|
メンタルにゅーすヒエダ Vol.399 「滝山病院問題への取り組み 」 |
2026 年 5 月 1 日 Vol.399 CIL (自立生活センター)下関発行 ピア・ハート下関(精神自助会) 編集 SAM TEL(083)-263-2687 FAX(083)-263-2688 E-mail s-cil@feel.ocn.ne.jp |
滝山病院問題への取り組み
NPO こらーるたいとう
加藤真規子
2023 年 2 月 15 日、 NHK 「ニュース7」は、東京都八王子市の滝山
病院が患者さんへの職員の暴力の問題で捜索を受けたことを報じた
。事件発覚以前から滝山病院は、死亡退院率が 6 割を超え、「死な
ないと出られない病院」と知られてきた。
2023 年 10 月 3 日、私たちはいろんな人と誘い合って滝山病院に申
し入れ書を持って滝山病院へ行った。看護の方たちは、「患者さん
の最後の看取りをすることがそんなにいけないのことなのか」とい
う。よくしてもらいたくて精神科を使う立場からすれば、最初から
そういう意見がまかり通ることは非常に恐い。
2023 年 10 月 10 日、八王子市、東京都と厚生労働省に合同共同行
動として、申し入れを行った。都議会議員や国会議員の方々に理解
し協力してもらうために集会を開いてきた。 2023 年 11 月 22 日、「
滝山病院事件を放置しない!入院者の地域移行をすすめよう!」都
議会内集会を開催した。国連障害者権利条約を踏まえて、制度や法
律を変えていかなければならない。
「人はひとりでは生きていけない」「孤独ほど命を脅かすものは
ない」ということを、私に教えてくれたのは、「癌」であり、空気
を吸うように全くあたりまえのものと思っていたおしっこやお通じ
の営みだった。逆にいえば、人工透析をしている人、心臓や高血圧
の病気がある人を殺すことは簡単なことなのではないかというおそ
れを覚えた。「自己決定の尊重」や「尊厳死」「安楽死」の意味が
命の切り捨てに繋がってしまった今の在り様は要注意であり危険だ
。「生きよう!」という説得のほうがどれほど有難く、嬉しいかわ
からない。
厚生労働省と東京都へ、滝山病院事件のあと、陳情を重ねてきた
けれど、答えというか対応はいつも同じようなものだった。精神障
害者や知的障害者は、「生かさず殺さず」に処遇しておればよいの
だと考えているのだろうか。明らかに診療報酬の不正請求をした場
合は、保険医療機関の指定取り消しという行政処分を行なう。
旧滝山病院の死亡退院率が 80% と聞くと、「異常だ!」と思わな
いのだろうか。治療内容や治療環境、看護の接遇、食事の内容等医
療の中身には危惧することばかりだ。しかしこうした医療の中身に
ついては、厚労省は「監督はそれどれの自治体の責務であり、役割
だ」と答えている。
2024 年 5 月にも 20 数名の方が死亡退院している。 2024 年 3 月 1 日夜
、「滝山病院問題は終わらない」と都庁前行動を行った。こんなに
死亡退院が多いのは何故だと疑義があった時、一刻でも早く退院支
援なり調査が進まないと亡くなってしまう方がいらっしゃると思わ
ないのか。調査に 1 年、 2 年かかるという話ではなく、あるいは監査
にいくかどうかではなく、命にかかわる問題であり、人間の尊厳の
問題である。
一方東京都は、「医療の安全性については、厚労省が一義的に調
査する」という。また医療法では、死亡退院の有無は厚労省にあが
ってくる場面はないそうだ。
病院という専門性の最も高いところにあって、命を預かり病気を
治療する場所に対して、東京都も踏み込まない。「専門的な機関に
対して、行政がとやかくいうべきではない」「退院させました。死
にましたでは困るんだ」という。
3
国は国で、死亡退院の高さを「それは知らなかった」「関知して
いない」といい、東京都は東京都で、「生かさず殺さず」のような
姿勢である。どちらも公的機関の役割を放棄してしまったのか。
あくまでも東京都も厚労省も診療報酬の関係からしか調査に入っ
ていないという。医療の中身こそが重要なのに。精神医療が劣悪な
状況が改善しない構造が明確になってきた。宇都宮病院でさえ存続
している日本の精神医療だ。国連からの総括所見の中でも、「日本
の精神科病院における死亡事例の原因及び経緯に関して徹底的かつ
独立した調査を実施すること」が勧告されている。死亡退院に対す
る厚労省や東京都の態度は決して許されるものではない。
旧滝山病院の一番問題になるのは、患者虐待を起こすような病院
で透析医療がまともに行われているのかという点だ。そういう病院
に透析医療を任せていたということも行政の責任だろう。救えた命
が劣悪な環境の中で死亡してしまうような事態が起こらないような
医療現場を保証していくにはどうしたらよいのだろうか。
旧滝山病院は死亡率、死亡退院の多さが顕著であった。生活保護
の受給率が非常に高いこと。非常に広域で四国地方や九州地方から
も入院している人もいるそうだ。そして任意入院の高さ。任意入院
で入院しているのであれば「退院したい」といえば退院できるはず
だ。なぜできないのか。任意入院だけれど閉鎖処遇だったのだろう
。こうした治療体制、医療体制の空洞化が長年放置されてきた。
精神医療も一般医療の中にいれるべきだ。訴えても精神病のある
人・精神障害者の訴えは、制度的・実質的に差別され、まともに聞
いてもらえない。長期の入院は重大な人生被害をもたらしてきた。
強制入院制度を国連障害者権利条約は認めていない。
東京都が一昨年 5 月に、旧滝山病院の 71 人の入院患者さんの転退
院の希望を調査した時、 39 名の転退院の希望があった。そのうち 18
名の方々が転退院したそうだ。転退院を希望しながらできなかった
のはなぜなのか。原因の究明が重要だ。障害者権利条約第 19 条はも
とより、精神保健福祉法第 2 条の「国及び地方公共団体の義務」と
して、「精神障害者が社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加
をすることができるように努力する」との規定を順守する上でも、
転退院ができなかった原因を究明することが重要だ。
旧滝山病院に残っている方々を安心・安全な場所へ移行する。い
ったいどんな治療・支援を受けているのか、私は訪問したい。時間
をずるずるやっていて、その間に下手をすると腎臓の機能低下や、
感染症で亡くなる患者さんもいるのではないか。風化はさせない。