メンタルにゅーすヒエダ

Vol.361

「社交(社会)不安障碍」

202335日  Vol.361

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 白夢(SAM

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E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL    https://cilsimonosekiraito.wixsite.com/website

 

ネットより参照

http://www.myclinic.ne.jp/imobile/contents/medicalinfo/gsk/top_mental/mental_004/mdcl_info.html

 

人前で過度に緊張する・・・社交不安障碍

監修/北村 聖

 東京大学医学教育国際協力研究センター 教授

 

社交不安障碍って?   

社交不安障碍(SADSocial Anxiety Disorder)とは、ある特定の状況や人前で何かをする時に、緊張感が高まって不安や恐怖を感じ、次第にそのような場面を避けるようになる病気です。

  緊張は誰にでもあることですが、たいていは経験を積むにつれて自然に振る舞えるようになります。

  しかし、社交不安障碍の場合は自分でも不合理だと思っているにもかかわらず、それがどんどんエスカレートし、日常生活に支障をきたしてしまいます。

  現在、日本ではこの病気で悩んでいる人が約300万人以上いるといわれています。発症年齢の多くは10代半ばから20代前半で、病気という認識がなく、長い間1人で悩んでいるケースが少なくありません。

  社交不安障碍は、放っておくとうつ病などの引き金になる恐れもあるので、思い当たることがあれば早めに心療内科や精神科を受診しましょう。 

どんな症状があるの?  

ある特定の状況や人前で何かをする時に緊張感が高まり、「発汗する」「手足が震える」などの症状が現れ、「周囲に不信感を持たれるのではないか」という不安や恐怖を感じます。そうなると、このような症状がまた現れるのではないかという「予期不安」にさいなまれ、次第に症状が現れた状況や行為を避けるようになります。これを「回避行動」といいます。 

【社交不安障碍のさまざまな症状例】

● 赤面恐怖症・・・ 人前に出ると緊張感が高まり、顔が赤くなる。

● 発汗恐怖症・・・ 緊張により発汗し、ハンカチなどを持たないと落ち着かない。

● 対人恐怖症・・・ 周囲の視線が気になり、恐怖や震え、めまいなどを感じる。自分に対する他人の評価に強い不安を感じる。

● 書痙・・・・・・・・・ 人前で文字を書こうとすると、緊張と不安により手が震える。

● 場面恐怖症・・・ 緊張して声が震えるなど、人前でうまく発言できない。 など

 社交不安障碍は、不安や恐怖、緊張を感じる状況が1つに限定されている「限局型」と、ほとんどの状況で感じる「全般型」の大きく2つの型に分けられます。全般型は発症年齢が早く、重症である場合が多いといわれています。 

発症の原因は?  

 発症の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、脳内の神経伝達物質であるセロトニン()などのバランスが乱れて、不安を誘発しているとの説や、恐怖や不安に関与する脳内の扁桃体が過剰に反応しているのではないかとの説があります。

  また、人前で恥ずかしい思いをした経験が引き金になったという報告もあります。遺伝と思われる症例はごくわずかです。

※セロトニン・・・精神を安定させる作用がある脳内の神経伝達物質 

検査と診断   

 社交不安障碍は、主にM.I.N.I.The Mini-International Neuropsychiatric Interview/精神疾患簡易構造化面接法)で診断され、その重症度はLSASLiebowitz Social Anxiety Scale/リーボビッツ社交不安障碍評価尺度)により評価されます。

  動悸や震え、発汗などは甲状腺機能亢進症でもみられるため、その疑いがある場合には血液検査などを行います。

  また、社交不安障碍とパニック障碍はよく似ているため、受診の際には症状を正確に伝えることが大切です。前者は症状が現れる状況が特定されており、後者はあきらかな理由もなく突然に症状が現れます。

M.I.N.I.とは?

  M.I.N.I.は、精神科でよく用いられる面接形式の診断法で、15分程度で行われます。質問項目のうち以下の4つすべてに該当すると、社交不安障碍の可能性があります。

 【社交不安障碍を診断するための4項目】

● 人から見られたり、注目を浴びたりすることに不安や恐怖を感じる

● その不安や恐怖は、自分でも過剰であり不合理だと思う

● その状況に対し、避けたり我慢したりしなければならないほどの恐怖を感じる

● その恐怖により著しい苦痛を感じ、日常生活に支障をきたしている

 

LSASとは?

  LSAS24項目で構成されており、不安や恐怖、回避行動の度合いを項目ごとに4段階で評価します。その合計点で社交不安障碍の重症度を診断します。

 【社交不安障碍の重症度を診断するための項目例】

●人前で電話をかける ●公共の場で食事をする ●パーティや集会に参加する

●人前で文字を書く ●会議で発言する ●試験を受ける など

治療法は?

