メンタルにゅーすVol.212

メンタルにゅーすヒエダ

 

「うつ病」

2016年  Vol.212

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

TEL(083)-263-2687

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E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

●うつ病の人はストレスを感知しにくい

  ストレスがかかっているのに本人は自覚してないことがあります。特に生真面目で責任感の強い、頑張り屋にその傾向が強く見られます。

 このタイプの人は心身に不調を感じても、つらさを周囲に知られまい、弱音を吐くまいとして、無理を重ねます。食事もとらずに働いたり、休日返上してでも仕事をしようとします。しかし、本人の意識にかかわらずストレスがたまっていて、いろいろな反応を示すようになります。仕事も順調で気持ちが安定しているときならともかく、期待通りにいかず、挫折を味わったりしたとき、とたんにうつ病を発症することがあります。

 うつ病になっても、軽いうちに精神科を受診すれば、それだけ早く直すことができるのですが、本人がうつ病であることに気づかないため、治療を受ける機会を逸し、慢性化をさせるケースが少なくありません。

●周囲の人からは誤解されやすい

 うつ病特有の抑うつ症状は、本人にとっては大変な苦痛ですが、周囲の人からは病気と思われにくいものです。抑うつ症状が強くなると、動作が緩慢になり、仕事の能率も悪くなります。このような場合「怠けている」と誤解されがちです。しかし、本人は、目の前の仕事をさっさと片付けたいと思っても、頭や身体が思うように働かないため、自信喪失して、「こんなに能力が落ちた自分は落伍者だ」と自分を責めているのです。それとは反対に、イライラしたり、落ち着きのない行動をとることがあります。仕事も一生懸命にやって見えるので、「怒りっぽいが元気そう」と思われることがあります。

 周囲の目には元気そうに映ったとしても、それは外見上のことで、内面には、いてもたってのいられないほどの強い焦燥感や不安があり、本人はその苦しみと闘っているのです。

〜うつ病の人が受けやすい誤解〜

周囲の人は・・・

本人は・・・

×誰にもできるような簡単な作業に手間取っている。やる気がないのか

疲労感が強くて、頭が働かず、身体も思うように動かせない

×あんなに仕事ができた人なのに、ミスが目立つようになった。しっかりしてもらわねば困る。

思考力や集中力が低下したことを自覚し、しっかりしなければと、気力を振り絞ろうとしている

×イライラしたり、セカセカ動き回っているけれど、エネルギーがあり余っているのでは?

強い不安感や焦燥感があって、じっとしていられない

 

●うつ症状より身体症状が現れる

  初めてうつ病になった人は、精神的な症状より、身体的な症状を自覚して医療機関を受診するケースがほとんどです。

特に多いのが倦怠感、頭痛、肩こり、腰痛、耳鳴り、手足のしびれ、食欲不振、体重減少、便秘、下痢などの症状です。

 これらの症状がいくつも重なって現れたり、頭痛が消えたと思ったら手足のしびれというように、症状が次々と移り変わることもあります。

 このような身体症状が強く現れるため、たいていの患者さんは、内科や整形外科などを受診しますが、検査を行っても身体の異常は見つかりません。また、症状をを取り除くために薬を服用しても改善されません。

 その段階でうつ病を疑って精神科を紹介してくれる医師もいますが、「異常なしです。もっとリラックスすれば、そのうち良くなりますよ」と安心させてすませる医師もいるようです。

 また、おなかの不調を訴える患者さんに対しては、「慢性胃炎」「過敏性腸症候群」など、症状に応じた病名をつける場合もあります。

 しかし、うつ病にともなう症状は、内科的な治療を受けても消えません。そのため患者さんの中には、病院を次々と変える「ドクターショッピング」に陥る人もめずらしくありません。これでは、同じような検査を何度も受けることになり、時間と費用の無駄になります。

●こんな症状が続くときはためらわずに精神科へ

 初めてうつ病になった人は、頭痛や肩こり、食欲不振などの症状がうつ病によるものとは気づかないでしょう。

 しかし、次のいずれかに当てはまるときには、精神科や、心療内科を受診してみる必要があります。

@    疲労感や倦怠感がひどいが、検査をしても異常が認められない。

 

A    体重が減少したが、医師から異常がないといわれた。

 

B    いろいろな診療科を受診したが、病名がはっきりしない。

 

C    薬や注射などの対症療法を受けているが、症状が改善しない。

 

参考文献:「うつ病」平岡良雄著 PHP

【編集後記】

 うつ病が原因で体調不良を起こして、検査をしても異常が診られない場合があります。そして、最後に精神科や、心療内科を受診してうつ病と判る場合があります。このような病態を仮面うつ病ということもあります。まさか、身体不良がうつ病だとは考えもしません。内科・外科と診療科を回ったり、病院を転々と変わっても体調が優れない場合は、うつ病を疑ってみてください。

 SAMの場合、朝、身体がだるく仕事に行こうか行くまいか葛藤があります。ひどくなると身体がだるく仕事を休んでしまいます。これはうつの軽い症状で私の場合、時間差出勤をすると出勤できます。精神の病は本当に不思議ですね。

 皆様の周りで、ドクターショッピングなどをしていろいろな病院を回っても体調不良が続く患者さんを見たときは、精神科、心療内科を勧めてあげてみてくださいね。

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