メンタルにゅーすVol.31 メンタルにゅーすVol.31

 

メンタルにゅーすヒエダ

 

振り返って

2008年  Vol.31

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

Tel(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL  http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 【精神科病院からのレポート】

 今回20071月より私が精神科の減薬を開始して、今振り返って思うことをドキュメントに残しておくべきだと思いレポートを作成します。

本来の私というものは、どの時分のことだろうかと思います。職場の仲間が本来の私の寛解状態と考えているのはCIL下関で仕事を始めた2002年から2006年でしょう。今振り返って思います。もちろん、この期間では、状態の変化は抑うつ状態にはなっても、気分の昂揚など高低は一切なかったです。常に、おどおどしてて、色んなことをあーだこーだ考えて自立生活、仕事、人間関係を構築していたのだろうと思います。

3ヶ月の入院で、状態も軽快し薬も再度微調整されて退院と相成りましたが、上司、同僚にはすごく迷惑かけたり心配をかけたり、私との対応を悩ませたりしたことを私自身、色々反省しています。

何をもって、本来の私の寛解状態と判断するか?これについては本人の私ですら分からないです。いずれにしても、どの自分も自分だと職場のMさんが言われたが、そうだろう。ただ去年の自分の感情の高低は極端すぎると思いました。

私は、精神科病院を退院して、10ヶ月目を迎えます。今少しずつ、社会復帰、職場復帰をしています。職場への復帰は割りと楽に移行できそうな気がします。みんなの気遣いがひしひしと感じられます。有難いことだと思います。

今回、9年ぶりに入院して、感じたことをメンタルにゅーすに内容を掲載しようと思います。社会的入院の人達は確かにいます。全国に入院患者が34万人、そのうちの7万人が社会的入院患者(退院可能患者)です。彼らは、退院したいけど自分が退院して社会生活に自信が持てないので諦めています。サポートが必要です。ただし、今問題になっている、精神科病院を間借りしたような退院支援施設ではダメです。社会の中で生活しながら、サポートすることができる、手厚い・ゆきとどいたサポートが必要です。そのための専門職養成など人材が多数必要です。衣食住・医療・保健・福祉、相談できるところなど当事者一人に何人もの専門職の人がサポートするチームがあればいいなと思います。

病棟の中は、20数年前と較べると格段に変化しています。医師・看護師・補助看の患者に対する考え方、接し方が人権を配慮して穏やかです。病院内でスタッフの教育がゆきとどいているのがわかります。保護室などの入室も状態を崩した患者を何人かの看護師で無理やり拘束して入れることなど私はいっさい目にしたことがありません。まさに、精神科病院は変わろうとしています。

「社会復帰からのレポート」

早いもので、昨年11月に退院して10ヶ月目に入りました。この期間、様々な症状が出てきました。第一番目は、音に過敏になり、二番目に、幻聴・妄想に対処、三番目にイライラ感、四番目に、タバコをやめる努力を始めて4ヶ月続いています。禁煙でイライラするかと私も職場の同僚、上司も心配していましたが、そのような症状も出ないでマイペースで仕事・生活をしております。

ある程度、私の精神症状が安定すると、婚約者も市民運動や、映画に外出するようになり、自分自身の時間をとっています。職場のKさんとHさんMさんには特に心配と迷惑をおかけしました。

私は、一度、援護寮ヒエダで、自立の訓練をして、一人暮らしをした経験がありましたので、再出発の要領は心得ております。いい意味でも悪い意味でも、入院は必要だし、精神薬の規則的な服用は大切なことだと分かりました。また、私には減薬は自殺行為にひってきすることだと体験しました。

私には有難いことに、やりがいのある仕事があり、また、理解ある上司・仲間がいます。大変幸せで、嬉しく思います。

昨年、状態が増悪するなかで、職場の仲間には迷惑ばかりかけました。状態増悪の大きな原因は、減薬に取り組んだことでした。状態が少しずつ増悪してくると、病識も少しずつ無くなってくることが体験してよく分かりました。統合失調症は、病識がつきにくい病気だと、昔、精神関係の本を読んでこれまた体験により良く分かりました。

私は、不完全寛解状態です。病気や障害に対処して生活しているだけで、残存した症状の幻聴と妄想はあります。人間生きていれば、何か悩んだり、問題があったり、病気に罹患したり、色々心配なことを抱えて生きているのだと思います。私は、運悪く統合失調症に罹患してしまいました。病気には服薬が大切なことだとよく分かりました。医者でもないので、病気や障害の治療にはもう、闘わないで、向き合って生きていこうと思います。

それは、まさに、せらず・んばらず・りをしない、アガムの法則であることがしみじみと、分かってきました。ただ、私は仕事では、精神障害者の運動・自立生活支援、理解・啓蒙には少しずつ周りの人に伝えていきたいと思います。

 

【編集後記】

 私は、今回、調子が悪いので減薬をやめ元の寛解期の薬の量にすべて戻しました。入院の前後のすべてを覚えているので幸いでした。今こうやってメンタルにゅーすで、皆さんに是非伝えておかなければいけないとペンを執っております。自分が病気と障害を持って生きていくことで、今までは対処していたのが、昨年は闘っていました。私は、「病気と障害には向かい合っていかないと」という思いが再認識されました。人生、良いときもあり悪いときもあります。わたしは、病気と障害を持って生きていくうえで、色々な経験をしています。それをこれからの人生に反映させて生きていけば、いい経験をしたのだと考えます。また人生に生きがいを持ってそれが大切な教訓となることでしょう・・・・

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