 社交不安障碍の治療は、「薬物療法」と「認知行動療法」を中心に行われます。両方を併用すると治療効果が高いといわれています。

●薬物療法

  社交不安障碍の治療には、主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用します。SSRIは第3世代の抗うつ薬で、脳内のセロトニンのバランスを整えます。服用後、効果が現れるまでには個人差があり、約2週間から8週間で徐々に症状が緩和されます。

  また、即効性が高いベンゾジアゼピン系抗不安薬をSSRIの効果が現れるまでの補助薬として使用したり、降圧薬のβ遮断薬を震えや動悸、発汗などを抑制するために使用したりする場合もあります。

 【社交不安障碍で使用される薬】

薬名 SSRI(※) ベンゾジアゼピン系

 抗不安薬 β遮断薬

特徴 第3世代の抗うつ薬。比較的副作用が少なく、安全性も高いといわれている 比較的即効性が高いが、長期の服用で依存性がみられる場合もある 降圧薬。全般型に対しては効果が薄い。ぜんそくの人は禁忌

効果 不安や恐怖、緊張をやわらげ、前向きにする 不安や恐怖、緊張をやわらげる 震えや動悸、発汗などの症状を抑制する

副作用 吐き気、食欲不振 など 眠気、ふらつき など 低血圧、めまい など

 ※適応外の医薬品が含まれる

 症状が改善しても、再発を予防するためにしばらくは薬物治療を継続することが大切です。医師の指示に従い、自己判断で服用を中止することのないようにしましょう。

●認知行動療法

  不安や恐怖にとらわれている思考パターンを変えたり、緊張感をやわらげたりすることで、回避行動を軽減する精神療法です。

 【認知行動療法の種類】

●認知修正法・・・・・・・・・・ 自分の行為が周囲の人に不信感を持たれているのかを再考し、実際に確認することで不安や恐怖を解消する。

●段階的暴露療法・・・・・ あえて不安や恐怖を感じる状況を体験し、段階的に慣れることによって、回避行動を軽減する。

●社会技術訓練・・・・・・・ 社交的な場面での対人方法を学び、不安や恐怖を軽減する。

●不安対処訓練・・・・・・・ 不安や恐怖による過呼吸を防ぐための呼吸法や、緊張感をやわらげるためのリラクゼーション法を学ぶ。

●集団認知行動療法・・・ 大勢の前で普段回避している行動をとる。それが客観的にどのように見えたかを話し合い、不安や恐怖を解消する。 など

 

日常生活でのセルフケア  

 日常生活においても不安や恐怖、緊張をやわらげる方法はあります。頑張り過ぎない程度にできることから始めてみましょう。

◆朝日を浴びましょう

 朝、目が覚めたら日光を浴びてみましょう。体や脳が自然に覚醒し、気持ちの良い一日を送ることができるでしょう。ただし、強い日光を長時間浴び続けることは、疲労につながるので避けましょう。

◆食事はバランス良く、ゆっくりと

 栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。特に炭水化物は、脳のエネルギー源ともいわれています。食べ物をよく噛み、ゆっくりと食事をするように心掛けましょう。

◆リズム運動を楽しみましょう

 ウォーキングや軽いジョギングなど、一定のリズムを刻む運動を楽しみましょう。長時間の運動は脳を疲労させるので、適度に休憩をとりましょう。 

家族や周囲の方々へ   

 社交不安障碍の患者さんは、その症状を自分の性格上の問題だと思って誰にも相談できず、1人で悩んでいることが少なくありません。そのため、患者さんの心の負担を軽減し、早めに受診できるようにサポートすることが大切です。

◆悩みに共感しましょう

 患者さんが不安や恐怖を感じていることに耳を傾け、共感する言葉を掛けましょう。自分に共感してくれる相手には次第に心を開き、悩みを相談してくれるようになるでしょう。

◆無理をさせないようにしましょう

 不安や恐怖による回避行動は、決して怠けているわけではありません。「頑張れ」などの励ましは、かえってプレッシャーを感じさせ、負担になってしまいます。また、患者さんが失敗して落ち込んでいるときなどに、無理に外出させることは避けましょう。

◆それとなく受診を勧めましょう

 自分の性格上の問題だと思っている患者さんは、なかなか受診しようという気持ちになれません。患者さんの悩みをよく聞いた上で、その症状が性格上の問題ではなく、社交不安障碍という病気の可能性があることを教え、それとなく受診を勧めましょう。 

 

【編集後記】

 知り合いの娘さんでこの社交不安障碍の人がいます。一人で家に引きこもり外出しません。それでも最近は、母親と精神科クリニックに行くことができるようになりました。発病して1011年になるようです。母親と二人で住んでいますが、遅々とした回復ですがどうしても自分でないと分からない買い物はしているようです。一度家を訪問したことがありましたが、会えずじまいでした。人との交流がまったくできないようですが、慣れた人とは交流できるようになりましたし、通院を母親としているようです。私も初対面の人は苦手ですが、慣れればどうということはありません。しかし、幻聴と妄想が残存していますので、白夢の悪口や被害妄想がありますので職場でも交流する人が限られています。話をする人は数人程度です。しかし、仕事でどうしても話をしないといけない人には意思疎通を取っています。それ以外は、人と話をすることは少ないですね。同じ精神病でも統合失調症以外の他の病気だと辛いだろうなとは思いますが良くはわかりません。それでも、統合失調症を抱えて40年近くなると他の精神病や障碍種別が違う人の気持ちがわかるようになりました。しかし本当に気持ちが分かっているかといえばそうでもないように思います。

 白夢が人付き合いの悪いのは、社交的でないのと、残存した幻聴と妄想があるからだと自分では思っています。それと、人が興味の持てる話や臨機応変な話のキャッチボールが出来ないからです。それでもその人の人となりが分かってしまえば話をすることができます。慣れれば話をすることができますので、社交不安障碍のような症状はありません。しかし、人間は社会的な生き物ですので人との交流で人が怖いなどの気持ちは分かっても、当事者の本当の気持ちは分かりません。

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