メンタルにゅーすヒエダ

 

「ひきこもり」

2017915日  Vol.236

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

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メンタルひえだURL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

+どんな状態か

 「ひきこもり」もしくは「社会的ひきこもり」は病名や診断名ではありません。不登校や就労の失敗をきっかけに、何年もの間自宅に閉じこもり続ける青少年の状態像を指すものです。

 厚生労働省の「地域精神保健活動のあり方に関する研究班(平成12年設置)」による調査研究では「社会的ひきこもり」とは「(1)6ヶ月以上自宅にひきもって社会参加しない状態が持続しており、(2)統合失調症など精神病でないと考えられるもの。ただし、社会参加しない状態とは、学校や仕事に行かない、または、就いていないことをあらわす」と定義されています。

 事例の多くは、ほとんど外出もせずに何年にもわたって自室に閉じこもり続け、しばしば昼夜逆転した不規則な生活を送ります。長期化に伴い、さまざまな精神症状が二次的に生じてくることがあります。すなわち対人恐怖症状、および変形としての自己臭症、視線恐怖、醜形恐怖、対人恐怖、抑うつ気分、希死念慮、自殺企図などです。

 

+{ひきこもり}の統計

 日本では1970年代からこうした事例が徐々に増加し、複数の調査によって、現在数十万人〜100万人程度の規模で存在すると推定されています。また、「ひきこもり」は日本と韓国に突出して多いと考えられており、増加の背景には社会文化的な要因も関与している可能性もあります。

 厚生労働省による2003年度の調査報告によれば、性別では男性が76.4%と多く、平均年齢は26.7歳と、前回調査に比べて高年齢化の傾向が見られました。なお、この調査に基づき厚生労働省は、ひきこもり事例への対応ガイドラインを全国の保健所や精神保健福祉センターなどに配布しています。

 

+対応の方法

 ひきこもりに対しては、理解ある第三者による支援や治療的対応が問題解決のうえで有効と考えられます。他の疾患(うつ病、発達障碍)の可能性も疑われる場合や精神症状が顕著な場合は、医療の関与が必要となります。

 ただし、ひきこもりの当事者は、初めのうちは必ずそうした介入を望まないことが多いのです。このため、ひきこもりの治療・支援活動においては、必然的に家族相談の比重が大きくなってきます。これに加えて、家族会、訪問支援活動、デイケアや、たまり場などのグループ活動や希望者への就労支援など、複数の立場や部門が柔軟な支援ネットワークとして構築されることが望まれます。

参考文献

Yahoo!ヘルスケア >

家庭の医学 > こころの病気 > 小児期・青年期に発症する行動・情緒障害 > ひきこも

   「ひきこもり」監修 斎藤 環 日本放送出版協会

   「ひきこもり」高木俊介[] 批評社

   「ひきこもりなんて、したくなかった」林 尚実 草思社

 

【編集後記】

 従来 ひきこもりは若者の問題であると考えられており、不登校問題と同一視されてきた経緯から、支援対象者は10代から20代を想定した場合がほとんどであった。しかし近年ではひきこもりの長期化や、社会に出た後にひきこもりになってしまうケースなどにより、30代、40代の年齢層が増大している。ひきこもりの平均年齢は30歳を越え、40代も2割近いという調査結果(2008年調査)もある。この年齢層では支援の方法も限られてしまい、支援団体でも支援対象者に年齢制限をもうけている場合があり、親も老年期に入っているなどの理由から、行き詰まってしまう場合が多い。また、多くの支援団体では支援内容が若年層を想定したものとなっており、家族が相談に訪れても年齢を理由として支援を拒否されることが少なくない行政によるひきこもり支援も同様に若年層を想定しており、条例等の名称に若者、青少年などを冠していることが多い。

 BBC が日本のひきこもりについての番組を放映した時に、多くのイギリスの視聴者から同様の経験を持つコメントが寄せられた。また、イタリアでもひきこもりが目立ってきており、同国の新聞が特集記事を組んだこともある。

同様の現象は、韓国、台湾、香港、アメリカ合衆国、オーストラリア、イギリスなど多くの国、特に先進国で存在すると見られている。オックスフォード英語辞典には20108月、第3版に「hikikomori」の表記で収録された。意味としては“社会との接触を異常なまでに避けること”、“一般的には若い男性に多い”と説明されている。

現代においてひきこもりは、現代病の様相を呈している。SAM58歳)の年代では、生活をすることに精一杯で自分たちの新たな将来に向かって生きていくことに悩む暇がなかった。現代では、家族の中にひきこもり者が存在しても養っていける社会構造が存在する。ひきこもりは、若者だけの問題ではないのです。

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