メンタルにゅーす

ヒエダ

 

「幻覚(幻聴・幻視など)がある人の接し方」

202115日  Vol.312

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 白夢

TEL(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

接し方    ()内は理論的根拠

@   他の部屋からの音(例えば近くにあるテレビやステレオなど)を含む周囲のあら

ゆる刺激に配慮する。

一見何でもない刺激が幻覚を誘発、あるいは増強する。当時者はそれに圧倒されてしまう可能性がある

A   刺激を少なくする、あるいは当事者を別の場所に移す。

 (刺激が減れば、誤った知覚をする機会も減る。当事者は刺激を処理する能力が低下している。)

B   幻覚が現実だと信じているような印象を与えてはならない。「声」と対話しては

ならない。さもないと幻覚が現実であるという当事者の確信を強化してしまう。

(幻覚が現実でないことを分からせるためには、介助者は当事者に対して正直でなければならない。

C   直接的で、具体的な、わかりやすい言葉で会話する。ジェスチャー、抽象的な言

葉、ほのめかしなどは避ける。

(抽象的概念を処理する当事者の能力は低下している。また、当事者は、介助者のジェスチャーやほのめかしを正しく解釈できないことがある。)

D   選択を迫られるような状況に当事者を置いてはならない。「話したいですか、そ

れともしばらく一人でいたいですか」と問うのではなく、話してみるように勧め

る。

(当事者の意志決定能力は損なわれている。選択を迫られた場合、当事者は現実  に対処する(介助者と話すこと)よりも、一人でいること(つまり幻覚状態)を選ぶだろう。)

E   当事者が話題にした現実的なことに対しては、言葉で対応する。彼らが現実を話

題にしたときには、彼らの会話を強化する。

(肯定的強化は、望ましい行動の可能性を高める)

F   幻覚が起こったときや、幻覚が会話や行動を妨げたときには介助者に知らせるよ

う説明しておく。

そのことは、当事者が(現実の中の)他者を捜し、幻覚によって引き起こさ

れた問題に対処していくチャンスとなる。)

G   幻覚状態にあると思われるときには、当事者の注意をひきつけ、興味のありそう

な会話や具体的活動を試みる。

(現実的な活動や相互作用を行っているときは、幻覚に影響されにくい。

H   会話する際は、現実感をもたらすような単純で基本的な話題にする。

(当事者にとって、基本的な事柄について話すのは容易であるが、複雑になるほど

対処は困難である。)

I   容易に、かつ実際に遂行できそうな活動を用意する(ちょっとした、あまり複雑

でない工芸など)。

 長くかかる作業や複雑な作業はフラストレーションをもたらしやすく、当事者は

最後まで続けられないことがある。

J   もし当事者が耐えられるようであれば、現実感を与えるために、脅威とならない

ように配慮して彼らに触れてみる。当事者にも介助者の腕や手に触れさせる。当

事者によっては、実際に触れられることを脅威と感じる場合があることに注意す

る。それぞれの当事者の反応を慎重に評価する。

介助者の身体的接触は現実そのものであり、それは当事者が自我境界を再構築す

るのに役立つ。)

K   当事者が自分の精神病的行動に気がついたときに抱くことのある罪、良心の呵

責、恥などの感情の表現を促し、それを支持する。

 介助者が支持的で受容的な聞き手になることによって、はじめて当事者はそのよ

うな感情を表現することができる。

L   患者の行動を受け入れ、一個の人格として認めていることを示す。当事者の行動

を茶化したり、批判してはならない。

(幻覚状態から脱したとき、幻覚は病気の一部であり、コントロールできるもので

はないと当事者が理解できるような援助が必要である。当事者の行動を茶化した

り、批判することは不適切であり、当事者を傷つけることになる。

M 注意:必ずしもすべての当事者が自分の精神病的行動を覚えているわけではな

く、逆に自分が何をしたのかを尋ねてくることがある。介助者は、正直に答えな

ければならないが精神病的行動の内容を詳しく話すべきではない。

正直な答えは当事者を安心させる。多くの場合、当事者は実際に示した以上のことを心配しているものである。)

【編集後記】

 「幻覚(幻聴・幻視など)がある人の接し方」で当事者と話をするとき、相談にの

るとき誰にも聞こえないような静かな部屋でするように、秘密保持には気をつけたほ

うがいいと思います。時々見ますが、当事者を子供扱いしたような言葉で話しかける

のはいかがなものかと思います。精神障碍者だから、重度だから何も分からないと子供に話しかけるように話をするのは、一人の人間として尊厳を欠く話し方ではな

いかと思います。精神障碍が軽度・重度に関わらず、当事者に尊厳を持った対応をす

るべきだと思うのは私だけでしょうか?精神障碍者だから何も判断できない、考える

ことができない人だと偏見が一人歩きしているように思います。

 当事者と話をしているときにそれは幻聴・幻視だからと話の腰を折ったり、話を切

り上げると当事者との信頼関係は失われます。当事者との関係を築き上げている途上

で、ちょっとした言葉で失うことって経験ありませんか?当事者との対応の際は肯定

も否定もしないでまず話を聞いてあげてください。頭ごなしに当事者の話を聴かずに

周囲の人の勝手な判断で事を進めると大変なことになるし、信頼関係の構築も台無し

になります。

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