メンタルにゅーすヒエダ

 

SAMの自立生活経過」

201711月1日  Vol.239

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

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E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

メンタルひえだURL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

私は、198324歳になる年に統合失調症を発病し、山口大学付属病院に3ヶ月入院しました。退院して自宅で療養していましたが、服薬せずにいましたら抑うつ状態になり、また他の精神科病院に3ヶ月入院しました。それから15年間は自宅での療養をして入院していませんでした。この間、調子のいいときは仕事をしましたが、1週間くらいで出勤するとやめてしまいました。一番長く仕事をしたのは、家庭教師の仕事で5年間やっておりました。統合失調症は病識を持ちにくい病気で、20年近く統合失調症のことを知らず、今だったらなぜ病気の勉強をしなかったのか不思議でした。物事知らないことは罪作りですね。

1997年統合失調症を発病して15年目に38歳のとき隣近所に迷惑をかけ措置入院になりました。状態は1年くらいで回復してきました。県知事に3回措置解除のお願いをしました。私の主治医は措置解除擁護派でしたが病院長は措置入院継続の診断でした。何度か院長とやりあって、晴れて公正な第3者機関のお墨付きで任意入院となり、200121日退院と同時に、下関市の稗田病院敷地内の援護寮ヒエダに入所しました。援護寮ヒエダは社会復帰施設の一つで病院と社会の中間施設です。この施設で自立生活の生活技術や病気と障碍の対処法を身につけました。入所してすぐに援護寮ヒエダ新聞の編集を始めました。このニュースレターで制度や病気・障碍の勉強をしました。自立生活をしている先輩当事者たちに取材などをして、ニュースレターを編集していました。援護寮ヒエダで病気と障碍の対処法、制度を勉強したことが後にCIL下関・NPO法人らいとに入社して精神の当事者の自立生活支援の仕事をするのに役に立ちました。援護寮ヒエダでニュースレターの編集で病気や障碍に覚知して病識を少しずつ身につけていきました。勉強していましたら、もっと早く統合失調症を発病して間もない頃に気づいて病気と障碍のことを勉強していたらと大変悔しく思いました。

援護寮ヒエダ入所と同時に福祉工場でランドリーの仕事を始めました。仕事をしながら、当事者との交流で仲間を作り、同じ病気を抱えた仲間の友人になり、今でももう16年来の付き合いをしています。下関の援護寮ヒエダに来るまで、自暴自棄な生活をしてきましたが、仲間を作り自分ひとりだけが苦しんでいるのではない、仲間も病気と障碍を抱えて頑張っているのだから自分も頑張ろうと元気が出てきました。下関に来る前の山陽小野田市では、友人もなく孤独でした。自分だけが苦しく辛い闘病生活でした。しかし、同じ精神病を抱えた仲間の存在は、私の励みになりました。こうして援護寮に入所して19ヵ月後に自分でCIL下関・NPO法人らいとの職場を探し面接し、晴れて採用になりました。自分が精神の当事者なのでCIL下関・NPO法人らいとという当事者団体で精神障碍者の自立生活支援の仕事はやりがいがあり充実していました。

援護寮ヒエダからCIL下関・NPO法人らいとに1年通勤して、援護寮を退所して自立生活を始めました。自立生活を始めたと同時期にメンタルにゅーすヒエダというにゅーすレターを編集して現在も継続しています。精神障碍者の自立に向けてと自立生活の継続などの啓発誌として編集しています。メンタルにゅーすは読者の要望でホームページにして全国展開しています。皆様のお役に立てばと、私のこの上ない喜びです。

私の下関での自立生活がうまくいったのは、昔の山陽小野田市の私に悪影響を及ぼす知り合いと縁を切り、下関という私のことを誰も知らない街で、一から人間関係を作り、信用を積み上げた結果だと思います。私も下関で知り合った人には誠実に、真面目に人間関係を作るように心に誓って対応しています。通院と服薬は自分に必要だと自己決定して遵守しています。通院と服薬を周りの人に勧められているのではなく自分で必要なことだと考えて社会資源の一つとして私は利用しています。

最後に私は「無理しないで頑張ろう」と思います。同じような意味で私が考えたアガムの法則というのがあります。これは、せらない・んばらない・りしないという言葉の頭文字をとったものです。現状の残存した幻聴と妄想に対処して無理しないようにしています。健常者と当事者の自分で仕事の競争はしなくなりました。健常者にできる仕事は彼らに任せて、当事者の自分にしかできない仕事をしています。今は何とか仕事をしていますが、最初は、同僚との距離感や仕事配分が分からなくて苦労しました。そして自分の調子を考えながらボチボチ今は仕事をしています。仕事で、健常者と仕事の競争はしなくなりました。競争をしての勝ち負けは決まっています。今は、気になりますが自分のスピードで仕事をしています。ボチボチやっていきましょう。ボチボチと・・・・・・・

 

【編集後記】

 SAMは当事者の皆さんとなんら変わることはありません。唯一つ皆さんと違うことは「物事を続ける」ということです。例えばメンタルにゅーすは、もう14年目です。それこそ、メンタルにゅーすの発行は最初は2ヶ月に一度でした。そして、毎月発行、毎月2号発行と続き、現在は239号発行しています。私は、小さなことからコツコツ続けてきました。何もかも投げ出したいときがありました。それでも、メンタルにゅーすを続けています。「継続は力なり」ということわざがあります。続けることが力となり自信となります。私はつらいときに、メンタルにゅーすで過去を振り返ります。この頃のメンタルにゅーすのことを思い出し、現在の自分の状況と比較検討しています。私はつまらない人間かもしれません。しかし、多くの経験をこうやって、メンタルにゅーすに言葉を紡いで残しています。では何故、メンタルにゅーすを止めてしまわないのでしょう。自分でも不思議です。ただ、メンタルにゅーすを参考に、当事者の皆さんが何かのきっかけに変わってくれたなら、私もニュースレターの編集に遣り甲斐を覚えます。私は、日本の400万近くいる精神の当事者の一人です。さまざまな経験をして、病気と障碍に覚知してきました。私の経験が皆様のお役に立てばと考えます。支援者の皆さんのお役に立てばと思います。私は小さな小さな存在です。精神の当事者、支援者の皆さんの当事者理解のお役に立てばとメンタルにゅーすを続けていこうと思います。自分のモチベーションの維持に苦労しています。しかしやり始めたことは決して投げ出さないように心に誓っています。

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