メンタルにゅーすVol.188

メンタルにゅーすヒエダ

 

「雷雨と嵐の中から現在の私へ」

2015年  Vol.188

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

EL    (083)-263-2687

FAX   (083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 発病して33年、当初、何も分からず気がつけば入院、そして気が付けば保護室で強い抗精神病薬を服薬して、一日のほとんどの時間を眠っていました。保護室に何日間いたのか記憶にありません。後で看護師さんに聞いたら、3週間ぐらい保護室にいました。H製作所横浜工場のなかにある家電研究所を退職して故郷に帰って、叔父の仕事を暫く手伝っていました。仕事の役には立っていませんでしたが、物足りなさを感じてF電機化学という会社に採用されました。静岡の本部の工場で半年間設計の勉強をして、研修を終えて山口に帰ってきました。そして、S市から通勤していました。私にはその頃、病感も病識もありませんでした。次第に独り言を言ったり、誰かと話しているように対話していました。どうも最近のサムはおかしいと周りが心配していました。

 上司が医者に相談して、私は山口大学付属病院に連れて行かれました。診察する前に精神科の医者になったばかりの人に統合失調症かどうかチェックする予備診察をされました。口答で質問され私も口答で答えていました。それが終わって1時間くらい待ちました。口答のチェック用紙を分析して、教授から貴方の病気は精神分裂病(=統合失調症)ですと診断されて、すぐに入院する事が決まりました。この頃は、隔離室に入院しました。隔離室も現在では保護室と呼ばれています。この部屋は8畳ぐらいの部屋で、まさに牢屋みたいなところでした。この部屋の中はどんな所かといいますと寝るところ、食事をするところ、排泄をするところが一部屋にありました。冷静に状態が落ち着いたときに保護室を出て大部屋に移りました。今考えれば、このような病室があることに、冷静な思考ができなくなっていました。多分、自傷他害の可能性があるので、保護室に入院したのでしょう。

 暫く時間を戻します。私の言動が少しずつおかしくなっていくのに、私の上司は工場の中の医務室の医者に相談していたのでしょう。いろんな方面に上司が相談して、私は入院となりました。私は、統合失調症の当事者として混乱していました。山口大学では、状態も落ち着いて、入院も3ヶ月で軽快して退院しました。退院したときには、どのような生活をすれば良いのか、何に気をつければいいのか分かりませんでしたが、服薬だけは守りなさいと主治医には言われました。今考えれば、服薬を守る事は当然と思いますが、薬を2週間ぐらい服薬していましたが、すぐに断薬してしまいました。半年位して山口大学の私の主治医が心配して自宅に電話がありました。それで、電話があった翌日に診察に行きました。抑うつ状態で紹介状を書いてもらって、N病院に行き入院となりました。この病院も3ヶ月の入院で退院しました。この病院の主治医にも、この病気は長期間の服薬を続ける事で再発防止、状態の安定が持続するので、服薬だけは守りなさいと言われました。精神科の医者に二人もそろって同じことを言われたので、根が真面目な私は15年間、細かい状態の浮き沈みがありましたが、服薬を守りましたので入院しませんでした。

 15年経って、状態が安定していて、再発もないのでもう薬をやめてもいいだろうと、私の勝手な判断で服薬を止めました。1ヶ月くらいで状態を崩しました。隣近所に迷惑をかけて、措置入院となりました。入院したのがF病院でした。ここでおよそ4年間、入院しました。ここでも、保護室→閉鎖病棟→大部屋と状態が良くなってきました。私の担当の看護師さんには大変お世話になりました。私の話をよく聴いてくれて、最後に悲しい顔をして一言、「服薬を守っていれば入院しなくてすんだのにね。」と言っていました。このように主治医や看護師さんがこれだけ、口をすっぱくして服薬を守る事を繰り返し言われたので、私も服薬を継続してきました。私の罹患している統合失調症は、慢心して病気は治ったと思い込むと断薬してしまいます。薬を規則的に服薬し続けると状態の安定化と再発防止の効果があります。15年間安定していたのでもう統合失調症は直ったと慢心して服薬をやめると再発します。4回目の入退院から7年が経ちました。通院・服薬を守って仕事・生活を送っています。こんな私が言う事ですので、皆さん服薬・通院だけは守りましょう。まさに、経験者は語るとでも言いましょうか。服薬・通院は大切な事ですからね。

 発病して間もなく、山口大学付属病院の教授が私の統合失調症のことを「この病気は長期間服薬を継続する事が大切だから、服薬・通院を守りなさい。」と言われたことを思い出しました。私は、この病気の実態をまだ分からなかったので退院して状態が良くなると服薬をやめてしまいました。今考えれば、私が何回か再発して、主治医や看護師さんに何回も、「服薬・通院を守りなさい。」と同じことを言われていたのに、私は聴く気になって聞いていなかったのだと思います。私は、下関の援護寮ヒエダに入所して自立を目指しました。この病気は私の場合、自分自身が慢心して、断薬すると再発します。本当に気の長い時間、病気と障碍に共存して生きていくのだなと思いました。状態が良くなって何年も経つと服薬を止めないでお守りのつもりで服薬を続ける事を皆さんにお勧めします。この病気は、服薬・通院を続ける事で再発防止、状態の安定化をしています。病気と障碍には、服薬・通院を続ける事です。統合失調症では、病識があるかないかで地域社会での生活が実現可能か、病院での入院生活を続けるかに別れます。皆さん、服薬と通院を守りましょう。そして、地域社会で自立生活をしましょう。

 

【編集後記】

  私は発病から数えて入退院したのは、この33年間で4回でした。33年間といえば自分の健全者として生きてきた年月23年より長い闘病生活です。幸い、稗田病院の敷地内にあった援護寮ヒエダにお世話になり、自立生活を目指して、服薬・通院・病気・対処法・生活技術の習得等ゆっくり落ち着いて確実に覚えてきました。

 援護寮に入所して、生活技術の習得しながら、病気と障碍に対処できるようになりました。順境なときも逆境なときもありましたが、何とか結婚もして下関で生活をしています。私は、まだまだ、遣り残してきた事があります。それだからCIL下関で、NPO法人らいとで、後悔のないように仕事を続けないといけません。まだまだ、洟垂れ小僧の私は、目標を設定してアガムの法則せったり・んばったり・りしないでボチボチ、残存症状に向き合い、共存して仕事・生活をしていこうと思います。統合失調症で様々な事を経験しました。私は、統合失調症のことを勉強しながら地域社会で生活しています。そして、病気と障碍に対処しながら様々な事を考え試行しながら生きています。私の知識と経験を冊子やメンタルにゅーすのホームページに残しています。まだまだ、仕事を続けないといけません。自分の後に続く精神当事者のためにお役に立てばと思います。ボチボチやっていきましょう。

トップページに戻る