メンタルにゅーすヒエダ

Vol.366

「統合失調症に罹患して

思う事」

2023520日  Vol.366

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 白夢(SAM

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FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

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 白夢が統合失調症に罹患して思う事、皆さんに話しておきます。私が23歳のときに罹患して、もう41年が経ちました。状態が落ち着いたら母がすぐ退院させてくれたので良かったです。しかし薬のせいで身体がだるく、常に眠たい副作用がありました。そのころは薬の選択肢が狭く、当事者のQOLにあわせた薬剤の選択が難しい時代でした。ですから白夢は、退院しても、8年くらい自宅で養生していました。良くも悪くも、状態は落ち着いていました。服薬もすぐに止めて抑うつ状態になって、再度入院を3ヶ月、最初の退院の半年後入院しました。

 その頃の主治医が何を考えて、薬剤の調剤をしていたのか分かりませんが、症状の幻聴・妄想を抑えるために強い薬だったのかなと現在の私は思います。現在では当事者も病気と障碍を受容して積極的に治療に関わるように、また、精神科医も薬の選択肢が増えて当事者のQOLを踏まえて調剤するのを考えています。

 1990年代に新薬の非定型抗精神病薬が出てきて、現在ではこれらへの移行が進められているようです。副作用が少なくよく効く薬が開発されたことはいいことです。その恩恵で白夢も病気と障碍を抱えながら仕事をしております。白夢も積極的に治療に専念しています。医者と当事者の信頼関係もよくできてくるようになりました。患者に病識を持たせるために医療関係者の努力の賜物です。

 現在は、精神分裂病から統合失調症へ呼称が変わり、当事者に病気の告知率が上がりましたし、呼称のネガティブな意味合いがなくなり、当事者の積極的な治療参加が見受けられます。2000年以降新薬が軒並み出てきて当事者も病識を持って社会生活をする人が増えてきました。制度も変わり、長期入院する患者の社会復帰を目指すPSWの活躍を私は期待しております。

 私は発病を入れて4回精神科病院に入院しました。今思えば昔のことを思い出すといい思い出です。しかし恥ずかしいこと、悔しいこと、辛いこと、悪いこと一通り遣り尽くしました。精神疾患を持って生きることは、辛いことがいっぱいありました。何をやっても上手くいかない。お金もない、仕事をしてもそれが続かない。いったい自分に何が起こったのか。自分の病気を詳しく知らない。その病気の説明が病名だけ主治医から告知されただけです。また自分も病気や障碍を知ろうとする勉強すら始めようとしない。なんと、なんとそのような生きる屍というような状態でした。この頃のことを私の母は「白夢は怠けている。起きて布団を片付けて、ご飯を食べてしゃきっとしなさい。」とよく言われました。私は、意識して何もしないのではなくて、何も考えることができないで何かをするという意志も働かないでいました。自分の状況が的確に判断できませんでした。今、思い起こすと母は私が怠け病に罹患したぐらいの認識でした。

 私が病気と障碍や残存症状の幻聴と妄想で働けないのが悪いことだと、普通に働いていることがいいことだと母は考えていたのでしょう。昔、生産性のない人は存在価値がないと言っていたある国会議員がいました。それなら、私が働けなかったことで生産性がないのは悪いことなのでしょうか?白夢は考えます。種々雑多な人達で社会が構成されることは強い社会であると思いますがいかがですか?社会的弱者が生き易い社会をわれわれが目指すインクルーシブ社会の構築が望まれます。

 しかし何らかの事情で働けないことが悪いことなのでしょうか?私たちが小さな頃から働いて生活するのが当たり前と教えられてきました。私は、生活保護を受けて生活していたとき世間の目が怖かったです。このように、生活保護をもらって生きている人も悪いことだと、働かなくていいねと陰口を世間の人に言われていました。白夢は、わざと意識的に働かなかったわけではないのに酷いと考えていました。

 今は、私も働いて生活しています。私も優生思想があります。しかし、短時間就労しかできないことに上司や同僚に引け目があります。このような差別意識の改革を義務教育の中で教育することはできないのでしょうか。健全者と障碍者が当たり前に同じクラスで教育を受けることが当たりまえな、社会の構築を望みます。でも人って差別意識を持つ生物です。格差社会で自分の優位性を得意がる社会を構築したのは、我々自身の中に隠れ潜んでいます。まず、我々自身がインクルーシブ社会を目指さないといけませんね。

【編集後記】

 社会は優生思想が蔓延しています。白夢も自身と障碍種別が違うと優生思想を持ちます。なかなかこういった考え方を変えるのは難しいように思います。とりあえず私は障碍者の中で運動者の少ない精神障碍についてニュースレターで社会の人達に周知を図っていきたいと思います。私は二大精神病の一つ統合失調症者です。この分野だけでも世間の悪評を変えていきたいと思っております。白夢が運動してニュースレターを編集しているのは白夢のように重度な病気と障碍でも社会生活をして生きていけることを世間の人・仲間、当事者や家族、医療関係者、福祉従事者に、理解を図りたいだけなのですけどね・・・・・まず、健全者に分かって欲しいことがあります。統合失調症は研究開発された薬で病勢を抑え、適度な環境を作ることで社会生活をする人が増えています。ですから当事者の皆さんにお願いです。自暴自棄にならないで下さい。健全者の皆さん精神病にならなくても、歳をとれば認知症のトラップもありますよ。認知症も進行を遅らせる薬はありますが、完治する薬はないですよ。差別意識を持っているといつかは何らかの当事者になる可能性もあります。皆さん、心して生活してください。白夢は統合失調症、躁うつ病、パニック障害と病気と障碍を持っています。私は何とかしてこれらを乗り越えて、受容して対処してやり過ごして生きていきたいなと思います。かといって自分が不幸だとは考えていません。「神様は乗り越えられる苦難しか与えません」経験者の白夢もそのように考えて生きておりますし、実感します。

 

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