メンタルにゅーす34 メンタルにゅーすVol.34

 

メンタルにゅーすヒエダ

 

病感と病識と薬識

     

 

2008年  Vol.34

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

Tel(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL  http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 皆さんこんにちは!朝夕少しずつ肌寒くなってきましたがいかがお過ごしでしょうか?

私は、自分が下関に来て、援護寮で精神の勉強をしたときに初めて覚えた用語があります。それは、「病感」「病識」「予後」と、最近になって知った「薬識」という言葉でした。まさしく私には衝撃的な言葉でした。精神の病気と障害を抱えて25年が経過しました。少しずつ私の頭の中が整理されてきました。そして、統合失調症と共存して生きてゆく対処の仕方のようなものが覚知してきました。それは精神の病気や障害を持っていても、それぞれの症状に対処しながら病識を持って地域社会の中で生きていければいいんだということです。私のような人間でもサポートがあればなんとか仕事をして生きていけるということが体験的に分かりました。一人の人間として理解してくれる方が周りに増えてきました。「援護寮ヒエダ新聞、精神障害者自立生活マニュアル、メンタルにゅーすヒエダ」などのニュースレターや冊子を継続して私は執筆・編集しています。こういったことは、この下関での生活、9年間の私の当事者活動だったかもしれません。

人生、そんな簡単に投げ出さないで、諦めないでください。できることから始めてゆっくりと確実に継続して生きていけばいいんだと、そんな風な気がする今日この頃です。

上の四つの用語の説明をしたいと思います。

 

@    『病感』とは?

   自分の身体及び精神的になにかおかしいな、いつもと違うなと漠然と感じていることです。この状態では病院にいってみようとはまだ当事者は思いませんが何か変だなと感じている状態のことです。

A  『病識』とは?
『病識』insightself-understandingは、患者自身が病気であるということを自覚することです。自覚することで治療を積極的に受けることができます。病識が乏しいと治療に妨げになることがあります。
 たとえば、脳硬塞で絶対安静なのにごそごそ動いたり、ベットから立ち上がったりすると予後(後述)が悪くなります。しかし、悪性腫瘍のように『病識』が治療の妨げになることもあります。患者は自分の病気を受け入れる必要があるのです。

B  『薬識』とは?
『薬識』medicational insightmedicational self-understandingは、二宮英先生がはじめて提唱した言葉です。
 『薬識』は『病識』とともに患者にとって大切なものです。『薬識』は、患者の薬物療法に対して持つべき認識のすべてです。これは、医者からもらう薬だけにあてはまるだけではありません。自分で薬局で購入した医薬品も含まれます。医薬品について十分熟知して接する必要があります。自分の飲む薬だから薬の名前とか作用とか起こりうる副作用とか、いろんなことを知っておく必要があります。
以下に、二宮先生が提唱した患者の納得のいく『薬識』について引用してみました(二宮英:薬物療法と薬剤師、p26 日本薬剤師会,日本病院薬剤師会(1984)より)。

『薬識』は『病識』とともに患者にとって大切なものである。その意味するところは、患者の薬物療法に対して持つべき認識のすべてである。患者は、自らの疾病を認識してはじめて療養に専念する(病識)、『薬識』は処方された医薬品の意義とともに薬物療法ならびに医薬品そのものの知識など薬物療法に関する必要な事柄を認識することで、これにより患者自身が薬物療法に責任をとれるようになる。薬識は最初は処方医から与えられる。薬剤師は医師と十分な連絡の上、患者の持つ薬識が薬物療法の目的達成に十分あるかを確認し、不足を補う。薬識の付与は病識とともに患者の疾病の種類、度合いに応じて的確でなければならない。

 

C  『予後』とは?

 『予後』prognosisは、ある病気の経過や結末のことで、それをあらかじめしることです。 たとえば、「胃ガンの予後は早期発見をすれば良好である」などのように使用します。

 

 

【編集後記】

  統合失調症は病識のつきにくい病気です。また、これは私の知見ですが、状態が増悪してくると病識も薄れてくるので自分で病院に行かなければとは思わなくなってきます。状態は、ゆっくりと悪化していき、もっと病状が進行するとイライラしたり身だしなみも崩れていきます。ここまで症状が発現してしまうと私の場合、入院加療が必要です。精神病はゆっくり状態が増悪したり、服薬によりゆっくり寛解してゆきます。3度目の入院のとき、看護師さんと話したことがあり、言われたことが印象に残っています。彼女が言ったのは、服薬だけでも続けていれば入院することはなかったのにと・・・・病識があればねー ポツリと話されたことを思い出します。私は自分で過去4回の入院で発病時以外の3回の入院の原因は、服薬をしないことでした。100%病気の再発の原因は服薬をしなかったことです。精神病の第一選択治療は薬の投与です。私は、日記を毎日付けていますので、この20年間のことを振り返ったりしますからよく分かります。自分が精神病に罹患して、今年で25年間が過ぎ去ろうとしています。焦ったり・頑張ったり・無理しない、アガムの法則で私は穏やかで静かに生活していきたいだけなんですけどね。

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