メンタルにゅーすVol.62

 

メンタルにゅーすヒエダ

 

差別・偏見・汚名

 

2010年  Vol.62

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

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FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

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 今回は、差別・偏見・汚名について考察しようと思います。その前に言葉の意味を確認してみましょう。

 差別〜差をつけて取り扱うこと。わけへだて。せいとうな理由なく劣ったものとして不当に扱うこと。

 偏見〜偏った見解。中正でない意見。

 汚名〜わるい評判。不名誉

人間には、悪い傾向があります。あるカテゴリーの人達に対して、少数の人達の言動で全体を決め付けた考えにしてしまうことです。カテゴリー全体を調べもしないで、全体を推計してしまうことです。統計学では、標本調査で全体の集合が多いときに、取り扱う手法に似ています。

 私は、統合失調症です。何故だか運悪くこの病気に罹患しました。兄弟・両親・親戚にしても、私が統合失調症(精神分裂症)と聞くと、私への対応の仕方が何だか理由もなく変わってしまいました。差別用語では、「キチガイ」と言いますが入院して寛解すれば退院できます。ただ、精神分裂症は、「怖い」「何をするかわからない」と世間では考えられます。こんなキチガイは一生病院に入れとけばいいと、みんなが同じ見解を持っていました。

私は、喜怒哀楽のある一人の人間です。人の痛みも分かり、涙も流します。だけど、私が彼らに何を言っても全くの無視でした。

 私が統合失調症に罹患したのは、私が悪いことをした因果応報でしょうか?私は病気になってしまい、様々なことを見聞きしました。私は、邪悪な存在なのでしょうか。それだから、この病気に罹患したのでしょうか。私は、40歳を過ぎてから、統合失調症を勉強しました。あれだけ荒んだ自暴自棄な生活をしてきた中に一筋の光が見えました。私が統合失調症に罹患したのは何も私が邪悪でも因果応報でも、その他あげられる全ての理由でもないことが分かります。私は、長い間自分を責め続けていました。

何が私にこの病気を与えたのか、私は20年近く考えていました。下関の援護寮ヒエダに入寮して、社会復帰を目指して3年間勉強しながら考えていました。私は、自分探しの旅を始めました。私は、ある時から自分探しは止めてしまいました。この旅は何の成果もありませんでした。ただ一つ、援護寮で様々な精神病で苦しみ悩んでいる人達が、自分を含めて社会復帰するために頑張っていることが分かりました。今でも、彼等寮生、指導員の職員が懐かしく思い出されます。自分だけ苦しいのではない、寂しいのではない、辛いのではない、無理をしないで頑張ってみようと思いました。大体が健全者の殆どが、病気というものの正体を知りもせずに、精神分裂症という漢字の意味から考えているようです。

私は、自分が発病したときに山口大学付属病院で主治医に精神分裂症と宣告されたときに自分はもう一生、精神科病院に入院していなければならないと、不治の病と思いました。

その段階で私は自暴自棄になっていました。今、時が経過して私が考える生き方は、アガムの法則(あせらない、がんばらない、むりをしない)で、病気と障碍には対処しながら生活すれば、何とか社会生活がしていけることを実感します。

私の周りでは、高校のとき皮膚ガンで亡くなった友達、社会人になって自殺した友達、前立腺ガンの先輩など、辛い生活をしている人がいます。統合失調症の私だけが辛く悲しく苦しいのではありません。いろんな問題を抱えながら、人々は生活をしています。私は、病気と障碍を抱えながら生きていくことは難しいです。でも私の知識と経験が、多くの病気の仲間たちに役立てることが出来れば、私はこの上なく幸せです。下関市の仲間たちの生活に病気と障碍の対処法が参考になれば、仲間の精神病を抱えた人達のピアサポートができればと思います。この「メンタルにゅーすヒエダ」というニュースレターの発信により、仲間たちの病気と障碍を持った生き方の参考になればと思います。

今、統合失調症(精神分裂症)と呼称が変わりました。いままでの、ネガティブな印象はなくなりました。しかし、私にとっても皆さんにとっても正体不明の病気です。ただ、明るい兆しがあります。服薬と通院を続けることにより再発のリスクは抑えることができます。みなさん、精神病は服薬・通院が大切ですよ。我々は、一人だけじゃないのです。仲間が皆さんの周りにいます。私は、統合失調症を持っていても、きちんと社会生活をできることをいろんな人達に見て欲しいです。そして、世間の人達にその証として生きていきたいです。私たち精神障碍者に、差別・偏見・汚名をもたれないように社会生活を続けていきます。

私は、ピアハート下関と言う自助会を仲間と共に数年前に立ち上げました。まだ自助会に参加する仲間は少ないです。しかし、この仲間たちは、皆さんの目指す病気と障碍を持った人かもしれません。私は、最近、病気と障碍が重度になってきました。残存した幻聴と妄想が昼間、覚醒時、ずっと続いています。しかし私は、対処して生活しています。

皆さん、自分の周りに自分の目指す仲間がいます。私たちは一人じゃない仲間がいます。

【編集後期】

 私は、超クソ真面目です。また、その上、責任感が強いです。それが、強弱を付けたり、怠けたりすることがあれば、病気にならなかったかと思います。

もう一つ、私は、プライドが高いので、泣き言を言いません。これも、病気を発病した原因の一つではと思います。様々のことに、強弱を付けて、手を抜くことが出来ればまた違った人生もあったかもしれません。差別・偏見・汚名で話を進めようとしましたがどうやら横道にそれたようです。ただ、この世の中、誰か一人は、貴方のことを心配して見守っている人がいるはずです。私は、そう思って生きています。また仲間をピアサポートできればと考えています。皆さんの近くに、CIL(自立生活センター)があるはずです。少し勇気を出してドアを開けて足を向けてください。お役に立つ仲間がいるかも・・・・・

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