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メンタルにゅーすヒエダ Vol.397 「危険思想と精神障碍」 |
2026 年 3 月 1 日 Vol.397 CIL (自立生活センター)下関発行 ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM TEL(083)-263-2687 FAX(083)-263-2688 E-mail s-cil@feel.ocn.ne.jp |
2016 年 7 月 26 日神奈川県の知的障碍者福祉施設を襲撃し、 19 人の死者、 27 人が重軽傷をおった事件を SAM は思い出しています。この事件が起きてから、 SAM は、ネットで事件の経緯を追っていました。事件後、犯人の U のことはマスコミには流れてきませんでした。警察、病院、主治医、措置入院のあり方等 U を包摂する社会のあり方の批判が多くの記事でありました。私がこの事件を知ったとき、警察の初動が遅かったのではと考えていました。
事件を調べていると、 2016 年 2 月に遡る。 U は施設では、はじめアルバイトのような形態で働いて、頑張って働いて職員になったのです。次第に不平不満を U が何故言うようになったのか知りませんが、バッシングや虐待が施設利用者にあったようです。このようなことで、施設の管理者側も把握するようになり対処できずにいました。ここで、施設側は警察に相談しました。警察は U からの話を聞きました。結局、 U は施設を辞めましたが、そのときに施設に警察が待機して、警察に保護され、首長に報告され措置入院となりました。
措置入院になって病院で尿検査をしたら大麻の陽性反応がありましたが、警察には報告してなかったようです。病院ではどのような治療が行われたのかわかりません。ただ、大麻常習の薬物依存の治療は行われていませんでした。措置入院の期間は 12 日で、措置解除された後通院は 2,3 回くらいでその後の通院はなかったようです。通常、措置入院は自傷他害のある場合に、 2 人の精神保健指定医の意見の一致により措置入院となります。
通常近年では、長くても 1 年以内に措置解除になります。 SAM も措置入院になったことがあり、私の場合は 20 年前、4年間措置入院でした。私の入院していた病院は、私を除くと短い人で 20 年、長い人で 31 年措置入院をしている人が 12 名近くおりました。その当時、山口県は、鹿児島県についで措置入院の比率が全国で 2 番目に高かったです。私の場合、措置入院の後、医療保護入院、任意入院となり退院しました。ですから、入院期間は非常に長かったですね。このように SAM の場合、措置入院が 4 年と長かったので、私自身性根が入りました。服薬通院を守って地域社会で自立を目指して、生活訓練施設の援護寮に入所して、現在に至ります。
SAM が U の事をネットで調べ始めて、 U の人生の転落は大学 3 年くらいから始まりました。刺青を入れたのがこの頃で、友達も悪い影響を与える人との付き合いが目立ち始めました。 U は、父親が小学校の教員をしていたので、教員を目指して大学に行きました。案の定、刺青が原因で教員にはなれませんでした。大学を卒業後、職を転々として知的障碍者の施設で遣り甲斐を感じて働いていましたが、障碍者蔑視と抹殺をもくろんだようです。施設を辞めたと同時に警察に保護され措置入院になってから、 U が障碍者蔑視と抹殺をもくろんでいたのが精神病からなのか、テロリストのように危険思想を持ち始めたのか SAM には理解できませんでした。
2016 年 8 月 3 日 YOMIURI ONLINE yomiDr. で佐藤記者の「新・精神医療ルネサンス」
「 U 容疑者はそもそも精神疾患なのか ? 」 記事で次のような内容の文章がある。
『「ヒトラーのような危険な考えを抱くこと=精神疾患」ではない。精神疾患は通常、脳機能の一部に病的な変化が起こって生じるものと考えられるが、障害者蔑視などゆがんだ考えは病気の有無と関係なく生じるものだからだ。「殺人行為 = 精神疾患」でもない。世界各地を恐怖におとしめているテロリストは、著しくゆがんだ考えに基づいて一般市民を殺傷する。だからといって、それだけで精神疾患とはいえない。』
私は CIL 下関の新人研修でよく話すのは、精神障碍者が起こした事件で、その当事者に問題があるのに、社会の人々は精神障碍者全体を危険視するのはよくないことだと話して、新人職員たちに精神障碍者はほとんどの人たちが社会の中でひっそり穏やかに生活しているよと伝えるようにしています。 U の施設襲撃事件で精神障碍者の措置入院退院者を締め付ける政府の対応はいかがなものかと思います。ある精神障碍者が事件を起こすと何でもかんでも精神障碍者は危険で怖いと精神障碍者全体を蔑視すること自体がおかしな考え方だと考える力を身につけて欲しいと思います。そうしないと、これまで精神障碍者の病院から退院して地域移行に向いた流れが元の木阿弥となります。
以前、ソ連やフランスなどでも体制に反する危険思想の持ち主を精神障碍とみなして、強制的に隔離入院させた時代がありました。このように「危険思想と精神障碍」は体制の諸刃の剣です。よく考えて、対策を考えないと危険思想も妄想性障碍みたいに診断されて措置入院させられたら、精神障碍者蔑視はますます過激に権力を乱用されるのではないでしょうか。
【編集後記】
措置入院から措置解除、社会復帰施設で自立の訓練、一般就労、地域で自立生活、その後当事者の妻と結婚して、地域移行した SAM は U の起こした施設襲撃事件を事件後ネットでつぶさに観察しています。 SAM は、この事件で精神障碍者、措置入院解除者の締め付けが強くなるなと考えていたら、案の定締め付けが強化されました。 U を精神障碍者か危険思想の持ち主かで今後の対策は変わってくるのかと思っていたら、流れは「殺人行為 = 精神疾患」と言うものになりました。この事件の検証対策の委員会で当事者を一人でも入れてくれたらなと考えるのは SAM だけでしょうか ?SAM は自身が措置入院経験者なので気づくことがあります。凶悪な事件が起こると、再発事件がないようにますます締め付け、社会蔑視は加速されます。少なくともここに一人措置入院経験者が 20 年かけて地域社会で結婚して穏やかに生活しています・・・・・・・・・・・長い時の壁を経て・・・・・・・・・・・・・
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