メンタルにゅーす

ヒエダ

Vol.293

「就労太く短く働く?・細く長く働く?」

2020320日  Vol.293

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

TEL(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

 SAMは病気と障碍をオープンにして働いています。障碍者団体で働いていますので当たり前です。今の団体で働く前は、障碍をクローズで働いていました。クローズだと調子が悪くなったときに早退したり、休んだりしたりするのが難しいです。オープンだとそれらが楽に取れます。SAMは、30社くらいに採用されましたが、仕事が続くのは2,3日から1週間くらいでした。その頃は病識もなく、幻聴や・妄想のことを知らなく、これらの症状が怖くて怖くて仕方がなかったです。SAMもすぐに病識を持てるようになったわけではありません。発病して、20年経って3回目の退院にあわせて援護寮(今は制度にない。)という病院と社会の中間施設で、3年間過ごして、生活訓練、ドラッグ管理等身に付けて自立しました。援護寮で、病気と障碍を勉強して病識を身に付けました。

 自立に際しては、障碍者団体に就職していましたので、ピアカウンセリングや自立生活プログラムなどを使って生活・仕事で悩んだら相談していました。就労は、4ヶ月掛けて短時間就労から完全就労するように上司にお願いをして働いていきました。調子が悪くて早退や休暇を取らして欲しいと言うと、何か原因があるかと思われていろいろ尋ねられました。原因がある場合とない場合がありますが、今は調子が悪いと上司に申告すると、あまり尋ねられず、早退・休暇が取れます。季節の変わり目に年2回調子の悪くなる場合と、原因のある場合は否定的な人の噂話などを聞くと調子が悪くなります。

 就労に関しては、病気と障碍に理解のある職場がいいのではないかと思います。調子が悪いときの仕事の調節をしてくれるのでいいかなと思います。SAMの場合、1人職なので比較的仕事の調節が出来ます。反対に自分のやっている仕事を分かってない同僚もいますので、何で早退したり、休暇をとったりしているのか不思議に思っている人もいるかもしれません。何にしてもCIL下関・NPO法人らいとで働いて18年、毎年勤務歴が記録更新しています。早退したり休暇をとったりして18年ですが何とか細く長く勤務してきました。この18年は私の人となりをわかって貰うようになりました。給与面でも考慮されていますし、何とか切り詰めると生活もしていけます。結婚して当事者同士二人とも職場が同じところで働いていますので良かったのかも知れません。

 いつものことですが早退や休暇をとると、ちゃんと働けないことに自分を責めてしまいます。しかし、確かに早退や休暇をとりながら働くと18年も勤務歴記録更新中なので、今は自分をあまり責めなくなりました。長く時間がかかりましたが、周囲の人たちに病気と障碍を理解してもらうのに時間がかかります。時間がかかりますが自分の人となりを理解してもらうのには仕方がないかなと思います。

 就労で太く短く働くか・細く長く働くかは、殆どの当事者は、細く長く働きたいと考えていると思いますが、頑張りすぎたり、無理をして職をなくす当事者も多くいると思います。SAMは、経験上、細く長く働くことを考えてアガムの法則(あせらない・がんばらない・むりしない)で働くことをお勧めします。調子が悪いと気付いたらSAMは早退・短縮就労・休暇をとることを心がけています。確かにそのように対処すると、調子も回復するので、自分の判断に間違いはないと思います。これまで自分は調子が悪くなるのは、3つのパターンがあります。@イライラして上がった状態A抑うつ状態B過敏な状態、周囲の人に異変を感じたらSAMに言ってほしいと伝えています。2,3回助けられたことがあります。

 就労の採用はされても、病気と障碍を理解してもらうのはなかなか時間がかかるものです。細く長く働きたいのはやまやまですが、周囲の人が理解不足で仕事を続けられない場合もありますし、人それぞれに理解の程度も違いますので仕方のないことかもしれません。私も時間がかかりましたが、周囲の人たちに病気と障碍を理解してもらうのに、またSAMの人となりを理解してもらうのに時間がかかりました。何度も壁にぶち当たりましたが、気長にゆっくりと確実に周囲の人たちに理解を図りました。自分の意見を相手に冷静に気分を害することのないようにアサーティブに理解をしてもらうようにしましょう。これはなかなか難しいですが、気長にゆっくりと確実に冷静に啓発していくしかないことも事実です。

 多くの精神の当事者が、上手く職場で細く長く働けるようにSAMも蔭ながら応援しています。しかし、現実には、退社へと追い込む職場もあるのも事実です。このようなことは、健常者の職場にもあることで、障碍者だけに起こることではありません。

やはり気長にゆっくりと確実に理解を図るしかないと思います。それと自分の人となりを分かってもらうのも大切なことです。SAMは、たまたま、一般就労が上手くいきましたが、上手く理解を図るのは不断の努力が必要です。SAMは気が短いのが分かっていますので、心の中で怒らない怒らないゆっくりゆっくりと唱えています。そうした不断の努力で毎年勤務歴が記録更新されてきています。皆さんも職場で周囲の人に上手く理解してくれる人が増えればいいですね。

 

【編集後記】

 多くの当事者が職場で働き難さの問題を抱えていると思います。仕事の内容、指示の仕方、周囲の理解度、どれをとっても難しい問題です。SAMはこう考えています。人それぞれに様々な考え方をしています。すぐに、病気と障碍を理解してもらい周知してもらうのは難しいものです。それでもSAMは、一人でも理解者を増やすために頑張っています。優生思想を持っている人もいます。彼らを理解者に変えるのに時間がかかるかもしれませが、それこそ細く長く働くためには、通り抜けなければいけない関門です。

 SAMは、諦めません。少しでも当事者理解につながるように自分のできることは策を講じています。多くの精神の当事者が働ける機会が多くなればなーと思います。私は、変わったことはしていませんが、ものすごく気長に理解を図れるように人と関わっています。メンタルにゅーすを続けているのもそういった理由で編集しています。

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