えても無駄なことです。それでも、現在精神病者の六割が統合失調症だそうで、日々、薬の研究が進み、様々な新薬が作られています。私には、病気と障碍の向き合い方・付き合い方・生活の仕方・対処の仕方・当事者しか考えない捉え方をしています。それらの病気と障碍の捉え方が「メンタルにゅーすヒエダ」と言うニューレターのホームページで当事者の皆様へ少しでも、参考になればいいなと思います。
【編集後記】
「状態」と言うのは都合のいい言葉です。「状態がいい」「状態が悪い」と表現すればいいのでしょうか。「状態が悪い」と書くと、状態の上がっているとき・状態の下がっているときの双方とも上手く表現できます。上がっているときの状態の悪い時は、気分がいいので当事者は状態の悪いことに気がつきません。また、気分が下がっているときの状態が悪いのは、当事者本人が気分が悪いことを周囲の人に訴えますので、周囲の人も状態の把握ができます。しかし、統合失調症とは、周囲も本人も辛い・厄介な病気ですね。私は、31年間統合失調症をかかえています。やっと、私は病気と障碍に対処出来るようになりました。ボチボチ、生きていこう。あせらない・がんばらない・むりしない、常にマイペースでのんびりと・・・・・
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