私は、服薬を守ることで15年間程状態の浮き沈みはあったものの入院しませんでした。
私は、結構真面目な方なので病識がなかったものの服薬だけは守っていました。それだからなのか分かりませんが入院するほどの状態の悪化はありませんでした。統合失調症を発病して、病状が落ち着いたときに主治医が、「この病気は、服薬を守ることで再発の予防や状態の安定化をしているので、長い付き合いになりますよ。」と診察のときに言われました。
山大付属病院で診察されて、はっきりと貴方は統合失調症です。そう告知されて、私は一生病院に入院かと思いました。山大に入院して保護室に一ヶ月くらいいましたが、ほとんど眠っていました。状態も少しずつ落ち着いてきました。イライラ感・不眠がとれて、自分のことを冷静に考えるようになりました。それが26年前の私の記憶です。
薬は、私にとってメガネのように生活の中でないといけないアイテムかお守りのようなものです。私は病気に罹患して、ひとつの救いは服薬を守れば、状態を持ち崩すほどのことはないので地域社会生活が可能なのです。それは、発病して1年の間に3ヶ月、うつ状態になって3ヶ月入退院をした後、服薬を守っていたら、15年間近く再発して入院しなかったことです。この経験により、服薬・通院を守っていれば、私は大丈夫だと自信を持ってその証明になると思います。
病気になって、26年間が過ぎ去ろうとしている今、私は様々なことを振り返ります。もはや、薬は私にとってなくてはならないものとなっています。1日に朝・昼・夕の食後の3回、眠前、頓服(調子の悪いとき)など服薬回数が多いので時々忘れます。それは昼食後をよく忘れることが多いです。精神科の薬は、高いです。しかし少しずつジェネリック薬品(薬の成分は同じで安価な薬)は広く精神科病院で使われています。前に、非定型抗精神病薬のリスパダールの液体の薬(効き目が錠剤より早く効く。)を1回だけ調薬してもらいました。薬価が高いので医療経済的に苦しいといって元の錠剤に戻してもらいました。服薬量は夜、眠前が一番多いです。
私は下関以外の精神科病院を退院して下関に来て、援護寮(社会と病院の中間施設)でのニュースレターの編集、CIL下関での障害者運動・「メンタルにゅーす」の編集などと忙しく仕事をさせていただき、これが天職だと実感でき、やりがいがあります。精神障碍を持って生きていくことは辛く・苦しいと時々思いますが、何とかボチボチ仕事をして穏やかに生活しています。
以前の旧薬と新薬の服薬感ですが、旧薬と違い新薬は副作用があまり感じなくなりました。また、少し新薬の方が症状を抑えるふんばりがあります。自分の副作用は眼球上転・手のふるえなどが在りますが薬の調整であまり目立たなくなりました。なんとなく調子が悪いときがあります。ああ今この症状や副作用があると冷静に覚知しながら自分で自分を受け止めていることができるようになりました。よく薬の乱用をする当事者がいますが私は主治医に頓服の用法・用量を聞いていますので、それにあわせて服薬しています。
旧薬では何ともいえない体のだるさやそのときの気分は思い出したくもないです。服薬している者でないと分からない気持ちがあります。それは実際に病気になって、服薬してみないと分からないですね。私は病院で保護室・大部屋と調薬しました。援護寮ヒエダで調薬、福祉工場で調薬、一般就労で調薬と少しずつ変えてもらいました。日中、仕事中に眠気がさすことがあったとき、減薬等色々な仕事・生活のステージで少しずつ調薬をしています。薬のことで感じたことを上手く診察のとき説明して、状態の収束に向かっていくように周りの人達に支えられたりしながら仕事・日常生活を送っています。
精神病の症状と薬の副作用のちがいがありますが、皆さんお分かりの人が何人いると思いますか。私はそれらの違いを本で読みかじっただけですが、ああなるほどと思いました。
私は、統合失調症になり便秘がひどくなりました。これは、非定型抗精神病薬に抗コリン作用が在りますので便秘も副作用です。統合失調症と便秘と関係があるとは発病した当時考えもしませんでした。また、冷静に考えてみてください。病気になって、水を飲む量がふえていませんか?これは抗精神病薬の副作用でのどが渇きますので水を大量に飲んでいることに気付きませんか?水を大量に飲むと病気になります。それは、水中毒です。場合によっては死亡することもあります。足がムズムズして歩き回ったりしませんか?目がつりませんか?メンタルにゅーすのVol.2「薬の副作用」、Vol.8「抗うつ薬の副作用」を見てください。色々自分の病気の症状、薬の副作用に考えさせられることも多いのではないでしょうか。自分の病気のことなので、また服薬している薬の副作用なので目を通しておいてはいかがですか?
連絡:「メンタルにゅーす」がホームページになりました。前ページの四角の枠組みの中のCIL下関のホームページのURLで閲覧できますのでお暇なときに目を通してください。
【編集後記】
私は、精神の病気と障碍を闇雲に勉強していたわけではありません。自分が生活訓練施設援護寮ヒエダ(病院と社会の中間施設)ではっきりと目的意識を持って入寮しました。その中で、私は絶対身に付けないといけないのが、服薬管理でした。服薬管理は、調子を崩さない状態の安定化と再発予防の効果がありますので大切なことです。服薬管理が出来れば再入院のリスクはかなり抑えることが出来ます。
私は援護寮で何が必要なのか、何を身につけないといけないのか、予め考えていました。そして、いずれは社会復帰して仕事をして、自立生活をするのだと心の中に潜めていました。自信はありませんでしたが、自分がやらねばいけないことを確実にこなしていきました。未来のことはまだ経験もしていないことです。考えすぎないように援護寮で確実に身につけていきました。何か悩み・トラブルがあれば、そのときになったときに考えようと思いました。自分の心を追い詰めないようにボチボチやっていこうと思います。
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