メンタルにゅーす

ヒエダ

Vol.320

「精神障碍者支援」

2021年月日  Vol.320

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

TEL(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

 最近は、精神障碍者の支援でも自己決定・自己実現・自己責任のあり方を大切だと考える支援者が増えてきました。西暦2000年以前では障碍者の自己決定・自己実現・自己責任を大切なものと考える支援者は少なかったです。支援をしてもそれが良くない結果の場合ノーアクションで、自己責任があるのかもはっきりしない障碍者支援だったように思います。行動に対してそれが良い結果になればいいが悪い結果になったとき、支援者と当事者で反省会などはなかったし、次はこのようにやろうねとアクションを起こすことはなかったです。支援者も実現可能なアクションしかやってなかったように思い出します。

 2002CIL下関NPO法人らいとに入社して、かれこれ20年が経とうとしています。自立生活センターの新人職員研修で口を酸っぱく言われたのは、障碍者が自立生活をするには、自己決定・自己実現・自己責任を持つことだということです。障碍者は病院や施設でなく、地域社会生活をする上で上記3つの定義は大切なことだと思います。2000年以前でも1980年代から全国自立生活センター協議会(JIL)が全国展開した自立生活センター(CIL)では、障碍者の地域社会生活では自己決定・自己実現・自己責任が大切なことだと伝えていました。現在では、障碍者の支援に相談支援専門員、福祉従事者、当事者を入れて定期的にミーティングが行われて、良い支援になるようになって来ました。これは、全国的かどうかは分かりませんが少なくとも私の住む下関市では、当事者を入れた相談支援のミーティングが行われています。SAMが従事しているNPO法人らいとでは、相談支援専門員は、上記ミーティングを行っています。また、障碍者福祉政策でも山口県内でも進んでいると思います。

 20,30年前精神障碍者によく言われたのが、昨日言ったことと今日言ったことが違う、精神障碍者の言うことはよく分からないと、行政職の人が言っていました。これは精神障碍者が狂っていることの偏見だったと思いますが、地域社会で生活しながら服薬・通院を守っている当事者は、ちゃんとした論理的な話ができる人もいます。障碍のせいで舌っ足らずな話し方をする人もいるかもしれませんが、ゆっくりと落ち着いて傾聴すれば話も分かってきます。SAMはピア・カウンセラーとして相談支援をしていますが、当事者の話を傾聴していれば何を言いたいのか分からなかったことはありません。精神障碍者に対して、健常者の差別・偏見・汚名は、今でも確かにあると思います。また、精神障碍者が何を言ってもわからないという対応でSAMがよく目にするのは、当事者を子ども扱いするような扱いをする人達です。このような対応はいかがなものかと思うことがあります。

 精神障碍者の支援で、長く当事者支援をやっている人は、病院を退院すると、訪問看護やデイケア、ホームヘルパーなどワンセットにした支援に偏りがちです。当事者一人ひとりが違うように支援も一人ひとり違うように考えるのはSAMだけでしょうか?精神科病院も社会的入院を問題と考え、患者を退院させ長期入院患者を地域移行するように政策が変わりました。お金の管理は社協が家事はホームヘルパーが遣ってくれます。生活技術の習得・金銭管理や様々なことを当事者が身につけないといけないというようなことはありません。法律や福祉サービスが完備されつつありますので、昔のように何でもかんでも当事者自身ができるようにならないと地域社会生活は無理だと言う風に関門が高くないようになりました。全国の中のある病院では50年ちかく精神科病院に入院している患者も居ると聞いたこともあります。こういったことも差別・偏見・汚名のようなことで健常者が精神障碍者は何をするかわからない病院に入院させておけばいいと治安維持的な考えを今でも持った健常者もいます。精神障碍者は、社会で事件を起こしやすいという考えを持つことがありますが、すべての検挙された犯罪者の内、精神障碍者の犯罪は0.5パーセントくらいなのです。殆どの犯罪は健常者が多いし、計画的で用意周到な悪質な犯罪が多いです。地域社会で生活する殆どの精神障碍者は服薬通院を守り穏やかに質素に生活しています。

 私が、TVやネットで見る精神障碍者の起こした事件を目にしますが「精神に障碍がある人、精神科病院に通院歴がある。」と言ったことが必ず述べられています。健常者の起こす大部分はニュース速報されずに、精神障碍者が事件を起こすとよくニュースになるのにSAM自身疑問を感じています。マスコミも精神障碍者が事件を起こすとしゃにむにマイナスイメージの記事を書く傾向があります。ここではっきりいっておきますが大部分の重大犯罪は健常者が起こしています。精神障碍者というレッテルだけで差別・偏見・汚名を持たないで下さい。

【編集後記】

精神障碍者の支援で大切なことは、当事者がどういう風に生きていきたいのか傾聴することです。それと待つことです。健常者同士のようにキャッチボールのように会話ができない場合があります。そのときは時間をかけてゆっくりと一つずつ話をしてください。

 それと精神障碍者の支援で支援者が必要と考える支援の方向に手を引っ張っていくようなことがありますがこれは本当の支援ではありません。本当の支援は当事者と話をして、どのような支援の手が必要かよーく話をすることです。時間が掛かるかもしれませんが傾聴が大事です。また話をするとき急がず一つずつ話をしていきましょう。二つ以上の話を平行していくと、当事者には理解できない人もいますので注意が必要です。

 地域社会での当事者の自立生活では、当事者の自己決定・自己実現・自己責任が大切なことです。これらのことを踏まえて当事者のお話を傾聴してください。傾聴と言っても根掘り葉掘り聴きだすことではありません。当事者が地域社会でどのように生活していきたいかよーく話を聴くことです。傾聴と話を聴きだすのは意味が違います。当事者一人ひとりに対して支援が違います。ワンパターンな支援とは違います。

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