メンタルにゅーす55 メンタルにゅーすVol.55

 

メンタルにゅーすヒエダ

 

統合失調症は

ありふれた

                病気

2010年  Vol.55

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

Tel(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL  http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/


 統合失調症のよく知られている症状は、幻覚と妄想です。妄想や幻覚は一見してわかりやすく、また症状として関心をひきやすいものです。

しかし、統合失調症という病気を理解する上で必要なのは、幻覚や妄想だけではありません。思考、感情、記憶などの精神バランスがうまく働かなくなった状態が、統合失調症という病の根底に存在しています。統合失調症とは、さまざまな心の動きをまとめ上げることができなくなった(情報を統合する機能が失調している)状態です。「失調」という言葉で直る可能性のある病気であり、一時的に調子を崩しているという病名呼称とも考えられます。

 統合失調症に罹患した人達が不幸なことは、以前の病名呼称が「精神分裂病」で、この呼称からネガティブなイメージがあります。「人格が分裂する。」「何をするかわからない。」「怖い。」など・・・・・・・。統合失調症の状態の増悪した患者たちは、ADL(日常生活動作:歯磨き、洗顔、入浴、着替え、髭剃り、化粧、身だしなみ等)ができなくなります。患者仲間を自分たちの目の前で見ていますので、怖いというより、病状が進行すると廃人のように私には見えました。私が入院していて患者仲間を見ていると治療が始まって少しずつ回復しているのが歴然と分かります。

私は過去4回の入院で、寛解状態のときある看護師が私に言ったことを覚えています。彼女は私に「通院と服薬だけは守りなさい。」と言いました。また、こうも言いました。「私たち看護師は患者さんたちが入院してくることで、一番悲しいことは服薬を守らないで調子を崩して入院する患者さんたちのことですよ。SAM、通院と服薬は守りなさいね。」と悲しい顔をした看護師さんとしばし話し合ったことを今でも私は覚えています。服薬を自分の判断で断薬や用法・用量を守らないなど乱用しないで、主治医の指示を守って下さいね、皆さん・・・・・・・・・・・・・・・・

 私が下関の生活訓練施設援護寮ヒエダで、生活を始めていろんな当事者に会いました。私は、彼らからピアサポートしてもらい今現在の私があります。病院、施設職員などのサポートもありました。彼ら職員の中には配置転換・退職した方などたくさんおられました。自分は、話したこともない知らない人から声援を貰ったこともあります。こんな私でも、何処かで誰かが見守ってくれる人達がいることに仕事のやりがいを感じます。私は今の仕事の障碍者運動やメンタルニュースの編集をボチボチやって続けていきたいと思います。

私は、小さな頃から社会から恩恵をこうむってきました。ですから、私は、私の統合失調症の経験を生かして当事者へのピアサポートをしていきたいと思います。社会への私の経験の還元をしていきたいなと考えています。それが私の社会へのお返しです。

 

お話を本題に戻します。1979-2000の「主な病気の患者数の動向」で見ると人口10万人当たりの受診者数をみると

第一位 高血圧性疾患

第二位 精神障碍

第三位 脳血管性疾患

第四位 新生物(ガン)

第五位 心疾患、感染症

第六位 肝疾患

 

100人に1人以上罹るような頻度の病気をCommonDisease(ありふれた病気)といいます。CommonDiseaseには、アレルギー、糖尿病、高血圧、統合失調症があります。

肝疾患が約72万人います。精神病の罹患者が今300万人くらい、そのうち統合失調症者が130万人くらいいます。

私は、これらのデータを見るまで統合失調症はめったに罹患しない病気だと考えていました。それだから運が悪かったなーと思っていました。いまは、病気と障碍に対処して仕事・生活をしていますし、服薬を主治医が続けるようにいわれるので、通院・服薬は遵守しています。

 

私は、統合失調症とは何かと考えるに

幻覚・妄想・思考やコミュニケーションの障碍、社会生活をうまく営めなくなること、などによって特徴づけられます。

(1)知識もある普通の人達の生活すべての過程を冒します。

(2)感覚をゆがめるので何が現実で何が非現実なのかわからなくなります。

(3)適切なサポートさえ得られれば統合失調症に罹った人もいかにして症状を治療するかを学ぶことができ、そうすることによって十分に快適に実りある生活を送ることが可能になります。

(4)たいていは、薬物で治療できます。

 

しかし、私は統合失調症と診断されて、長い道のりを歩いてきたなと、我ながらいろんな道をかいくぐり今の道へ歩き続けたなと思います。

 

【編集後記】

統合失調症を発病した28年前を思い出しています。何もかも投げ出して、自暴自棄になっていました。それは、私が自分自身で作り出した、自己破滅プログラムを走らせていたようでした。この28年間で制度も変わり、入院患者たちの待遇もかわってきました。病院の中に、患者たちの人権を擁護する委員会もあるようで患者への接遇を配慮しています。長く生きていると、制度も時間という薬でゆっくり変わっているようです。

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