メンタルにゅーすヒエダ

Vol.358

パーソナリティ障害とは

2023120日  Vol.358

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM

TEL(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp      

URL    https://cilsimonosekiraito.wixsite.com/website

 

   ネットより参照 https://snabi.jp/article/106#iob8

出典:amanaimages    * 障碍の「碍」の字は作者が使う「害」の字を使う。

 

パーソナリティ障害とは、パーソナリティの著しい偏りなどにより、生活に支障が出るほど本人が苦痛を感じていたり、周囲の人間関係などにおいて不具合が起こり、周りが困ってしまう状態のことです。

かつては「人格障害」と呼ばれていましたが、「人格障害」という呼び方は、あたかもその人の人間性を否定するような表現であり誤解を招きかねないことから、「パーソナリティ障害」と呼ばれるようになりました。

パーソナリティとは?

物事の捉え方や、考え方、反応の仕方、人との関わり方などは、人それぞれ特有のものがあります。それらを総合してパーソナリティと呼びます。

パーソナリティの偏りは人それぞれ持っているものでもあるため、パーソナリティ障害は本人も周囲も気づきにくく、理解されづらい障害だと言えます。

また生活上の困難を感じていない場合は、障害と診断されることはありません。

米国精神医学会(APA)より刊行された『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』によると、パーソナリティ障害の定義は以下のように紹介されています。

    パーソナリティ障害とは、その人が属する文化から期待されるものから著しく偏り、広範でかつ柔軟性がなく、青年期または成人期早期に始まり、長期にわたり変わることなく、苦痛または障害を引き起こす内的経験および行動の持続的様式である。

    引用:American Psychiatric AssociationDSM-5 精神疾患の分類と診断の手引」

参考文献

厚生労働省「みんなのメンタルヘルス パーソナリティ障害」

林 直樹 (監修)「ウルトラ図解 パーソナリティ障害」

 

パーソナリティ障害のある人への周りの接し方

出典:amanaimages

パーソナリティ障害の人が回復していくプロセスの中で、周りのサポートはとても重要になります。

その場合、以下のようなサポートが必要となります。

障害を正しく理解する

まずは関わる際に、障害について正しく理解することが必要です。障害の特性によって、誤解を受けやすいこともありますが、本人の性格や人格的な問題ではないことを理解した上で接することが大切だと言えるでしょう。

 

 

本人に代わって対応はしない

困っているときに、手助けすることは、本人の回復につながらないこともあります。依存傾向がある場合には、代わりに対応することで、依存が強くなる場合もあります。

一定の態度をとる

本人を尊重し、一定の距離感を保ちながら、穏やかに見守ることが大切だと考えられています。アドバイスしたり、問題行動を変えようと働きかけたりするのは、逆効果だとも言われています。

出典:amanaimages

また部下や同僚、上司など、仕事で関わる人間の中に、「パーソナリティ障害なのかもしれない」と感じる相手がいて、接し方に悩んでいる方もいるでしょう。

仕事関係者にパーソナリティ障害の人がいる場合

はじめに本人に「対応できる範囲」を決めて伝えておくことが大切です。相談事であれば、「仕事の休憩時間のみ」「内容は仕事に関することのみ」と時間や内容を決めておくことで、関係性を構築していくことができるでしょう。その際には、一貫した態度をとり続けることが大切です。

また議論を進める際にはデータや記録をもとにすると、客観的事実が見えるため、お互いに感情的になりにくく、冷静に話を進められます。

参考文献

牛島定信「境界性パーソナリティ障害の人の気持ちがわかる本」

市橋秀夫「パーソナリティ障害 正しい知識と治し方」

【編集後記】

出典:amanaimages

パーソナリティの偏り自体は、どのような人にもあるものだと言えます。

自覚しにくいと言われているパーソナリティ障害の場合には、生きづらさを長く抱えている方もいるでしょう。

普段の社会生活・日常生活に支障が生じている場合は、医療機関や就労支援センターなど、第三者的な専門機関のサポートを受けることで、そのつらさから抜け出せるきっかけがあるかもしれません。

また、治療をすることで困り感や症状が改善していく可能性もあります。治療に臨む際は、「治したい」という思いを持ってじっくりと取り組むことが大切です。

参考文献

林 直樹 (監修)「ウルトラ図解 パーソナリティ障害」

牛島定信「図解やさしくわかるパーソナリティ障害」

牛島定信「パーソナリティ障害とは何か」

磯部潮「人格障害かもしれない どうして普通にできないんだろう」

岡田尊司「境界性パーソナリティ障害」

荒井秀樹(監訳)「境界性パーソナリティ障害サバイバル・ガイド」

牛島定信「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本」

監修 : 増田史

精神科医(精神保健指定医)・医学博士

慶應義塾大学 精神・神経科学教室 共同研究員

医療法人杏嶺会 上林記念病院 こども発達センターあおむし 非常勤医師

滋賀医科大学 精神医学講座 客員助手

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