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非定型抗精神病薬』

について

2019125日  Vol.286

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

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URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

ネットより参照

https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/mentalhealth/mental/about_medicine/nonstandard_medicine.html

 

『定型抗精神病薬(従来薬)』と『非定型抗精神病薬(新規抗精神病薬)』

『定型抗精神病薬』

抗精神病薬はこのページでお伝えする薬の中でも、もっとも重要な薬となりますので、もう少し詳しくお伝えしていきます。
抗精神病薬には『定型抗精神病薬(従来薬)』と『非定型抗精神病薬(新規抗精神病薬)』の二つがあり、精神科の病気、特に統合失調症の治療の中心を担っています。
『非定型抗精神病薬』は1980年代後半より導入され、現在では統合失調症治療の第一選択薬となっています。病気のお話のところで、神経伝達物質(主にドーパミン)のことは読まれたと思うのですが、『定型抗精神病薬』は過剰になりすぎたドーパミンの働きを抑えることで、統合失調症の症状の中でも、幻覚や、妄想などの症状に対してはたらきます。

『非定型抗精神病薬』

それに対し『非定型抗精神病薬』はドーパミン以外のいくつかの神経伝達物質に対して選択的に働きます。これにより幻覚、妄想だけでなく、陰性症状や、認知機能面にも効果があるといわれています。
また、主たる副作用の中の、錐体外路症状の出現が少ないといわれています。
このように言うと、『非定型抗精神病薬』はすべての症状を取り払い、副作用もない魔法の薬のようにも思われがちですが、決してそうではありません。病気をよりよい状態で保つために、ある程度の期間(あるいは一生)飲んでいくタイプのお薬であることには変わりはありません。
また、錐体外路症状が少ないとお話ししましたが、病状によっては高用量の投与が必要となり、その場合は、『定型精神病薬』と同様になります。
また、『定型抗精神病薬』にはなかった副作用があることも確かです。

ライフスタイルに合わせた薬の選定

現在の統合失調症の治療で選択出来る薬(抗精神病薬)は約30種あり、内5種類が『非定型抗精神病薬』です。現代の薬物療法の第一選択薬ではありますが、まだ種類も少なく、歴史も浅いのも事実です。
『定型抗精神病薬』に比べると副作用が少なく、陰性症状や、抑うつ症状、認知機能障害の改善が期待されていることから、思春期の治療にも使いやすく、実際に多く使われ、効果をあげています。ただ、基本的には、思春期統合失調症の薬物治療は、青年期、成人期の治療に準じて行われていますのでそればかりではありません。
いずれの場合においても、『定型抗精神病薬』が効果的であることも多々あります。皆さんは、『定型』『非定型』だけにとらわれることなく、担当の先生とよくお話をされた上で、ご自身にあったお薬を処方してもらうことが大変重要なことです。
下記に『非定型抗精神病薬』5種類とその効果について簡単に説明しました。これにあるように、薬剤の種類だけでなく薬形も何種類かあります。近年、当事者の方と、治療者がよく話し合って治療方針を決める、アドヒアランス(病気や薬の知識をつけて積極的に治療に専念すること)の考え方が広まっています。薬ひとつをとっても、皆さんのライフスタイルに合った選択ができるよう選択肢の幅が広がっています。

 

参考:『非定型抗精神病薬』の種類

リスペリドン(商品名 リスパダール)1996年

上:リスパダール(1mg) 下:リスパダール(2mg)

特徴:

陽性症状だけでなく陰性症状にも効果を発揮します。錐体外路症状の出現が少ないようです。錠剤や、散剤に加え内服液が選べます。内服液は他に比べ効果出現が速いという特徴があるため、定時の内服以外に、頓服薬としても有効です。

ペロスピロン(商品名 ルーラン)2001年

ペロスピロン

特徴:

初の国産の非定型抗精神病。リスペリドンと比較すると急性期の興奮状態に対しての作用は弱いですが、過鎮静となることも少ないようです。

クエチアピン(商品名 セロクエル) 2001年

クエチアピン

特徴:

薬剤効果の有効域が広いため、内服量のちょっとした違いで副作用の発現が左右されてしまうような方には調整してもらいやすいお薬です。他の非定型抗精神病薬に比べ、高プロラクチン上昇作用が少ないといわれています。

オランザピン(商品名 ジプレキサ)2001年

オランザピン

特徴:

他の非定型抗精神病薬同様、陽性症状・陰性症状に対して改善効果がありますが、鎮静作用が強いともいわれます。一日一回の内服で済むので、飲み忘れも少なく、飲み続けやすいお薬です。口腔内崩壊錠もあり、水なしで内服できます。

 

 

 

アリピプラゾール(商品名 エビリファイ)2006年

アリピプラゾール

特徴:

日本で開発されましたが、海外で先に発売されました。他の非定型抗精神病薬が、ドーパミン受容体に対して完全遮断するのに対し、陽性症状が活発な状態(ドーパミンが大量放出されている)では抑制的に働き安定した状態へ導き、ドーパミンが少量しか放出されていない時には刺激する作用を持ちます。

 

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【編集後記】

 ここで紹介した非定型抗精神病薬は2006年時点の薬でこの他にも薬があるかもしれません。私も医者ではありませんので、そんなに詳しくは分かりません。薬は定型薬(旧薬)非定型薬(新薬)という表現もあります。新薬で難治性の統合失調症でクロザリルと言う厳正な医療管理をする薬もあります。今回のメンタルにゅーすでは薬のカラー写真を使っています。ネットのHPではカラーですが紙媒体のニュースレターは白黒ですから見分けがつかないかもしれません。申し訳ありません。私が統合失調症を罹患して37年が経ちます。次第に薬も新薬が出てきましたし、医療技

術や新薬も日進月歩で進んでいます。薬は当事者との相性があります。旧薬があう当事者もいますし、薬の選択肢は増えてきました。薬は精神状態を安定させるために、毎日服薬定期的な通院が必要です。薬を長く飲んでいると、自分はひょっとして治ったのかもしれないと考えて服薬をやめる人もいます。服薬は病勢を抑えて再発防止・状態の安定化の効果がありますので忘れずに毎日服薬してくださいね。薬は、経口では肝臓で代謝しています。それで毎日定期的な服薬が必要です。それと新薬では副作用が少ないですが、糖尿病になることもあります。定期的な血液検査をしなければならないことを理解して服薬してください。

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