メンタルにゅーすヒエダ 「病気と障碍を知ろう」 |
2017年12月4日 Vol.241 CIL(自立生活センター)下関発行 ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM TEL(083)-263-2687 FAX(083)-263-2688 E-mail
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私が今日病気と障碍を受容し残存する症状に対処しているのは訳があります。私は発病して20年近く、病気と障碍に右往左往することがありました。今のように病気と障碍に対処して受け入れるようになったのは、援護寮に入所してから病気と障碍のことを勉強したことと、当事者仲間と交流を持ったことです。それまでは、統合失調症を罹患して世の中で自分が一番不幸な人間だと考えていました。援護寮に来て昼間の数時間は、福祉工場のランドリーで働くようになりました。福祉工場で働く当事者仲間と交流を持つことで仲間の闘病生活を知り、精神の病気を持っていても仲間の頑張っている姿を見ていると、自分も頑張ってみようと思えるようになりました。仲間と交流をしていると同じ薬を服薬している人が多いことに気づきました。私が統合失調症で同じ薬を服薬している当事者仲間がなんと多いことかと思いました。統合失調症の罹患率が1パーセントなので自分の周りを見回して100人に一人は統合失調症の当事者がいることが分かりました。当事者と交流していると、幻聴や妄想が服薬しても残存している当事者がなんと多くいるのか気づかされました。また2大精神病の統合失調症と躁うつ病の人が多いなという感想を持ちました。
私は統合失調症と診断されていたので誰かが自分の悪口を言っている声が聞こえるのが何故だか理由が分かりませんでした。仲間に相談するとそれらは幻聴と妄想だとわかりました。仲間が幻聴と妄想が残存していても対処して生活しているのを見ていて、これは自分にも対処して生活できるのではないかとふと思いつきました。仲間から教えられた幻聴と妄想に興味を覚えて統合失調症の勉強を始めました。生活訓練施設の援護寮にそのころは入所していましたので、寮の職員が精神病の本を見えるところにおいてあったので、本を貸してもらいました。このとき寮の職員が、本屋を探せば統合失調症やさまざまな精神の病気や制度の本があるから、本屋に行ってごらんとアドバイスを受けました。本屋を探すとなるほど精神関係の本を見つけることができました。その中で、一番役に立ったのは、本の名前は忘れましたが、A5版の全家連というところが出版している精神保健福祉の本でした。その本を読んでいると綿が水分を吸うように、私の頭の中に入ってきました。その本の中には、病気や障碍、制度、社会復帰施設のことが分かりやすく書いてありました。それと,その出版社のぜんかれんという当事者向きの雑誌が大変役に立ちました。全家連という団体は国からの助成の不正流用で潰れてしまいました。私には、この団体を惜しみながら見送るしかありませんでした。
私は、援護寮に入所している間に援護寮ヒエダ新聞というニュースレターを発行するようになり、私が精神関係で勉強した情報をその中で編集していました。このニュースレターは、私が援護寮入所中に毎月発行して36号まで編集しました。援護寮には、精神保健福祉士や看護師経験者がおられましたのでわからないことがあったらよく彼らを捉まえて疑問点を教えてもらいました。
援護寮でニュースレターを編集して、保健所や当事者仲間、病院の職員とも顔見知りになりよく取材をしていました。私が知りたかったことの中に、私に残存する幻聴と妄想の対処の仕方がありました。気分転換に散歩やTVを見たり音楽を聴いたりすることを教えてもらい現在でも役に立っています。その当時、間欠的に幻聴と妄想がありましたのでウォークマンを多用していました。福祉工場で働いているときにも仕事中ウォークマンを聞いていました。一般就労してCIL下関・NPO法人らいとでも勤務中にiPodを多用しています。私がお世話なっている精神保健福祉士の土井氏に幻聴の説明を受けたことを今でも覚えています。彼は次のように私に教えてくれました。幻聴とは頭の中で作られた音や声で耳で聞こえるように感じるものだということです。そこで当事者ならではの幻聴のチェックを私は考え出しました。両耳を両手で押さえて、周囲の音が聞こえないように強く押さえても何か音や声などの悪口などがきこえたら、それは幻聴だということです。普通、耳を強く押えると周囲の音は何も聞こえません。もし声や音が聞こえたら、それは幻聴だということです。
私は、統合失調症を中心に精神の病気や制度、対処法など勉強して一般就労まで社会復帰するまでになってから、自分の罹患している統合失調症や残存する幻聴と妄想などの対処法をもっと早くに勉強していたらと後悔することが多かったです。もっと早く勉強していたら、もっと時間を有効に使えていたなあと悔しく思いました。統合失調症に罹患して、病気と障碍に振り回され20年近く自暴自棄なひと時を過ごしました。病気と障碍を受容して対処できるようになり、精神障碍者の自立生活支援の仕事ができて良かったです。下関市に移住してさまざまな順境なとき逆境なときを過ごしましたが総じて良い経験をしました。なかでも障碍者運動や精神障碍者の自立生活支援の仕事に携われたことは良い経験です。
【編集後記】
生まれ故郷の山陽小野田市を後にして下関市に移住して私の人生の建て直しに専念できたのは良い経験でした。当事者仲間との交流、医療関係者、福祉関係者たちの支えで今の自分があります。人生の建て直しに15年近く時間がかかりました。この間に結婚することができました。私のような精神の当事者に未来はないと考えていましたが、遣り甲斐のある仕事を得て、さまざまな人たちと知り合いになれて幸せです。統合失調症に罹患して、「結婚できない」「仕事ができない」「一生病院生活」などをすべて覆し地域社会生活が送れています。これからは、妻と仲良く順境なときも逆境なときも共に長く生活ができるように頑張りたいと思います。何よりも今の私があるのはさまざまな人たちのサポートがあるからです。これからの地域のなかでの精神の当事者のサポートもピアカウンセラーとして続けていけたらと思います。