メンタルにゅーすヒエダ
〜EE(感情表出)〜
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2006年10月 Vol.16
発行責任者 SAM
地域生活支援センターヒエダ
Tel(0832)-51-6161
FAX(0832)-51-6177
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今回は再発と感情表出というテーマについてお話を進めます。
スキゾフレニア(統合失調症)という病気は完治しない病気といわれています。しかし、継続的服薬により症状を軽減させ、環境を整えることで再発を最小限におさえる事のできる病気でもあります。
この再発はスキゾフレニアに限ったことではありません。慢性といわれる病気には必ずと言っていいほど再発の可能性があります。例えば、糖尿病、高血圧、いわゆる生活習慣病は皆そうです。従って、病気が起きたら、まず症状を抑える、その後はどのように再発を防ぎながら、リハビリテーションを行い、生活上の問題を一つひとつ解決していくか、ということが大切なことです。
再発という概念について、以上のような点を踏まえて、今回のテーマである、感情表出について述べてみたいと思います。
感情表出という言葉は英語ではExpress Emotion です。これを略してEEと呼んでいます。このEEがスキゾフレニアとどう関係するのか、ということですが、元々、このEEという言葉が言われ出したのは、1950年代終わりのイギリスでした。当時、イギリスでも精神疾患で長期に入院している患者さんがいて、そういう人たちをどのように退院させるか、あるいは社会復帰させるかということが問題になっていました。さらに退院した後、いかに再発を防ぎ、安定した社会生活が営めるかが大きなテーマでした。
そこで、この問題に因んで様々な研究が行われまして、特にブラウンという人が1958年に退院後の患者さんの再発率を調べました。
結果
・患者が両親や配偶者のもとに退院して戻ると再発率が高かった
・兄弟の元、あるいは下宿(独居)に入ると再発率が低かった ある程度距離があった兄弟や独居生活のほうが再発が少ない
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○感情表出とは?(家族が患者さんに対して取る態度や言葉)
家族が表す3つの悪い感情
批判(何もしないでゴロゴロしてしょうがない、いい歳をして仕事もしない)
敵意(いっそあんな子なんていない方がいい、一発殴ってやりたい)
巻き込まれ(ちょっとしたことで泣き崩れてしまったり、冷静さを失ってしまう)
上記3つの要素を家族がいくつ示すかカウントして、カウントが高かったのをHigh EE(ハイイーイー)、低かった家族をLow EE(ローイーイー)として2つのタイプに分類した。
このEEの概念がイギリスで生まれて、各国で追試が行われ、確かにEEの概念はあると証明されました。
その後、1972年にボーンとレフという2人の研究者が長期に入院していて退院された患者さんの9ヵ月後の予後を調べました。
結果
・家族が低EEだと再発率は約1〜2割
・家族が高EEで、週に35時間以上接していて、服薬も不規則だと再発率9割
・再発率ゼロは患者さんが服薬して、社会技能訓練(デイケア、SST等)を受けて、家族が家族療法(家族会、家族教室、教育プログラム)を行う場合
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だいたい感情表出が患者さんに与える影響の度合いはこれでおわかりいただけたかと思いますが、EEは飽く迄、患者さんと家族の相互関係の問題であって、ハイEEが悪い家族、ローが良い家族という単純な基準ではないこともよく理解してください。
2月 勉強会より 「再発と家族の感情表出」より抜粋
桜ヶ丘記念病院医長 岩下 覚先生
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【編集後記】
私は、周りの人から話し掛けにくいみたいですし、あえて私から積極的に周りの人に話し掛けることがすくないです。調子が悪そうに見えても、声かけをしてくれればといつも思います。そうしてくだされば、疎外感が消失して心の中も落ち着いてきます。精神の病気と障害を持つ私は対人関係が一番苦手で、やっかいです。感情表出(ExpressEmotion:EE)は当事者の周りで生活している家族の配慮ある対応で再発率が限りなくゼロに近くなります。
当事者への声のかけ方、様々な周りの人達の配慮ある対応しだいで、私の場合調子がよくなったり、悪くなったりします。
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