メンタルにゅーす

ヒエダ

Vol.344

白夢の病気と障碍、

人生の考え方」

202265日  Vol.344

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 白夢(SAM

TEL(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    http://blog.livedoor.jp/npo_light/archives/cat_8979.html

 

白夢は現在(2022)63歳になります。統合失調症を発病したのが23歳のときですからもう40年間病気と障碍を抱えて、共存して生きてきました。最初は、自分が何かおかしいという感じがしていました。こういう状態を「病感」と言います。病感の状態だと自分が何かおかしいと思っていても病院にいって診察してみようとは考えません。統合失調症を発症した人たちは、私を含めて家族や親族、職場の上司につれられて精神科を受診する人は少なくはないと思います。

私の場合、抑うつ状態が酷くなって、高校を卒業して就職したH製作所では、会社を1ヶ月近く無断欠勤して退職してしまいました。最初は元気のいいそう状態、次第に落ち込みうつ状態を3回くらい繰り返し、最後に重度のうつ状態になりました。睡眠時間が不規則で、食事が取れなくなり、何の楽しみもなく会社の寮で布団の中で鬱々としていました。その当時、会社の上司も同僚も怠けて会社を休んでいたのだろうと考えていたのだろうと思います。結局H製作所は退職しました。ここまでの時点で、自分が精神病の兆候があることに気づきもしませんでした。

ふるさと山口県に帰って、再就職してその会社で、工場の中のラインの自動機械の設計の仕事を始めました。静岡の設計の本部の工場で研修を半年して、山口の地元の工場に配属されました。仕事が面白く10ヶ月近く、睡眠時間23時間で勤務していました。ある日、人に監視されているような妄想と幻聴の症状が出てきました。それらの症状がありましたが次第に独語(どくご)が出てきて、幻聴と話し始めてきました。上司が心配して私を山口大学付属病院の精神科に同行して、診察の結果即入院となりました。

ここまでが、精神的におかしくなり統合失調症を発病して医者に診断されて治療のため入院した経過です。統合失調症は、以前は精神分裂病という名前でした。この病名で自分が考えていたことは不治の病で一生精神科病院に入院するしかないと思っていました。

幸い3ヶ月で退院しましたが、それ以後半年間は自宅で療養していました。服薬をしていませんでしたのでうつ状態になり、また3ヶ月精神科病院に入院してしまいました。その後、仕事に復帰しましたが幻聴と妄想で人が怖くなり、発病から1年半後に退職しました。私は発病して20年後に統合失調症の勉強をして、幻聴と妄想のことを知ることができました。それまで、自分の悪口を言う声が怖くて怖くて仕方がなかったです。白夢は下関に移住するまで山大のときからの主治医の勤務する病院やクリニックに通院していましたが、統合失調症について詳しく教えてもらったことはありませんでした。今でも不思議ですが、なぜ統合失調症の勉強を早くしなかったのかと考えています。たぶん私は精神的ゆとりがなかったのだと思います。心の中をテーブルの上と例えるとその上に雑然とさまざまなものが置かれています。テーブルの上に新たに物を置くスペースがありません。心の中のテーブルの上を健康であれば片付けたり整理できますが、統合失調症のせいでこのテーブルが雑然として作業スペースがない状態だったのでしょう。それで、精神的なゆとりがなく物事を冷静に考えたり処理できなかったのでしょう。

今私は、統合失調症を発病して40年が経過しました。当事者の皆さんにアドバイスするとしたら、@病気と障碍をまず知ることA服薬を遵守することB病気と障碍を受容して向き合い対処すること、などの大きく3つを当事者の皆様にお伝えしたいと思います。病気と障碍の特徴を知って、病状を休火山のように寛解させて病勢を抑えながら、対処・対応していくことが統合失調症と共存することだと思います。

人間は何か問題・トラブルや病気や障碍などを抱えて生きていると思います。白夢の場合はそれが統合失調症だったのでしょう。人間は、生きていく中で何か重しを抱えているのだと思います。私は、なぜ私が統合失調症に罹患したのか、ストレスか遺伝かなどさまざま考えました。それらを考えても何の足しにもなりませんでした。結果的に今思うことは、精神病になったことは仕方ないことだと考え、それじゃーどのようにして今後生きていったらいいのかと考え、病気と障碍を受け止め受容し、対処していきながら服薬を遵守することだと発病から20年経った頃、精神病を勉強して分かりました。このようなことを踏まえて生活すると、大きな状態の変化もなく落ち着いた生活が出来るようになりました。自分の周りの当事者たちが調子を崩して入院した理由を聞いてみると、服薬が不規則になったり断薬した人がなんと多いことか分かりました。それと最後に一つ、自分が精神病を抱えていることを常に踏まえて、あせったり・がんばったり・むりしないことです。

白夢は今では、以上のようなことを実行して仕事・生活をしています。

【編集後記】

 当事者の皆さんは、精神病に罹患して何か特別な生活をしていますか?食事をして、仕事や日中活動して、風呂に入って、睡眠をとることを実行している人が大部分だと思います。問題やトラブルがあれば相談して解決しますし、病気や障碍があれば治療し服薬し対処することでしょう。白夢は、統合失調症を発病して退院した頃、病気と障碍を抱えた生き方・人生が、まだ自分自身若く分かりませんでした。年を重ねるに従い丸くなり、落ち着いてきました。また、私自身の精神病罹患の体験、病気と障碍を抱えての人生の送り方をメンタルにゅーすで当事者の皆さんにお伝えすることで、私も少しずつ成長してきたのでしょう。白夢がメンタルにゅーすを18年も続けてきたのは何故なのでしょう。私は、統合失調症を抱えて悩み苦しみ、様々な人に馬鹿にされたり差別・偏見を享けてきました。そのような病気と障碍を抱えた白夢の経験知を仲間や若い当事者たちのお役に立てばと考えて、メンタルにゅーすを続けてきました。私は、老骨に鞭打ってこれからもメンタルにゅーすを続けていきたいと思っています。皆さんどうかこれからも宜しくお願いします。

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