メンタルにゅーすヒエダ 「周囲の何気ない一言に 傷つく」 |
2017年9月1日 Vol.235 CIL(自立生活センター)下関発行 ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM TEL(083)-263-2687 FAX(083)-263-2688 E-mail
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家族が、本人に対して辛い言葉を口にしてしまう背景には、「病気や薬、症状の理解不足」「家族自身も気持ちに余裕がなく、不安定になりやすいこと」などがあります。今回のメンタルにゅーすは、「家族の何気ない一言に傷つく」「家族の病気や障碍の理解不足」につ いて考察してみようと思います。
★辛かったこの一言
本人が辛いと感じる言葉の背景には、周囲が本人の状況や病気を理解していないことがあります。また、家族が自分の責任だと感じて「何とかしなければ」と思いつめたり、症状を自分たちへのあてつけと感じるなど、気持ちが不安定になっている場合もあります。
@薬ばかりに頼らないで気持ちをしっかりしなきゃ!
薬の副作用で寝てばかりいるようになったのを心配した家族は、薬に対して否定的となり、終始「薬に頼ってばかりではいけない」「気持ちを前向きにもてば治まるのでは」と言うようになった。
A病気を手柄のように言わないで!
家族内に病人が出て人手不足となり、いろいろ頼まれるようになった。しかし自分自身もつらく、「自分も病気なのに」と言ったところ、このように言い返された。そんなつもりはなかったのに、やるせない気持ちになった。
Bあなただけじゃない、みんなつらいんだ
病気について理解が十分でなく、説明すると「だれでもたいへんなことはある、がんばりがたりないのでは」と言われ、症状による困難を否定されてしまう。
Cそんなに入院ばかりするなら、ずっと病院にいなさい!
病気が改善せず、入退院を繰り返していた時期に家族も疲れ果ててしまい、このように言われてしまった。
Dあなたが「うつ」になるわけがない!
退院後、うつ状態がひどい時期に、遠方に住む家族に連絡を取ったとき、以前の元気なころのイメージしかないためか、症状を否定されてしまった。
○本人の現状を受け止めて
毎日顔を合わせていると、何気ない言葉で相手を深く傷つけてしまったり、ついカッとなって言葉がきつくなることがあります。@からCに上げた言葉には、必ずしも悪意 があるわけではありません。」しかし、その背景には、病気の理解不足や、家族も気持ちに余裕がなく、不安定なために、本人の状況を受け止めきれていないことがうかがえます。
○あきらめよりも応援を
病気を正しく理解することと、病気だから「しかたがない」「できない」とあきらめて、決めつけることは違います。心配なことがあっても。病気に巻き込まれすぎず、年齢相応に対応するほうが、本人にも家族にプラスになります。
★責めないで
薬や病気、症状のことはすべて、適切な情報を得ることで、理解できるものです。医療機関や支援機関、書籍などから積極的に情報を得るようにしましょう。
○理解して欲しい!認められないのはつらいこと
@薬のこと
薬の役割を十分に理解せず、薬に不信感を持っていると、薬を飲んでいる本人は自分自身を否定されたように感じます。
A病気のこと
周囲が精神科の病気に対して偏見をもち、「家の恥」「育て方の責任」などと考えていると、本人のストレスは大きくなり、受診や外出がしづらくなります。
B症状のこと
意欲や集中力の低下などの症状は、目に見えるものではないため、「なまけ」「気持ちの問題」と誤解されがちです。
参考「統合失調症の人の気持ちが分かる本」
講談社 伊藤順一郎 NPO法人コンボ 監修
【編集後記】
精神病の意欲や集中力の低下などの症状は、目に見えるものではないため、「なまけ」「気持ちの問題」と誤解されがちです。当事者は、気配りができず障碍のせいでボーっとしていたりします。そうすると、怠けていると言われることって多いと思います。ましてや五体満足ですので、なおさら仕事ができず、かといって何かに集中するでもなく、ボーとしていると「怠けている」と言われると精神の当事者の立つ瀬がありません。身体障碍者のように見てすぐに障碍者として理解できる場合は、周囲も無理は言わない状況ってあります。それは明らかに、身体機能が動かせないことが、見て歴然と分かるから理解できます。どうも「怠けている」と言う言葉には、その言われた当事者が意識的に何かをせずにサボっているみたいにとれるみたいで、精神障碍者を見ると「怠けている」と観察されるようです。脳の病気なので「反応が遅く」「気配りがない」と思われたり、「怠けている」と言われると言われた当人は相当に傷つきます。精神病者と接する機会の多い人は、そこのところを理解することは大切なことだと思います。当事者の「ありのまま」を肯定してあげ、認めてあげてください。精神の当事者と接していると、少しずつ理解できてきます。しかし、精神当事者に初めて接する人はこの感覚を打ち消せずにいます。当事者のありのままを認めてあげることは大切ですし、当事者理解には必要なことです。