メンタルにゅーすヒエダ

 

「電気ショック療法の議論」

2018918日  Vol.260

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

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電気ショック療法の議論はネットでは否定的なことが多いです。医療者側からすれば、今は昔と比べると格段に安全になった。施術には、麻酔薬と筋弛緩薬を使ってやるので5万回に1回くらいのリスクがあると言っています。私の弟が電気ショック療法を行って、治療効果が出ずSAMは否定的な意見です。かといって、良い結果が出た当事者さんもいるので、これは考えもんだなと思います。施術で良い結果が出た事例は、どのくらいあるのか分かりません。数字で把握しようがないのが現実です。いずれにしても、電気ショック療法に踏み切るにはハイリスクハイリターンな気もします。もともと、電気ショック療法を創始した人も、脳にショックを与えたら何らかの治療効果があるのではないかとの発想だったのかもしれません。この、電気ショック療法の創始者も後にこの治療に反対しています。患者に、恐ろしいショックと負担がありましたので、おびえておとなしくなったのだろうと思います。学術的な理論がまだはっきり分かってないが、施術に結果当事者の重度の精神障害が回復する場合があったとの実例が端を発したのではないかと思います。

【ネットより参照】

以下に、ある特定非営利活動法人がネットで発表していますのでご参考下さい。

電気ショックは議論されるどころか、年々日に日に最先端のものとして各施設導入されてきている感がある。
当法人の精神医療ホットラインにも治療を開始して早々に電気ショックされたという家族さんからの相談事例もあった。
ここまでくれば人権もくそもない。ただ、症状を標的としてそれを治療と称する無法地帯となりつつある。
最近特に思う。
薬の多剤併用にしろ電気ショックにしろ、患者を見ず症状のみを見た結果起こっているのではないかと。
こんな話をすると、
「なにを基本的なことを」
と思うかもしれないが、医師の一部に散見されるのは事実だろう。
人間そのもの(あるいは背景を含んだ全体)を見ないがために、ベロが出ようが手が震えようが、激しい便秘になろうが、首が直角に曲がろうが気にしない。少々妄想があるのと、それより妄想はましになるが副作用が強いほうがあれば、後者を治療方針として選ぶ。
自覚していないかもしれないが、こういう治療はまだまだ多いはずだ。
人間像を見ない治療はど素人でもできる。ECTは最先端どころか
※「私は治療できませんでした」
と、白旗を上げているに等しい。
また、最後に言うが
確かに困難事例はある。それこそ、長年多剤併用で認知機能どころか、理性もコントロールできなくなった人の場合は、適応があるかもしれない。
しかし、その際でも看護を含む医療スタッフ全員で議論して決定すべきだろう。

 

このようにしてしつこく問題提起をしてきたが、電気ショックの頻度は鎮静化するどころかさらに増えているように思う。

問題は医療従事者の治療・看護感覚のマヒにある。

ここで、以下に電気ショックに至るまでのありがちなイメージを挙げてみた。

1、診断基準のあいまいさから、治療が逸脱し、薬ですべてを矯正しようとしてしまう。

2、その結果、身体的なものにとどまらず、精神症状や認知機能障害が副作用として出現する。それが薬の副作用ではなく、精神症状の悪化と認識されてしまう。

3、その症状を軽減させる目的で、さらに薬を増量したり、いろいろな薬に変更したりするが、悪化の一途をたどる(減薬・スイッチングの基礎知識がないことも要因)。

4、この症状をみて、難治性統合失調症(あるいは難治性うつ病等)という病名に変化して電気ショックの適応ではないかとの話になる。

5、電気ショックの結果、症状的には見事に奏功する。

この流れをみて、医療従事者は

「電気ショックってよく効くよね!」

などと、症状の回復をみて感動する。

ところが、その患者のいくらかは症状が再燃する。症状の再燃によって、電気ショックが何クールも繰り返され、過去の記憶や判断力は失われていく。

そしてそのまま記憶の一部が戻らなかったり、体の不調などに悩まされるようになる。

しかし、我々医療従事者は、このあたりの問題にあまり敏感に反応しない。 

つまり問題は、患者の人生を包含した倫理面が、医療従事者のマヒによってマスクされてしまっているということだ。

治療とはなんなのか、

人の記憶が失われようと、身体症状に苦しめられようと、

目先の症状のみが一時的にでも軽快すればそれでいいのだろうか。

 

電気ショックの問題に触れる際、

それに代わる治療方法の提案がなければ、ただの反対派に聞こえてしまうかもしれないが、

・大きなずれのない診断、

・より的確な薬物療法、

・加えて環境調整

・治療とはなんなのかということの再考

・医療従事者の感覚麻痺からの脱皮

このあたりの認識があるかないかで結果は大きく変わる。

治療経過の問題などもあり、電気ショックをありかなしかで議論することは危険であるが、

あまりにも、安易に施行されすぎている現状を見て、改めて問題を提起させてもらった。

今日は、ひとまずこのあたりで。

【編集後記】

 私は弟がたまたま電気ショックの施術を受けていたので、いろいろ調べてみました。自分の周りで当事者が電気ショックの治療を受けたのを聞いたことがなかったので、まさか弟にこの治療法が行われているのにびっくりしました。弟は44歳で精神病に罹患しましたが、当初普通に会話も出来ていました。入院もせず通院服薬で治療を行っていました。

 弟の精神病が重度になっていくのを傍で垣間見たわけではないのでなんともいえませんが、ここ数年言動や挙動がおかしいのを感じます。弟は、私と2歳違う今年で57歳になります。弟の状態の増悪が適切な治療で落ち着けばと思います。

私は、精神科医ではありませんので、電気ショック療法の知識不足かもしれません。しかし分からないままに、ネットで検索して調べてみると、施術を行っている精神科病院側では安全で効果があると謳っています。電気ショックで、脳の神経伝達物質の分泌調整がされているのではないかとの推測で、近年ひそかに電気ショック療法が行われているようです。良い結果が出たことだけで、その統計資料の発表もないままにこの施術が実施されてもいいものだろうかとSAMは考えます。

SAMは、弟の事例で良い結果が出てないので、施術に批判的ですが皆さんの知り合い家族にはよーく考えて欲しいなと思います。私が、眉唾物だと思うのは施術回数や結果の統計資料がないままに、電気ショック療法は効果があるよ、良い治療法だよと言われても信用しなさいと言うのが信用できません。

いずれにしても、電気ショック療法の施術には熟慮の上に実施するかどうかを考えたほうがいいと思います。

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