メンタルにゅーすヒエダ 「服薬のありがたみ」 |
2020年4月20日 Vol.295 CIL(自立生活センター)下関発行 ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM TEL(083)-263-2687 FAX(083)-263-2688 E-mail s-cil@feel.ocn.ne.jp URL http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html |
服薬を続けていると確かに状態が安定しています。断薬すると僅かの期間調子がいいように感じますが、状態は徐々に増悪してきます。当事者は、病状が安定してくると断薬する人は多いと思います。2,3回入院すると、服薬のありがたみが分かって、服薬を継続してきます。統合失調症は、服薬で病勢を抑えて寛解状態を続ける治療が継続することが一般的です。SAMはもう38年服薬を続けています。発病した初期の頃、断薬して調子を崩して入院したことがあったので、それ以後は服薬を続けています。
経口からの服薬は、忘れてしまうことがあります。服薬を頻繁に忘れると調子を崩すことが多いです。医療関係者が心を痛めるのは、服薬忘れで入院してくる患者さんのことです。服薬を続けていれば、入院につながることはないのにと、SAMは何回か看護師さんに言われたことをよく覚えています。SAMは、服薬を続けることを選択しています。服薬忘れが原因で入院してしまうことが、SAMは時間がもったいないので服薬を続けています。
もし服薬忘れに気付いたら、まとめて服薬するのは危険です。3,4時間、時間を空けてSAMは服薬しています。決してまとめて服薬しないで下さい。精神科で処方される薬は脳に効く薬ですので、副作用や、薬が効きすぎて状態を崩す場合があります。もし心配なら、どのくらい時間を空けたらいいか主治医に聞いてみてください。SAMは、経験的に時間をあけて服薬することで対処しています。以前まとめて睡眠薬を飲んだときに、3日間寝ていたことがあり、大変怖い経験をしました。
SAMは、精神薬の勉強をして,その怖さ、有用性を勉強したつもりです。私の周りで接している当事者は、服薬を守っているので安定していることが多く目にします。反対に、服薬が不規則だったり、断薬している当事者は、入退院を繰り返しています。通常,精神科ではこういう患者さんを回転ドア症候群とでも申しているのかもしれません。生活が苦しくなったり、状態が悪くなったりすると確かに入退院を繰り返します。SAMにはそれが良いこと悪いことといいませんが、SAMも調子が悪くなって自傷他害行為が出てくるようであれば入院しますが、私はこの37年間で4度入退院してきました。もう12年入退院をしていません。
やはり再発を低くするには、服薬の継続が必須ではないかと考えます。私の妻は、統合失調症を発病したときだけ1回の入退院で22年ちかく再発していません。妻は几帳面な人なので、通院・服薬を守っています。妻は一度だけの入退院でそれ以後入院していません。彼女が再発しないのは、通院と服薬を守っているからだと思います。それと、規則正しい生活をしているからだろうと思います。そして、調子が悪いときは早退・短縮就労・時間差就労などをして、病気と障碍に受容・対処しているだけです。でも私が彼女を見て感心することは、根っから生真面目で素直で・正直だということです。統合失調症になる素因を抱えていますが、通院・服薬を守っているから再発しないのだろうと思います。妻は、穏やかな優しい人です。両親もきちんと育てたのでしょう。人を羨ましがったり、憎んだりすることがありません。それって普通に人間の心の中にあるだろうと思いますが、妻はそんな気持ちになったことはないといいます。SAMは、反対に羨ましがりで人を憎んだり、被害妄想が強いです。SAMと妻はまったく違う環境で育てられ、統合失調症を罹患しました。共通するのは生真面目で責任感が強く正直であることです。そんな二人にも縁があり、結婚しました。最初、妻はSAMの病気と障碍を抱えて対処して生きている実例を見ていました。妻は、病気と障碍に翻弄されていましたが、SAMをロールモデルに見てきたのでしょう。病気と障碍を受容し対処してきました。また通院と服薬を守っています。時々調子が悪くなりますが何とか対処して生活・仕事をしています。また服薬が寝る前1回だけですが、服薬しないと眠れないので守っていると聞いています。服薬の趨勢は少ないほど長く守っていけます。妻は発病して退院したあと、まるでマラソンランナーのようにマイペースで、あせったり・がんばったり・むりはしません。それが、妻には精神の病気と障碍に効を奏したのでしょう。
SAMは妻と結婚して、毎日穏やかな気分でいられます。もう12年になります。順境なときも逆境なときも二人で力を合わせて生活・仕事をしています。妻とSAMは入社に8ヶ月差がありますが、SAMが病気と障碍を持って生活・仕事をする地ならしをしてきましたので、二人とも勤務歴は記録更新中です。二人が地域社会で長く生活できているのは、理由があります。第一は服薬・通院を守ること、第二が穏やかで規則正しい生活環境です。SAMと妻の二人の生活ができるのもこれらのお陰です。
【編集後記】
服薬のありがたみは長く守って地域社会で生活してみないと分かりません。SAMも12年再発していません。妻は22年ちかく再発して入院していません。理由はといいますと通院・服薬を守っているからだろうと思います。服薬は規則的に長く続けることが大切です。SAMも地域社会で長く生活できているので、実感します。
SAMが服薬を守るようになったのは病気と障碍、薬の勉強を続けているからだろうと思います。それを地域社会で実践・継続しているからだろうと思います。確かに発病して20年間の暗黒の日々は、自暴自棄な生活をしていました。3回目の退院に合わせて下関の稗田病院の敷地内にあった援護寮ヒエダに入所して、将来的に地域社会で自立生活を目指して訓練したのが良かったのでしょう。それと同時期にCIL下関・NPO法人らいとに就職して、障害者運動などの仕事をしたのが効を奏したのだと思います。入社して2年目の4月から、メンタルにゅーすヒエダを発行してきて17年経ちました。私の人生は後半から順境になっていきました。私の経験が皆様のお役に立てればと考えて続けてきたことは、編集している当のSAMの状態の安定にも良かったのでしょう。