メンタルにゅーすヒエダ
幻聴の対処法
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2005年2月 Vol.6
発行責任者 SAM
地域生活支援センターヒエダ
Tel(0832)-51-6161
FAX(0832)-51-6177
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今回は幻聴の受け止め方(=認知)の工夫を一歩進めて、「つらくなったときの乗り切り方、しのぎ方の工夫」についてご一緒に考えてみたいと思います。みなさんは幻聴が残存して社会生活をしている方がおられるかもしれません。私は幻聴と妄想が残存しており、一日に何回か間欠的にその症状があります。幻聴があるとイライラしたり、ソワソワしたり、集中できなくなったりします。また、病気の症状として認識して受容してないと幻聴に振り回されたりトラブルのもとになります。当事者自身幻聴の対処の仕方はいろいろあると思います。
対処法には様々な種類があります。イギリスの精神科医キングドンらが書いた「統合失調症の認知行動療法」(日本評論社)という本の中では、対処法を次の5種類に分類する考え方が紹介されています。
幻聴の対処法
1.からだを動かす・休ませる対処法
・ 受け身の気分転換(ラジオを聴く、テレビを見る、音楽を聴くなど)
・ 自分で行う気分転換(楽器をひく、日記を付ける、庭仕事をするなど)
・ からだを休ませる(寝る、リラックスするなど)
・ 体を動かす(散歩する、ジョギングする、泳ぐなど)
・ 飲んだり食べたりする
2.人と接触する対処法
・ 家族や友人とおしゃべりする、逆に人との接触を絶ってみるなど
3.受け止め方を工夫する対処法
・ 注意をそらす方法(楽しいことを考える、考えるのをやめるなど)
・ 押さえ込む方法(「考えないぞ!」「無視するぞ!」「静かにしろ!」と考えてみるなど)
4.医療資源を利用する対処法
・ 薬を飲む、主治医・看護師・ソーシャルワーカーと相談するなど
5.ちょっと激しい行動化をやってみる対処法
・ 叫んでみる、警察に相談してみるなど
とってもユニークな対処法
1.“タイムワープ&癒し系”対処法「子ども返り」
Aさんは幻聴の声が聞こえ始めるとハッピーで安心感に満ちていた子供時代(Aさんにとっては小学校高学年の頃だそうです。)を思い出します。そうするとホッとして心が和むとともに、いつの間にか「声」も聞こえなくなるそうです。
2.“ロマンチック&メルヘン”対処法「初恋の人」
Bさんは、不安になってくると初恋の人を想い浮かべます。初恋の人を想ってニッコリしているうちに、不安がやわらいでゆとりを取り戻せるそうです。
3.“誠実&求道系”対処法「健常者の対処法を考える」
Cさんは周囲のひとが自分の噂話や悪口を言っているように感じられてつらい思いをすることがありますが、そうした際に次のように考えてみるそうです。
「健常者でも、職場や学校などでたまたま自分の噂話が耳に入ってしまうことがありますね。そういうときには、その人はどう対応するだろうか?と考えてみます。多くの健常者はいちいち反応しないで聞き流して、相手が直接はなしてきたときだけとりあげるでしょう。自分も、直接話しかけられること以外は、なるべく聞き流して気にしないようにしています。」
【編集後記】
今回は医学的な幻聴の対処法の分類の5つと、とってもユニークな対処法を掲載しましたがみなさんいかがでしょうか。誰でもつらいことがあり煮詰まってくると自分にあった気分転換でストレスを解消しようとしますね。この「気分転換」や「ストレス解消」の方法が、対処法(コーピング)です。
人間は毎日の生活、社会活動の中で嫌な記憶を思い出す(フラッシュバック)ことがあります。何か良い記憶より、悪い記憶のフラッシュバックの方が多いのではないでしょうか?私はキングドンらの対処法は実際自分もやっているなと納得しました。また、ユニークな対処法で楽しかった子供時代、初恋の人を想い出すなどは初めてでした。試してみると、幻聴の時や嫌な記憶のフラッシュバックでも気分が落ち着いて楽になることを確認しました。みなさんもひごろ他の方が使って重宝している対処法を参考にしながら、ご自分の対処法のレパートリーを増やせるといいですね。
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