メンタルにゅーすヒエダ 「適応障害」 |
2019年6月3日 Vol.274 CIL(自立生活センター)下関発行 ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM TEL(083)-263-2687 FAX(083)-263-2688 E-mail
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適応障害
目次
概要
適応障害とは、生活の中で生じるさまざまなストレスにうまく対処することができず、抑うつや不安感などの精神症状が現れて日常生活に支障をきたす病気のことです。
ICD−10(世界保健機構の診断ガイドライン)では、原因となるストレスが生じてから1か月以内(米国精神医学会のDSM5では3か月以内)に発症し、ストレスが解消してから6か月以内に症状が改善するとされていますが、ストレスが長く続く場合には長期間続くこともあります。
適応障害の症状はうつ病や不安障害などと類似していますが、これらの病気の診断基準に明確に当てはまる場合、一般的にはそちらの診断が優先されます。たとえば、明瞭な環境変化があり、その状況に“適応”できずにうつ状態になった場合でも、症状や持続期間などがうつ病エピソードの診断基準を満たすのであれば、診断は適応障害ではなく、うつ病になります。
また、適応障害と他の精神疾患を明確に区別できない場合もあり、発症当初は適応障害と診断されても、経過を追ううちにうつ病や統合失調症、不安障害など診断名が変わることもあります。
原因
適応障害は、ストレスなどの外因的な要素と、ストレスに対する対処力や本来の性格などの内因的な要素が組み合わさることで発症します。それぞれの要素には以下のようなものが挙げられます。
外因的な要素
家庭や学校、職場での環境の変化や人間関係の悪化が原因となることが多いですが、災害や親しい人との離別、本人の健康問題などが誘因となることもあります。他者にとっては些細なことと思われるような出来事であっても、重大な症状を生じることがあります。なお、親しい人との死別反応による場合は適応障害とは区別されます。
内因的な要素
社会生活を送るうえでストレスを完全に排除することは困難です。誰にでもストレスはあるものですが、些細なストレスで適応障害を発症する人もいれば、大きなストレスが生じても何ら変わることなく社会生活を送る人もいます。
これは、元来の性格や考え方によるストレスへの耐性の違いなどが影響すると考えられます。
症状
ICD−10(世界保健機構の診断ガイドライン)では、適応障害の診断基準を、「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」
と定義しています。
情緒面の症状とは、抑うつ気分や不安感、感情の高ぶり、集中力の低下などが挙げられます。また、これらの症状によって不眠やめまい、動悸などの身体症状が現れることもあります。
一方、行動面の症状としては、万引きや暴力などの素行の障害、摂食行動の異常、遅刻や無断欠勤など社会生活を営むうえで他者にとっても障害になるような行為があらわれることがあります。
しかし、これらのさまざまな症状は、ストレスがなくなると改善されるのが特徴です。通常、ストレスが消失してから6か月以上症状が続くことはないとされています。
検査・診断
適応障害の診断には、血液検査や画像検査による明確な基準はなく、症状の現れ方や時期、ストレスとの関係などを丁寧に問診していくことが必要となります。
また、適応障害はうつ病や不安障害など、そのほかの脳の器質的疾患を除外したうえで診断されるため、それらの除外のために心理検査や脳の病変をチェックするCT検査、MRI検査、脳波検査などが行われることがあります。
そのほかにも、抑うつ気分を生じる甲状腺機能低下症などの内科的疾患を除外するために血液検査が行われる場合もあります。
治療
適応障害の治療でもっとも大切なことは、原因となるストレスからの解放です。そのため、一時的に学校を休ませたり、休職をすすめたりする場合もあります。職場の配置転換後に発症した場合は、本人が希望する部署への異動をすすめるのが有効な場合もあります。
また、家庭内での環境調整や周囲の協力を得ることも必要です。多くの場合はストレスとなる要因がなくなると症状も改善します。しかし、ストレスを完全に排除することは困難なことが多く、ストレスとうまく付き合いながら、情緒面の症状に対症的な薬物療法が行われます。
一般的に薬物療法で用いられるのは、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などですが、心理療法に比べて効果のエビデンスが乏しく、環境調整や心理療法が優先されます。
心理療法としては、認知行動療法やカウンセリングが行われることが多く、補助的に薬物療法で症状を抑えながら、環境を徐々に整え、ストレスを受け入れる手助けをする治療が行われます。
【編集後記】
適応障害といえば、雅子様を思い出すのはSAMだけでしょうか。適応障害と漢字で考えてしまうと何かに適応できない障害だと大部分の国民は考えることでしょう。何か分かったような分からないような病気です。雅子様が天皇家に嫁いで、環境が極端に変わったのが原因かと思います。雅子様は2003年に適応障害を抱えて16年が経ちます。体調を崩したり回復なさったりしながら生きてこられました。夫の天皇陛下が雅子様に寄り添って生きてこられたのが良かったのではと思います。この病気は、ストレスに対する対処力や本来の性格などの内因的な要素が組み合わさることで発症します。症状はうつ病や不安障害などと類似していますが、詳細な検査と診断があります。
今までSAMは、適応障害をメンタルにゅーすに取り上げてきませんでしたが、天皇の代替わりで、天皇陛下・皇后陛下の公務が重責して、雅子様が調子を崩してしまわれはしないかと心配に思っています。
適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。
ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善します。でもストレス因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります。そういった場合は、カウンセリングを通して、ストレスフルな状況に適応する力をつけることも、有効な治療法です。
今回、SAMが適応障害を取り上げたのは、天皇の代替わりによる雅子様の重責を考えて、適応障害を詳しく調べてみました。私の周りにも一人適応障害の人がいますが、特にこれと言って変わった対応はしていません。ただ彼が言うには不安や、うつが酷いときは、苦しいと言います。私は当事者でないのでとくに分かりませんが、精神的にきついときの自分の症状を思い出すと共感します。雅子様も天皇陛下がお傍で支えられていることで何とか社会生活をしているのだと思います。皇室と言う国民にはベールの中で、独特のしきたり、ご公務と象徴天皇の人となりを内外から見られているのは大変なことでしょうね。世間の人達は適応障害にその漢字の意味で捉えてしまことが多いと思います。しかし実際には、辛い苦しい病気と障碍なのです。