メンタルにゅーす

ヒエダ

Vol.342

「精神障碍者医療」

202255日  Vol.342

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 白夢(SAM

TEL(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

 

白夢はもう22年ちかく地域社会生活をしています。最近の医療は、社会的入院患者を積極的に地域移行する方向になり、福祉もかわってきました。

 以下は私の体験談ですが、

@    障害者福祉の仕事がしたい

A    幻聴と妄想は認知できるので、思考活動を残してほしい(仕事をしたいので)

B    地域社会で自立生活がしたい

という私の希望する生活が実現できることを考えた、薬の調剤をほしいーと望んでいました。

 最近の精神科医療は地域移行に積極的です。当事者もそれらを踏まえて、自分の生活をどのようにしたいか考えてまとめてみることをお勧めします。主治医に自分の生活は、このようにしたいといえば、当事者のQOLに合わせて調剤してくれます。私には幻聴と妄想が残存しています。これらは自分で自覚できますので、仕事と地域社会生活できる程度の至適用量の調剤を主治医に考えてもらいました。昔のように、幻聴・妄想があることが悪いと言う考え方はしないようです。当事者によりますが、病識があれば至適用量の調剤を主治医はしてくれます。幻聴・妄想が嫌だと言えば薬を増量してそれがなくなることもあります。しかし。そうなると副作用が出てきます。私は、手が震えるのと、便秘、眼球上転などがあります。便秘は下剤を、眼球上転には薬でなくしていますが、手の震えは少し震えるのですがこれは仕事に影響がないのでそのままにしています。

 私はかつての援護寮(生活訓練施設:病院と社会の中間施設)で生活訓練;服薬管理、金銭管理、調理など訓練をしました。訓練は3年までできますが私は在寮中に一般就労しましたので1年就労を続けて29ヶ月で退寮しました。訓練課題をゆっくりと確実に私は身につけました。今でも、援護寮の仲間は地域社会生活をしています。再入院する人は3,4人くらいです。その人達も、また退院して社会復帰しています。援護寮という制度はもうなくなりましたが、現行法で生活訓練に特化した施設はあります。援護寮のほうが、自由度があり、私には効果がありましたのでまた復活すればなーと考えるのは私だけでしょうか。

 援護寮2年目にCIL下関代表Kに出会い、教わった自立の概念;自己決定・自己実現・自己責任を担って今でも地域社会生活を送っています。私は人にああだ・こうだと言われて生きるのは嫌だったのでこの3つの自立の概念は非常に役に立ちました。自立して5年後に同僚の女性と結婚しました。私は結婚できない・仕事できない・一生入院だと思っていましたがすべて覆し地域社会生活を実現しました。実は、私の母が、私が地域社会生活をするのを望んでいましたので、お金の管理と服薬管理、調理ができるようになりなさいと口を酸っぱく言われていましたので努力して身につけました。

 現在の精神科医療は、患者のQOLを第一に考えて調剤してくれますので、安心して主治医にお願いしてみてください。幻聴と妄想が残存している当事者も地域社会で生活していますので、一概に残存症状がある当事者は退院できないということはありません。ただし一つだけできないといけないことがあります。それは服薬管理です。調理や掃除はホームヘルパー、病気や障碍への支援は訪問看護、金銭管理は社協が管理してくれ月に定期的に生活費を届けてくれます。社協はお金を預かるので保険と管理料が発生しますので心にとどめておいてください。最後になりましたが、今は、障碍者の自立生活の法律が完備されてきつつあります。もっと早く法律ができていればよかったのですが、障碍者が自立生活を始めた時期が遅かったので時間がかかり障碍者運動をしてきたのが1980年代でしたので、40年くらいかかりました。

 2014年時点でJIL(全国自立生活センター協議会)傘下のCIL(自立生活センター)加盟のCIL関係で介助利用している障碍者が2477人でした。こうして地域で重度の障碍者が生活していることは医学モデルから社会モデルに考えを変えるきっかけにもなります。重度の病気や障碍で病院や施設でしか生活できないといわれた筋ジスやALSの当事者がCILの介助を使って自立しています。障碍者への考え方も医療モデルから社会モデルに変わり、当事者が変わるより、社会の側が考え方、対応の仕方を変えることーと考え方も変わりました。実際に、CILの介助で胃瘻、痰吸引の人にも対応しています。これらの当事者のお風呂介助もしているCILもあります。医療関係者は今ではCILのような団体を紹介する病院や施設もあります。確実にCILは社会を変えています。今まで病気や障碍の専門家は医療関係者でした。彼らが身障の重度当事者の介助を使った自立生活は無理だといわれていたことを、CILが地域社会で生活できるようにサポートして自立生活できることを証明してみせました。障碍者に対しても医療モデルから社会モデルに考え方を変える医療関係者や施設職員も増えてきました。当事者が変わるより包摂する社会が変わるほうが、当事者が社会生活しやすいようです。この事を当事者関係者は踏まえて接してほしいです。

【編集後記】

 パターナリズム(扶養義務者や医者のように当事者を面倒みているので、当事者に無言の圧力を与え意見を言わせない、言うことを聞けという接し方)の考え方で当事者の意見を聞かず言うことを聞けと言う態度が、現在でも横行しています。また当事者と暮らす家族が、当事者の障害年金を使い込む人もいます。家族が当事者を介助せず、放置したり、監置したりする人もいます。虐待をする家族もいます。これらのことが現在でも横行しています。今は障碍者に対する法律が完備されつつあります。本当は法律が一番先にできて障碍者保健・福祉が実現できれば良いのですが、日本では真逆でした。多くの当事者仲間が差別や偏見・汚名のないインクルーシブ社会の実現を望みます。社会は包括的で多様性のある社会が強い社会です。皆さん、マイノリティー(少数者)の過ごしやすい社会を目指しましょう。マイノリティーは障碍者だけではありません。女性・子供・高齢者などもいます。マイノリティーが過ごしやすい社会が強い社会です。社会保障を大切と考える国会議員が増えることを期待しています.

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