style='text-indent:12.0pt;mso-char-indent-count:1.0'>  メンタルにゅーすVol.167

メンタルにゅーすヒエダ

 

当事者SAM

望み

 

2014年  Vol.167

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

Tel(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL      http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 私が統合失調症を発病して32年が過ぎました。そのうちの20年間は惨憺たる日々でした。毎日の生活を送るのにやる気がおきず、食事とトイレ以外は布団の中でぼーっとしていました。病院に入院しているときは規則正しい生活をしていましたが退院して実家に帰ると、昼夜逆転の生活でした。最初は、家族も何も言わなかったですが1ヶ月が過ぎ、2ヶ月が過ぎ、3ヶ月が過ぎても私の生活は布団の中でゴロゴロしていました。さすがに家族は、私に対して仕事に行けとか散歩しろとか風呂に入れとか、言いはじめました。私はその頃は、病識もなく統合失調症も精神分裂病と呼ばれており、家族も精神分裂病の漢字の意味から推測していたようです。「人格が分裂している。」とか「何をするか分からない、怖い。」と家族も考えていたようです。

 弟が私を見かねて大学病院の私の主治医に診察してもらい、入院させようと考えていたようです。主治医は弟に「お兄さんは入院するほどの状態ではない。」と診察しました。弟はめったに声を上げない人間でした。その弟がみかねて私の診察に同行したのは、今思えばひどい状態のADL(日常生活動作)だったからでした。私が統合失調症を発病して、入院して寛解して、私に対して家族がどのようにして接していいのか分からなかったのでしょう。私自身冷静に自分に罹患した病気に本を探して勉強してみようとは考えなかったです。身体がだるく時間の経つのは遅く、殆ど布団の中でうつらうつら寝ていました。

 私は、統合失調症を発病していました。普通なら私は、自分のことですから病気の勉強をしているはずですが、何にもやる気や興味が湧きませんでした。今では、その頃のことを思い出すと、統合失調症の陰性症状と抑うつ状態だと理解できます。かといって、それがどうなのと言われれば、そのような状態なのでしょうと思う限りです。半年くらい風呂に入らずにいましたが、自分では何も考えることができないでいました。ただ、服薬を長期に続けないといけませんよと主治医に釘を刺されていました。主治医は、統合失調症は治るとは言わずに、服薬を続ける事によって火山が爆発して噴火しているのが休火山のように落ち着いて寛解している状態であることが分かりました。

  今振り返ると私と統合失調症の共存のこの32年間は、ある意味発病してから私には必要な時間だったのでしょう。病気を発病して否認・怒り・諦め・受容へと階段を上り下りしていました。何の因果か3回目の退院の後、病院と社会の中間施設の生活訓練施設援護寮ヒエダに入所しました。ここで約3年の入所をして、その間に一般就労して1年間通勤しました。私は、援護寮で様々な生活技術の習得にゆっくりと確実に身に付けました。ドラック管理・金銭管理・掃除・洗濯・調理・整理整頓など援護寮の私担当の指導員に教えてもらいました。今思い出しても順調に訓練はいい方向に進んでいました。一般就労して援護寮から1年間通勤して、自立生活を始めました。私自身、地域社会へと社会復帰も順調に進みました。自立生活をして、平成20年に結婚しました。私は、母に連れ合いを紹介して、結婚しました。平成23年に母は亡くなりました。いまは、母が亡くなって3年目になりました。母は、最期まで私のことを心配しました。私は、連れ合いとは仲良く長生きをしたいです。

 さて私は、CIL下関で仕事をして12年目を迎えました。私の望みをお話して、私の決意表明しようと思います。これまで、私を穏やかに静かに見守ってくれた上司・同僚、稗田病院・施設の職員、ピースオブマインドはまゆうの職員、そして私の知り合い・仲間の皆さん達に見守られ、励まされたりしました。私は、彼らの信頼を裏切らないように表舞台でなく縁の下の力持ちとして陰で皆さんのために働きたいと思います。それが私の使命ではないのかと考えています。そのような仕事が私に合っているのではと思います。私は自分の気性が分かっています。私は、いまの仕事、メンタルにゅーすヒエダの編集、事業の企画を立て事業資金の捻出の助成財団申請等から日々のルーチンワークまでゆっくり確実にそれらの歩を進めています。今私は、こんなに穏やかに毎日の仕事をやっております。おごり高ぶらず、坦々と日々を送っています。私に何らかの才能があることを上司のKは見出し、遣り甲斐のある仕事を与え、私の病気と障碍を考えて見守ってくれます。大変有難いことです。最後に私の座右の銘を紹介して今号のメンタルにゅーすを終わろうと思います。

@    継続は力なり

仕事を続けることは、力となり、私に誇りと遣り甲斐をあたえてくれます。

A    初心貫徹

自分がやり始めたこと、決心したことは貫き通すこと。

B    規則正しい生活リズム

人より早く寝て、早く起きる。3食の食事を摂って仕事のエネルギーを吸収。

C    多くを望まず、中庸を目指す。

D    日々を穏やかに暮らす。

当たり前に考えていることで、精神の障碍を持っているからではなく、人の考えることは皆、同じようなことを考えています。

 

【編集後記】

 このメンタルにゅーすを編集するときは幻聴と妄想がありません。それを今日初めて気がつきました。私の残存症状の幻聴と妄想は、車を運転するときもありません。かなりの集中力が必要なときに時を忘れてまい進してしまいます。頭の中のどこかのスイッチのONOFFの切り替えができるようになれば、私の昼間の覚醒時の幻聴と妄想のシャットアウトができるようになると思います。いまは、残存症状の幻聴と妄想が活発に発現していますが、何とか対処しています。統合失調症は、歳をとるにしたがって病状も落ち着いてくると何かの本で読みました。私も何時かは幻聴と妄想がなくなる日々を迎えたいと思います。それまで私は病気と障碍に対処して生活していこうと思います。

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