メンタルにゅーすヒエダ

 

「精神障碍者の経済保障

の利用状況」

2020年月日  Vol.288

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

TEL(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

  年金を受給してない精神障碍者は6割以上

経済保障は、基本的に申請主義に基づいています。つまり、自らが「申請します」と手を挙げないことには、制度の利用につながりません。制度を利用してない人のなかには、@制度を利用できる用件を満たしていない、A制度を知らない、B制度を知っているものの制度の利用を拒否している、という場合が予測されます。では、その実態はどのようになっているのでしょうか。ここでは障害年金を例に解説します。

 2008(平成20)年に、精神障碍のあるうち、障碍年金を受給している人は52万人と予測されています。厚生労働省が3年に1回実施している「患者調査」によれば、同じ年の2008(平成20)年にわが国には,323.3万人の精神障碍者がいるとされています。したがって、約323万人という数字は精神疾患で医療機関に受診している数です。したがって、約323万人全員が障害年金の受給対象者だとはいえません。仮に半数の約160万人が継続的に、日常生活に制限を受けているとすれば、160万人(障害年金を受けられる可能性のある精神障碍者)−52万人(すでに障害年金を受給している精神障碍者)108万人(障害年金未受給の精神障碍者)、すなわち7割近くの精神障碍者が障害年金を受給していないことになります。

 一方、やや古いデーターになりますが、2003(平成15)年に厚生労働省が実施した「障害者の生活状況に関する調査」では、回答者3594名のうち、2225名(61.9%)が年金を受給していない理由についてみると、多いものから、「知らなかった」346名(15.6%)、「よく理由は分からない」264名(11.9%)、「その他」248名(11.1%)となっています。この数字から約4割の人が、何らかの支援があれば、障害年金受給につながる可能性があったのではないかと推測できます。

  家族会調査では年金を受給していない人は1〜2

      このように全国的にみると、6割以上の人が障害年金を中心とした年金を受給していない事になります。ところが、同じような調査でありながら、異なる結果が出ているものがあります。

   全国精神障害者家族会連合会(2007(平成19)年に解散)が2006(平成18)年に実施した「第4回全国家族ニーズ調査」では、回答者2844名のうち、375(13.2)が年金を受給していないと答えています。同様に、愛知県精神障害者家族会連合会が2014(平成26)年に実施した「家族の生活実態調査」では、回答者749名のうち、126名(16.8%)が年金を受給していないと回答しているのです。

  知っていることとつながっていることの強み

国の調査では、6割以上の精神障碍者が年金を受給していません。一方、家族会の調査では年金を受給していないのは12割に過ぎません。なんと4割以上の格差です。

   この差はどこからきていると考えられるのでしょうか。一つには、間違いなく、情報の差があるといえるでしょう。家族会では生活について具体的な情報交換をしています。そのため、障害年金については現実的な話として、家族会の定例会でもよく取り上げられるそうです。

   また、家族会の「知る」には、深い意味があります。なぜなら単に障害年金のことを知るのであれば、インターネットや書籍でも、その機会を得ることができます。ところが、具体的に請求する段階になると、精神障碍者も家族も躊躇するといいます。そのようなとき、家族会では、先輩家族が「私たちも通ってきた道。本人や家族の負担が少しでも軽くなればいいのよ。堂々と受給したらいい」と、背中を押してくれるといいます。同じようなことは精神障碍者のセルフ・ヘルプグループ(自助会)でも認められます。大切なことは、知っているだけでなく、つながっていることだといえます。人はつながっていることによって、揺れている背中を仲間に優しく押してもらうことができるのです。

 

【編集後記】

 SAM20年ちかく障害年金の手続きをしていませんでした。それは、発病して入院した大学病院の主治医がSAMの状態だと請求しても受給するほどの病状ではないと言われて、ずっとそれを信じていました。病気と障碍のせいで働くことが出来ずに、お金に困っていました。調子のいいときには、1週間くらい働けますが、それ以上続けて働けませんでした。悪口や被害妄想の幻聴と妄想に耐えられませんでした。今はそれらが幻聴と妄想であると分かっているのと職場に理解がありますので、仕事が続いています。

 仕事は、CIL下関NPO法人らいとでもう18年目になります。仕事の続くのは毎年記録更新しています。SAMが、障害年金の手続きをして受給しているのは、発病して21年目に援護寮のPSW(精神保健福祉士)に相談して、受給資格があることが分かりました。発病したときに掛かっていた大学病院に行って書類を書いてもらいました。大学病院でも障害年金のことをよく知らない主治医だったのではなかったかと現在のSAMは考えています。発病して21年目にPSWと相談の上、年金受給の手続きをしてもらいました。

発病して初めての主治医は年金なんてもらえないと言っていましたが、だめもとで請求しました。年金事務所に行って障害年金請求資格があるとわかったので受給手続きを行いました。ついでに過去5年間の遡及請求もしました。私は、生活保護を受けていたので遡及の年金の殆ど残りませんでした。私が障害年金の受給を何故したかというと全国精神障害者家族会連合会の全家連という冊子に背中を押されて、手続きを行いました。

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