メンタルにゅーすVol.154

 

メンタルにゅーすヒエダ

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服薬管理が大切

 

2014年  Vol.154

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

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 私が、統合失調症を発病したのは今から32年前23歳のときです。状態も落ち着いて退院して、半年くらい服薬を守りませんでした。しだいに抑うつ状態になっていきました。2度目の退院後から服薬しないと眠れませんでしたので守っていました。母が、しばらく服薬の管理をしてくれたので眠れるようになりました。まだ会社に籍がありましたが、発病して1年半が過ぎると同時に私の上司と総務課の課長が自宅に来られて退職を促されました。

 今思えば会社を退職して、調子のいい(多分上がっていた)時は、自分で薬の用量を半分にしたりしていました。その頃、病識もなく自分勝手な判断で用法や用量を変えていました。2度目の退院から3度目の入院まで15年くらい安定していました。といっても、服薬を医者でも、薬剤師でもないのに自分の判断で調節していました。恐ろしいことを勝手にしていました。この頃、病気や障碍、薬のことなど何も知らずに生活していました。調子が悪い時は抑うつ状態で自宅に閉じこもって、状態が上がっていたときは服薬を勝手に調節していました。3度目の入院で主治医が病気や薬のことを教えてくれていましたので、勉強を始めました。「寛解」という言葉を始めて聞きました。統合失調症の私は、一生服薬を守らないといけないことを冷静に受け入れました。入院中に、私が不思議に思っていたことがあります。薬の管理を入院中看護師がしていたとき、わずかな状態の浮き沈みがありましたが私は安定していました。それで、私担当の看護師さんに私の状態と服薬のことを尋ねました。服薬を守ることと適当な環境、周囲の人達の配慮があれば地域社会生活も出来るようになるよと教えてくれました。入院中、薬を飲まない患者仲間は状態が悪かったです。私にとって3度目の入退院は、本当に勉強になりました。この入院中、私は、仲間や病院スタッフに良く可愛がられました。皆のお陰で、有意義な入院生活を送ることができました。

 私は、3度目の入院で病気と障碍、薬の勉強と本格的な勉強とはいきませんが興味を持ちました。服薬を守っていれば、私自身状態が安定していることに気付きました。どうやら、服薬を守っていれば、病気と障碍に浮き沈みがあるにせよ地域社会生活ができることが、何となく分かりました。あれほど、発病して自暴自棄な生活をしていたのが、私なりに病気と障害を受け入れて生きていこうと思い始めていました。本格的な勉強は、援護寮に入所して、本を買い私の頭で分かる範囲のことでもと考えていました。

 私は3度目の退院で、自分の罹患している病気、障碍、予後、制度のことなど勉強を始めました。少しずつ前に進んでは後退し、また少し進んで遅遅とした歩みでしたが、私は諦めず歩みは止めませんでした。下関に来てから、私が決心したことは「継続」と言う言葉でした。今まで私は、何か始めるとすぐに投げ出して止めていましたので、この下関に来てやり始めた事は継続して守っています。昔、「継続は力なり」ということわざを本で読んだことがありました。続けることが力となり自信につながっていくことを実感していくことができました。統合失調症を罹患して、生きる希望もなくしていました。下関に来てからほのかに明りが見えてきました。

 私は、統合失調症という症候群、障碍について勉強してみるかと思いました。相対する病気と障碍のことが分かれば少し違うかなと考え始めていました。統合失調症の第一選択治療は服薬です。服薬のことを馬鹿にしていましたが、案外服薬は私にとって病気に効果がありました。落ち着いているし、イライラもしなくなりました。それから、私は自分の状態が悪くなると予兆を気づけるようになりました。それだから、早め早めに頓服を飲んだり、身体を安静にしたり、会社を早退したり、短縮就労、休みを取ったりと対処していました。私は統合失調症なのでせったり・んばったり・りしてはいけないと思いました。この頭文字の「ア」「ガ」「ム」をとって「アガムの法則」と自分で考え出して守っています。私が統合失調症と共存して生きていくには、病気と障碍には「服薬」「アガムの法則」「病気や障碍との対処」「職場での適当な環境と周囲の配慮」など、特に病気や障碍と共存して生きていくことは健全者と変わった生き方をしているわけではありません。私は今一人ではありません。結婚して連れ合いがおります。彼女と平静で平穏な生活をしています。社会の中で、仕事を与えられ、その対価として給料をもらい、2人で生活しています。やりがいのある仕事、のどかな生活、金持ちになりたいとか家を建てたいとか思っていません。ただ、病気と障碍に対処して、仕事をして、連れ合いと一緒に生活ができれば、これら以上のことを望みません。幸せな生活とやりがいのある仕事があればいいなと思います。

 

【編集後記】

 私の実感では、服薬している統合失調症の薬、非定型抗精神病薬(リスパダール)は確かに効果を発揮しています。医者や製薬会社の研究者が時間をかけて作り出した薬なので間違いはないと思います。非定型抗精神病薬は副作用が弱く、穏やかに服薬の継続で効果がでてきます。私が若く、統合失調症を発病した頃、病気であるということと、服薬を長く続けることなど医者から聞いただけです。この病気の正体はまだ不明だそうです。メカニズムは様々あり、薬として精神伝達物質のセロトニン・ドーパミンなどの調節を服薬で安定させているみたいです。

 私は、統合失調症になって様々な経験をしました。服薬が不規則になり自分が調子を崩してしまうことが入院の原因です。服薬の継続で病識を持てていますが、不規則になると病識がなくなります。精神の薬というものは、不思議なものですね。私は、医者でも看護師でも薬剤師でもないので、統合失調症のことをどこまで理解できているのか不安です。当事者の気持ちとしては、服薬を守っていることで、再発防止、状態の安定を保ち社会生活ができていますので、あまり複雑に考え込まずに暢気に受け止めて生活していきます。

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