メンタルにゅーすヒエダ

 

「アガムの法則」

201952日  Vol.272

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

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E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

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 私が精神の病気と障碍を抱えて生きるには、アガムの法則が大切だとメンタルにゅーすの中で皆さんに伝えています。アガムの法則とはあせらない・がんばらない・むりしないの頭文字をとってアガムの法則としています。

 あせらないでは何かするときにはじっくり考えて行動を起こしています。行動には段取りや計画が大切です。時間の期日の計画は、かなり余裕を持って実施しています。行動の前にはじっくり推敲をして、計画を立てています。経験的な知見で、行き当たりばったりで行動したときに上手くいったことがなかったので分かりました。本来SAMは気の小さいくよくよ悩む性質がある人間ですが、そのような事を他人には見せないように物静かに堂々と行動しています。それと思った事を皆にすぐに公言せずに、じっくり考えて行動します。ですから、CIL下関・NPO法人らいとでは上司や同僚にあせった振る舞いは見せません。基本的に悩みがあれば上司には報告・連絡・相談をしますし、自分の判断に迷ったときには周りの同僚に相談します。何か行動を起こすときに、あせる事はSAMにとっては鬼門です。

 がんばらないでは、SAMのマックスパワーを100とすると常に6070パーセントの力で物事に取り組んでいます。SAMはがんばりすぎると周りが冷静に見えなくなり、狭く深く考えてしまう事が多いです。また、一生懸命になりがんばり続けて調子を崩す事が多いです。それなので、がんばらないようにしています。もちろん、物事をやる前に段取りや計画を綿密に立てていますので、その予定通りに実行しています。今まで思ったら即実行で、マックスパワーで走り続けて調子を崩す事を数多く経験していますので、がんばらないようにしています。がんばらないというのは手を抜く・怠ける意味合いに取られることがありますが、平均的パワーで物事に取り組むようにしつつ、時々強弱を入れることをします。がんばって、経験的に調子を崩す事が多くありますのでいつも気をつけています。

 むりしないでは、自分の状態に易疲労性がありますので気をつけています。むりをするとSAMの場合必ず調子を崩してしまいます。それでむりしないほうがいいことが体験的に分かりました。いい仕事をするには、綿密な準備、段取り、計画が大切な事です。これらの事をよく推敲しておけば、想定外のことにもある程度対応できる事を、SAMは理解していますのでむりはしません。

 総じて。アガムの法則は60から70パーセントくらいを限度に物事にトライしています。SAMがアガムの法則に気づいたのは、あせり・がんばり・むりすると必ず調子を崩すので、先輩の当事者に相談しましたし、主治医や看護師さんにも相談しました。皆さんそろって、あせらない・がんばらない・むりしないほうが病気と障碍を抱えて長く地域社会生活するのには大切だよと言われていました。そういわれる人たちが多いので、精神の病気と障碍を持っている人たちにはアガムの法則が該当すると思います。

 あせらない・がんばらない・むりしないをどこまで継続・断念するかは、病気と障碍を持って、暫く経験しないとどこまでが限度か分からないと思います。病気と障碍の受容・対処などをして当事者自分自身で限度を体験的に決めないといけませんが、長く当事者をやっていると何となく分かってきます。SAMは、調子を崩すと短縮就労や、休暇をとりますと調子も回復してきますので、経験的にああここが限度かと考えて対処しています。そして、自分の今までの判断に間違いはなかったと実感しています。仕事や運動を長く続ける秘訣はあせらない・がんばらない・むりしないことです。その点アガムの法則の遵守は、SAMにとって大切な事です。

 障碍者にとって、自分の住みたいところでの地域社会生活を、自己決定・自己実現・自己責任を担いながら続けることはとても大切な事です。優生思想のように特定の人(子供・女性・高齢者・障碍者)を排除する社会ではなくて、様々な人たちが生活できる社会の包括的・共生的なインクルーシブ社会は、社会の構成員のどんな人も受け入れる社会で、とても大切な事です。これは精神障碍者にも言えることで、怖い・危ないという差別・偏見を元にしての治安維持という名目や、治療や支援だといって無期限の隔離拘束などしてきた過去の施策は間違っていると思います。

 SAMは、様々な人たちで構成されるインクルーシブ社会が、われわれ人間の目指す社会だと考えています。しかし優生思想は、人間の心の中に巣くっています。まずはこの優生思想を教育(義務教育)の中で取り除いていかなければと思います。

 

【編集後記】

 精神障碍者にとって病識を持って地域社会で自立生活をすることは大切な事です。とくに、統合失調症は病識を持ちにくい病気だといわれています。自立生活をして服薬・通院をする人の6,7割は病識を持っているという報告があります。病識とは自分が病気である認識と、治療のために通院し服薬が必要だという事を認識することだとSAMは考えています。このような当事者は、何か調子が悪いと気づいた時には、通院して診察を受ける事ができていると思います。しかし病識がないから自立生活が出来ないわけでなく、適当な支援(介助・訪問看護等)を受けて生活することもできます。お金の管理は社協の地域権利擁護事業なども使って生活する当事者もいます。何でもかんでもすべて当事者が出来ないといけないという考え方は、現在では少し緩和されてきました。当事者にできない事は介助を利用して自立生活をするのも、考え方の一つとして認められてきました。SAMは病院と社会の中間施設生活訓練施設援護寮(現在はこの制度がなくなった。)で自立生活の訓練をして地域社会で自立し、現在では結婚もして穏やかに静かに生活しております。私と連れ合いは当事者でたまたま介助を使っていませんが、精神障碍者でも利用して生活している人たちもいます。何でもかんでも、当事者自身で生活するのではなく、できない事は介助を使い支援を受ける社会になりつつあります。障碍者が変わるより社会が変わるほうが、インクルーシブ社会の実現に寄与するのではないでしょうか。SAMはそう考えています。

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