朝日新聞 平成21年9月 掲載
災害時要援護者登録わずか59人 (下関市)
下関市で、避難に手助けを必要とする災害時要援護者として登録されている人は59人しかいないことが分かった。当初は1千から1500人の登録を見込んでいた。24日の9月定例市議会一般質問で浦岡昌博議員(公明)の質問に市が答えた。
同制度は、介護保険制度で要介護や要支援の認定を受けた人や身体、精神、知的障害のある人、65歳以上の高齢者のうち、自力や家族の手助けだけでは避難の難しい人が対象。市は平成21年6月1日に登録受付を開始。希望者が自発的に申請し、自ら2人支援者を探して同意をもらうことを条件とした。
市は低迷している理由について「制度の周知が不十分。支援者2人選定に苦労したと考えられる。」と述べた。浦岡議員の「支援者選定のバックアップが必要では」との質問には、「(改善策として)支援に携わるボランティアを募集し、要援護者との間の仲介、マッチングをしていきたい」と答えた。
(asahi.com:災害弱者把握のリスト作り_マイタウン山口 2009年5月31日)
◆個人情報保護の壁
地震や水害といった災害時に、お年寄りや体が不自由な人で手助けが必要な災害弱者を把握するリスト作りが、県内の自治体で進みつつある。県の調査では、リスト作りの前提となる「要援護者支援マニュアル」を定めているのは今年1月現在、全20のうち9市町。早急な把握と対策が求められる一方、「プライバシーを知られたくない」という個人情報保護の壁が立ちはだかっている。
◆下関・周南は同意得て登録
菊川断層が縦断する下関市。昨年11月に「市災害時要援護者支援マニュアル」を定め、自力での避難が難しい人を把握するための登録受け付けを6月1日から始める。
「要援護者」は、介護保険制度で要介護や要支援の認定を受けた人や身体・精神・知的障害のある人、65歳以上の人らのうち、自力や家族の助けだけでは避難が難しい人とされる。市の見積もりでは対象者は最大5万数千人だ。
同市は、登録を希望する人に自発的に申請してもらう「手上げ方式」を採用する方針。だが、2〜5月に12回開いた住民向け説明会では「障害はプライバシーで、他人に知られたくない人もいる」といった意見が相次いだ。また、登録には、希望者自身が避難支援者2人を探して同意を取り付けることが条件となっているが、説明会では「支援者として要援護者を助けることができるか分からず、責任を持たされるのは困る」と話す人もいたという。
市防災安全課は「個人情報をいかに保護するかが、要援護者支援制度を作るうえで大きな壁となっていた。だが、まずは自発的に声を上げてもらうしかない」としている。
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要援護者支援への取り組みは、95年の阪神大震災で死者約6400人のうち半数が65歳以上の高齢者だったことをきっかけにスタート。04年に各地で起きた水害で、高齢者が自宅などに取り残される例が続発したこともあり、さらに拡大した。
こうしたことを受け、国の検討会は06年、要援護者の避難支援ガイドラインを作成し、各自治体に対応を促した。リストづくりの手法では「手上げ方式」に加え、民生委員など関係者が要援護者本人に直接登録の意思を確認する「同意方式」、本人の同意を得ずに防災部局や民生委員などが情報を共有する「関係機関共有方式」を示した。個人情報の問題について、内閣府の担当者は「個人情報の目的外使用は本人の利益になると認められる時には許される。あくまで自治体がどう判断するかだ」との立場だ。
07年7月の中越沖地震で大きな被害を受けた新潟県長岡市は、地震前に要援護者のリストを作成。これが効果を発揮し、地震発生から6時間後には登録者約3200人全員の安否を確認できたという。同市は同意方式でリストを作成しているが、要援護者として登録に同意した4381人と、同意しなかった1046人の両方の名簿を持っている。今後、災害が予想される時や発生した時は、消防団や警察署などと情報を共有し、登録していない人の手助けに役立てることにしている。同市福祉総務課は「プライバシーも大切だが、人命を優先することも重要。どの制度が最良かという答えはなく絶えず見直しが必要だ」としている。
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県防災危機管理課によると、県内では、下関市の他、山口、宇部、萩、防府、岩国、周南の各市と田布施、平生の両町でマニュアルが作られている。
県内で最も早く05年にマニュアルを整備した周南市も、リスト作りには同意方式を採用。今年3月末で、65歳以上で一人暮らしや75歳以上の世帯、身体障害者ら対象者の88%に当たる計9768人が登録されている。今年度から、同意していない人たちも災害時に支援できるように、社会福祉協議会などと情報を共有できるかどうか、検討するという。
【編集後記】
災害時要援護者登録では障碍もプライバシーと障碍者が反対しています。もともとこの援護者登録では支援者もボランティア、責任も問わないということをうたって支援者を集める形態でした。阪神大震災(1995年)で死者の6400人のうち半数以上が高齢者だったことをきっかけにスタートしました。予め災害時の準備しておけば、災害への対応も上手くいくのではないかと考えます。その後の、中越沖地震(2007年7月)では、要援護者の安否確認が6時間後にできました。私は、メンタルにゅーすヒエダの45号で「災害時の準備」を編集しました。下関市は災害時要援護者登録については、甘く考えていたのではないかと思います。下関市は、地震災害が少ない市です。要援護者が支援者を自分で探し登録するとなれば少ないのは当たり前のように思いますが、みなさんいかがですか・・・・?
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