メンタルにゅーす

ヒエダ

Vol.329

「統合失調症、

白夢が考えること」

2021920日  Vol.329

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 白夢(SAM

TEL(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

 私自身、かつて統合失調症は、不治の病だと思っていました。ですから、主治医に病名を告知されたときは、もう一生病院に入院しないといけない病気だと思っていました。幸い病気も3ヶ月も経つと寛解してきて、退院できました。主治医には長期間服薬することなど口を酸っぱく言われました。自分は統合失調症がどんな病気か分からず、服薬するのを一ヶ月でやめてしまいました。「慣れ」とは恐いもので、統合失調症が白夢には、普通の病気と思うようになり薬をすぐ止めました。普通の病気は治癒と言って治ると治療も終わり服薬もしなくて良くなり治ります。ところが統合失調症は治癒しません。寛解します。寛解とはどういうことかと言うと服薬により病勢を抑えているだけで休火山の状態と考えていただければと思います。薬は肝臓で毎日代謝されますので、毎日服薬する必要があります。

 白夢は精神病が脳の病気で心の障碍だと思います。なので、病気の治療の専念と残存症状の対処が必要です。白夢は統合失調症を発病して40年服薬をしています。しかし以前は、状態が安定したら勝手に服薬量を調整したり、断薬していました。過去を振り返ると、前記のような事をすると必ず調子を崩し入院していました。反対に用法どおりに通院・服薬を続けていると再発の防止と状態の安定化の効果があり入院しませんでした。とはいえ、季節の変わり目に調子を崩したり、ストレスで調子が崩れたりしました。

 白夢は20年くらいかけて病気と障碍、制度など勉強しました。統合失調症はストレスや様々な要因で脳の中のニューロン同士の情報を伝える媒体が過剰に分泌する病気であると思います。病気になりやすい人の体質がこの媒体精神伝達物質(ドウパミン等)の過剰分泌になるのだと思います。そこで、ニューロンの受容体が過剰に吸収しないようにする必要があります。その治療が服薬による精神伝達物質の適度な吸収をすることだと思います。それで、伝達物質の吸収のコントロールが必要になります。体質がストレスなど様々な要因で伝達物質が過剰に分泌されるので適度にコントロールするために服薬が必要になるのです。

 統合失調症は、大体が規則正しい服薬と通院で状態も回復してきますが、自分で穏やかな生活維持したり、ストレスが自身に罹らないようにしないといけません。当事者を包摂する周囲の接し方も注意しないといけません。統合失調症だと主治医に告知されたら、病気と障碍が増悪しないように生活・仕事・活動・休養をすることが必要だと思います。場合によっては入院加療になるかもしれません。白夢はCIL下関・NPO法人らいとで啓発運動と事務の仕事をたまたましています。仕事をすることが最終目標ではありません。当事者それぞれが日中の時間の使い方を考えてほしいと思います。病院のデイケア、障碍福祉サービス事業所での就労移行、継続支援や自分のやりたい趣味など、時に地域活動支援センターに通い、当事者同士の交流をすることなど選択肢はたくさんあります。もう一度言います。健常者の言う薬は身体によくない、病気と障碍を克服して仕事をしないと・・・など聴く必要はありません。自分らしい生活をしましょう。実家を出て障害年金・生活保護を受けて生活する選択肢もあります。一人ですと自分のペースで生活できます。料理や掃除、洗濯はホームヘルパー(訪問介護員)に、病気と障碍には訪問看護、金銭管理は社協の地域権利擁護事業で生活している人もいます。何でもかんでも自分が全部できなくても福祉サービスを使えば自立生活ができます。できれば、ドラッグ管理だけはできたらなーと思います。服薬は携帯のショートメールで知らせるなど現代は便利な機器があります。これら福祉サービスや機器で当事者支援すればいいかなと思います。自信がなければ精神の生活訓練の入所型施設などの制度もありますのでそれを利用するのも一つの手かなと思います。

 H30年版障害者白書でいずれもH28年精神障碍者総数392.4万人、入院者総数31.3万人います。H14年では総数351.6万人なので40.8万人増えている。ここ14年で、毎年平均2.9万人増えている。ただしH28年度総数にはてんかんとアルツハイマーが含まれているから多いのかもしれません。重度の認知症の施設がないので精神科病院にアルツハイマーの人達が入所しています。重度の認知症では徘徊、他害行為が目立ちますので手っ取り早く精神科病院に入所されています。これがこの国の現状です。

 国が、長期入院者の地域移行に足を踏み出して710年経ちます。それでも入院患者は、31.3万人います。H14年の入院患者が34.5万人だったので、幾分かは減っています。

 

【編集後記】

精神科病院への社会的入院という長期入院患者がまだまだ数万人います。今でも地域社会で生活すると、治安維持的発想で何か事件が起きたときどうするんだと多くの人から言われます。確かに放火と殺人は多いです。それでも検挙率は0.5パーセント程度です。健常者の犯す犯罪のほうが悪質で計画的です。「木を見て森を見らず」という言葉があります。多くの地域生活する精神障碍者は、ひっそりと穏やかに生活しています。今でも350万人前後は地域生活しています。長期入院の多くの人は長く家族親族に放って置かれて入院しています。当事者の面会に行ってあげてください。そうして、地域社会移行させてあげてください。それだけで当事者の気持ちも和らぎます。長期社会的入院者の気持ちを共感してあげてください。今は薬が良くなり、副作用が少ない薬が開発されています。白夢の母は、もう亡くなりましたが、1ヶ月に1回面会に来てくれていました。調子が良くなると、退院させてくれました。これは今思えば白夢は母に感謝の気持ちで一杯でした。

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