メンタルにゅーすヒエダ

 

300号記念誌」

20207月日  Vol.300

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

TEL(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

 SAMさん、この度は『メンタルにゅーすヒエダ』の創刊300号、おめでとうございます。継続は力なりといいますが、これだけ16年以上も発行され続けていることは、とても素晴らしく、豊富な情報の宝庫になっているかと思います。しかし、これまでの間、原稿を作成するうえで、文章の構成や内容の精査など、たくさんの苦心や苦労もあったかと思います。それでもSAMさんは、ここまで『メンタルにゅーすヒエダ』を発行してこられ、ご苦労様ですと心から労いたいと思います。

さて、『メンタルにゅーすヒエダ』はこれまで、様々な障害者施策について、皆さんに情報を発信してこられたと思います。私も読者の一人として大変参考になっております。そこで私は、今回の原稿執筆にあたって、これまでを振り返ることも考えましたが、だらだらとした文章になってしまいそうなので、この度はこれからの医療、福祉、介護の話を少ししたいと思います。未来や将来は誰もわからないことなので、私の主観が入るかもしれませんが、ご容赦ください。

それではまず初めに、今、日本は2015年から人口が減少しています。世界的に見ると、向こう30年で20億人の人口増加が見込まれ、約90億人になると予想されています。日本は少子高齢化が関連して、人口が減少していきます。このことから皆さんも耳にしたことがあるかもしれませんが、「老老介護」や「認認介護」なる言葉が生まれ、社会問題となっています。高齢者が介護の必要な高齢者を世話する「老老介護」、認知症高齢者が認知症高齢者の介護をする「認認介護」等、以前には無かった状況が起きていて、このまま少子高齢化が進み、人口減少となっていけば、ますますこの問題は大きくなるばかりでしょう。そして、この少子高齢化、人口減少は、障害者の生活にも少なからず影響を及ぼしています。障害者を支えている親や兄弟姉妹が高齢化し、または亡くなり、障害者が孤独になることや孤立する問題が起きています。私事ですが、私の妹も障害者であり、その妹を支えている親も高年齢となっていき、この先の親無き後の様々な問題を考えると不安や心配になります。最後に医療の現場では何が起きているかといえば、医師や看護師などの医療従事者不足が問題となってきています。少子高齢化は当然のことながら、労働人口の減少にも繋がっています。

このような現在起きている問題に対して、国はどうしていくのでしょうか。一つの方法として、「地域包括ケアシステム」なる地域全体で支えあう体制を構築しようと現在取り組まれています。本来、この「地域包括ケアシステム」は高齢化対策のためのものでありますが、一昨年から「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」というものが示されました。それは、精神障害者が、地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるという目標に向かって、医療、障害福祉、介護、住まい、社会参加(就労)、地域の助け合い、教育が包括的に確保された地域包括ケアシステムの構築を目指すものとなっています。各自治体が中心となって、協議の場で地域の課題を共有し、各機関、各事業所等が連携して支えていく仕組みを構築することは、少子高齢化社会に必要なことかもしれません。そして、金銭管理や財産管理、手続き代行などは、成年後見制度や地域福祉権利擁護事業を利用して支え、医療従事者の不足は、外国人労働者の雇用やロボットに代表されるテクノロジーを導入して補っていくことなど、様々な対応策が出てきています。明るい未来が見えるとは言えないまでも、何とかして迫り来る困難な状況を乗り越えていこうとしています。

それらの対策方法について私が思うことは、「地域包括ケアシステム」ならば、地域全体が思いやりを持った考え方ができるように、例えばいずれ自分や自分の家族が経験するかもしれない問題として捉え、共に理解できるように啓蒙啓発して作り上げてもらいたいと希望します。私は常に苦しみや悲しみ等のつらさは、誰かと分かち合うことができれば、少しは楽になれると思っています。分かち合うには、相手の気持ちや立場を理解して考えていくことが必要です。そういう気持ちを互いに持つことで、住み良い地域が形成されていくと信じています。

また、テクノロジーの進歩は、確実に少子高齢化対策として、物理的な解決策となるでしょう。しかし、医療、福祉、介護といった現場は、人に直接関係することから、物理的な支援に加えて、真心があれば、尚いいのではないかと考えます。真心とは言い換えれば、コミュニケーションの取り方とでもいうのでしょうか。人は会話をすることで、話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になります。さらに話をするときに、あいづちを打ちながら聞いてもらうともっと安心感が増します。これも分かち合いになるかもしれませんが、「人が生きていく上で得られる幸福感」は、自分一人だけではあまり感じないように私は思います。肉体的なものと精神的なもの。この両方で幸福感を得られるようになればいいです。

この先訪れる困難なことは、誰であっても、どんなことであっても、一人よりは二人で、二人よりは三人で、共に考えて乗り越えていく。格差社会が広がっても、他人のことを気にかけることができる豊かな心を持った国や地域になってほしいと思います。

何年後、何十年後の日本は、世界は、地球はどうなっているのでしょうか。少しは私の希望が叶えられているでしょうか。答え合わせはこの先の未来で!

(文中、法律名称や印刷物等の固有名詞で使われる場合は「障害」記載を使用しています)

 

精神保健福祉士  津村 繁晴

 

【編集後記】

世界全体では人口が20億人の増加が2050年に到来するのですか・・・・・日本は反対に人口減少となると、精神障碍者には地域支援する医師、看護士、福祉従事者の減少も考えられますね。未来の検証は、私が長生きして検証確認していきましょう。私は、人間は本来善の心を持った存在だと思います。ですので何とかして高齢者・精神障碍者が生きていき易い社会が構築されると思いますよ。あと30年後の未来は明るい未来でありますように・・・・・トップページに戻る