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メンタルにゅーす ヒエダ 「妄想のある人の接し方」 |
2021年1月20日 Vol.313 CIL(自立生活センター)下関発行 ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 白夢(SAM) TEL(083)-263-2687 FAX(083)-263-2688 E-mail
s-cil@feel.ocn.ne.jp URL http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html |
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接し方 ( )内理論的根拠 |
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@ 当事者とのコミュニケーションは誠実、かつ正直であること、曖昧な言葉やごまかし
を避ける。
(妄想のある当事者は他者に対して非常に敏感になっており、不誠実さを見逃さな
い。ごまかしやためらいは不信感や妄想を強めてしまう。)
A 期待の設定や規則の強化などは、一貫性を持って行う。
(明確で一貫性のある制限によって 介助行動が確かなものとなる。)
B 実行できない約束はしてはならない。
(約束の不履行は、当事者の他者に対する不信感をますます強めてしまう。)
C 話してみるように促す。しかし、情報を得る目的で詮索や詰問をしてはならない。
(詮索は当事者の疑いを強め介助関係を損なう。)
D 活動や計画の手順を説明し、ケアを実施する前に当事者がその手順を理解しているか
どうかを確かめておく。
(当事者が活動や計画の手順をよく理解していれば、スタッフに騙されているなどと思うことは少なくなる。)
E 妄想を当事者の外界に対する知覚として受け止める。
(当事者が外界をどう知覚しているかを知り、彼らが体験している感情を理解するこ
とが大切である。)
F 最初は当事者と議論したり、妄想が誤りで現実でないことを納得させようとしてはな
らない。
(議論は妄想的な考えを追い払うどころか、逆に信頼関係の成立を妨げてしまうこと
もある。)
G 現実的なことを話題にして相互作用を行う。妄想の内容を問題にすべきでない。
(現実をめぐっての相互作用は当事者にとって健康的なものである。)
H 当事者の感情に対して共感を示す。そばにいること、受け入れていることを伝え、当
事者を安心させる。
(妄想は当事者を苦しめている。共感によって、当事者を受容していること、気遣い
や、関心が伝えられる。)
I 当事者の確信に対して、批判的であったり、軽んじたり、茶化してはならない。
(妄想と感情は当事者本人にとって奇妙で滑稽でもない。冗談めかしたアプローチを
されると、拒絶された、あるいは軽んじられたと感じるかもしれない。)
J 介助者は妄想を現実のものとして認めていると当事者に思わせてはならない。
(もし、介助者が妄想を信じるようなそぶりを見せれば、その妄想(つまりは当事者の
病気)を強化してしまうことになる。)
K 当事者が妄想を疑い始めたら、すぐに介助者もそれを疑っていることを示す。当事者
と議論はしないで、介助者が見たありのままの状況を示す。
(当事者は、介助者を信頼し始めると、介助者からの疑いの表出に応じて、自分でも
妄想を疑ってみようとするかもしれない。)
L 当事者の生活における問題として、妄想思考について話し合う。妄想が自分の生活を
妨害すると感じているかどうかを尋ねる。
(妄想によって引き起こされる問題についての話し合いの焦点は現在であり、事実
にもとづくものでる。)
M 当事者が何か成功したときは、肯定的なフィードバックを与える。
(真の成功に対する肯定的なフィードバックは、当事者の健康の感覚を高め、
より望ましい状況としての、妄想的でない現実を作っていくことを助ける。)
N 当事者の成し遂げたことを認め、支持する(活動や計画の達成、責任の遂行、相互作
用の開始など)。
(達成が認められれば当事者の不安は減少し、妄想によって自尊感情を支える必要も
なくなる。)
O 最初は介助者との1対1の活動に、次は小さなグループ活動に、そして徐々に大き
グループ活動に参加させる
(不信感の強い当事者でも、相手が一人であれば何とか対処できる。それに耐
えられるようになってから徐々に他者との関係を広げていくことで、脅威は減っ
ていく。)
【編集後記】
妄想とは、現実離れした誤った内容でありながら訂正不能の確信に満ちた考えのこ
とです。大きく被害妄想と誇大妄想があります。その他に、罪業・心気・貧困妄想など
もあります。妄想は実際にありえない確信に満ちた考えですので、周囲の人たちは、
当事者の調子が悪いのはすぐ分かると思います。病識があれば、自分の状態が今妄
想状態だなとわかり対処を自分でしますが、病識がない当事者には周囲の人たちは
「妄想妄想」と言って取り合わない人達もいますがどうしたら良いのでしょうか。妄想は
訂正不能の確信に満ちた考えのことですが、当事者にとっては現実感のある考えで
す。心配や不安、有頂天になり、まわりからしたら奇妙に見えますし、状態が悪いんだ
なと感じます。
このような精神状態が活動的な症状を陽性症状と言います。周囲の人たちは真に
受けてしまうこともあります。度々、このような状態に遭遇すれば、今、当事者は妄想
状態だなと思います。私の経験だと病識がなかったころは不安や心配、有頂天になっ
ていたことを思い出します。現在では、頓服を飲むか、会社のベッドで横になるか、早
退をしています。自宅に帰って頓服を飲んで安静にしていることが多いですね。私は
服薬で不完全寛解状態ですが、いつの間にか服薬遵守して病識がついてきたのでし
ょう。