メンタルにゅーすVol.180

メンタルにゅーすヒエダ

薬剤投与の趨勢

(多剤大量から単剤適量へ)

2015年  Vol.180

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

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 私のスクラップブックでH15(2003)年の新聞のスクラップが出てきました。既に欧米では向精神薬の単剤適量の投与がなされていました。その頃から少し自分の服薬している薬のことを薬のハンドブックで調べていました。下関の援護寮ヒエダにきてから旧薬から新薬の非定型抗精神病薬リスパダールへ切り替えました。その頃私は、副作用(眼球上転・手の震えや便秘など)がありました。副作用がなくなり精神症状の改善がありました。私はそう深く考えず、特に眼球上転がなくなって状態が落ち着いてきたのを感じました。それから、リスパダールを少し減薬してから眼球上転の副作用が時々発現していましたが薬の調整で治まっていました。現在、私はリスパダールの至適用量が6mgと分かりました。ですからリスパダールの服薬のときは気をつけています。

 新聞の切抜きのことに話を戻します。それは、向精神薬の多剤投与と単剤投与のお話です。その頃の私の主治医から非定型抗精神病薬のリスパダールへの入れ替えを薦められました。自分としてはストレスに対して耐性がつくようになりました。もちろん残存症状の幻聴と妄想が症状としてありましたが、気にならなくなりました。薬を新薬に入れ替えて、便秘は別にして、向精神薬の眼球上転や手の震えがなくなりましたので大変ありがたかったです。

 

 

 私のお話はさておき、その新聞記事を紹介します。

「統合失調症に新治療戦略 多剤大量から単剤適量へ」

 

 日本では統合失調症の治療は、多剤大量療法が根強い。批判が少なくない"薬漬け医療"から抜け出すにはどうしたらよいか。

  従来型の抗精神病薬に比べ、副作用の少ない新タイプの非定型薬を単剤で適量使う新治療戦略を、盛岡市立病院の上田均・精神科科長が提唱している。

  上田科長によると、統合失調症の患者に従来型の治療薬の多剤併用に非定型薬を上乗せして使っても、症状は改善しなかった。このため、思い切って非定型薬の単剤にして量も減らすと、見違えるほど好転したという。

  しかし、長年続いた多剤大量療法の壁は厚い。欧米では一種類の抗精神病薬投与が主流だが、日本では半数の患者が三種類以上の抗精神病薬を投与されている。一九九〇年代に欧米で普及した非定型薬への切り替えが、なかなか進まないのが背景にあるという。

  「従来の多剤大量療法を漫然と続ける限り、非定型薬の効果は減り、普及が遅れる」。そう指摘する上田科長は、新治療戦略を提言する。

  内容は(1)統合失調症を発症した患者に一種類の非定型薬を少量からゆっくり増量していき、きめ細かく観察する(2)薬物による早急な鎮静を求めすぎない(3)心理社会的治療・介入を併用するなど。非定型薬は、自閉や意欲低下などの症状にも効く。日本では現在、四種類(リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ペロスピロン)が承認されており、順次使って患者に合った薬を選択する。

  こうした方法を組み合わせることによって、患者の生活の質(QOL)改善や社会復帰の促進、再発防止につながるという。

  日本の精神医療は病院のベッド数が多く、欧米に比して平均入院期間が長い。こうした問題点も、時間をかけて丁寧に治療する「新しい薬物療法」には逆に有利に働く可能性がある。上田科長は「非定型薬の単剤・適量使用を実践し、その良さを患者も家族も医師も実感してほしい」と話す。

  統合失調症で治療中の国内の患者は約七十万人。うち入院患者は約二十万人にも上る。日本精神神経学会の佐藤光源理事長(東北福祉大大学院精神医学教授)は「薬は急性期の治療だけでなく安定期の再発予防にも有効」としながら、「錘体(すいたい)外路症状や認知障害といった副作用を回避する、十分な精神薬理学的な知識が必要」と指摘している。

                                (熊本日日新聞2003723日付夕刊)

 

 

【編集後記】

私が下関の援護寮にやってきたのはH132001)年21日のことです。その直前までの3度目の入院で性根が入りました。F病院を退院するとき主治医や看護師のアドバイスは、地域社会で長く暮らしていくなら、どんなことがあっても服薬・通院だけは守って生活しなさいと言われたことが身にしみます。私自身、3回目の入院は4年と長かったです。なかなか、退院が許されなかったので必死に療養に取り組みました。

 それで私は思案したのは退院するのはよしとして、服薬管理ができるかどうかへの不安でした。私は、16年間服薬を何とか実行していましたが、服薬の大切さを馬鹿にしていた面もありました。勝手に服薬用量を増減したりしていました。今思えば恐ろしいことをしていたと反省しています。薬とその効用を私のかかりつけの精神科病院の薬剤師の先生に聞くことがたまにあります。「SAM薬の乱用をして調子を崩して入院とならなかったみたいだけど、用法用量を守りなさいね。」と本気で私のことを心配してくれました。

 時々、当事者仲間で薬を乱用しているなとみてとれる人がいます。薬の副作用で肥満するからと断薬している仲間がいます。そういう人に当事者として伝えたいと思います。自分の病気を悪化させて入院していることと、服薬を守って長く地域社会で生活をすることとどっちが大切なのか考えて下さい、皆様いかがですか・・・・・・・・ 

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