メンタルにゅーすヒエダ
妄想
|
2005年4月 Vol.7
発行責任者 SAM
地域生活支援センターヒエダ
Tel(0832)-51-6161
FAX(0832)-51-6177
|
妄想とは、現実離れした誤った内容でありながら訂正不能の確信に満ちた考えのことです。妄想のことを自分自身で冷静に「病気の症状で起こっているのだ」と判断したり、周りの人の説明を聞く余裕がない人が多いようです。
私は症状の重い急性期のとき妄想があったことを寛解した今は、前後の状況を冷静に考えることができるようになりました。妄想だったと考えている今の自分の経験と、少なからず病識をもてるようになった今は、普段の生活の中で残存している症状の幻聴と妄想は有り得ないことで、「病気のせいで症状が起こっているのだ」と受け止めることができています。
代表的な妄想を以下にあげます。
(1)被害妄想
・ 関係妄想〜「隣に座った人が咳払いをしたのは私への嫌がらせだ」
・ 迫害妄想〜「ある組織に狙われている」
・ 被毒妄想〜「食事に毒を入れられる」
・ 憑依妄想〜「狐が乗り移った」
・ 物理的被害妄想〜「電波であやつられる」
(2)誇大妄想
・ 血統妄想〜「高貴な家の出である」
・ 宗教妄想〜「自分は救世主」
・ 恋愛妄想〜「自分は○○さんと恋愛関係にある」
その他、罪業・心気・貧困妄想などもある。
妄想の発生のしかたによって分類すると以下のようになる。
(1)
一次妄想
その発生が心理的に了解できないもの。
・ 妄想気分〜周囲の雰囲気が奇妙に変わったと漠然と感じる。恐ろしさを伴うこと
が多い。
・ 妄想着想〜根拠のないことを突然思いつく。「私は神の子だ」
・ 妄想知覚〜見聞きしたことに特別な意味を与える。「今すれ違った人が咳払いを
したのは、自分への嫌がらせである」
(2)
二次妄想
幻覚など説明するための妄想。「あれこれ声が聞こえるのは宇宙人の指令である」
(幻覚を説明するために宇宙人という概念が用いられる。)
[幻聴・妄想のメカニズム]
幻聴や妄想はどうして起こるのでしょうか。これはまだはっきりと原因が解明されていません。しかし、少しずつメカニズムがわかってきました。幻聴や妄想が起こっているときは、脳のドーパミンという伝達物質が普通より多く出ているようだと考えられるようになってきました。現にいろいろな研究が進んできて、幻聴や妄想を体験しているときには脳のある部分の代謝や血液の流れが普段より高ぶっていて、興奮したような状況になっていることがわかってきました。
【編集後記】
私が以前、調子が悪くなって幻聴や妄想が活発に発現していた急性期のとき再入院するはめになった大きな原因は、通院・服薬をしなくなったことです。よく当事者が調子を崩して再入院してきて、面会の家族からどういった経緯で入院となったか話をしたのを聞いてみると覚えていないと答えます。私に照らし合わせてみると多少記憶の欠落した部分はありますが、はっきり覚えています。
また、私の残存した幻聴と妄想はセットで発現します。通院・服薬を守っていれば症状の再発は薬によって予防と状態の安定化が保たれます。
当事者が再入院しなければならない場合には、その前にパターン化した状況があります。それらの中には通院・服薬をしなくなり、「不安・過労・孤立・不眠」がある、規則正しい生活をしない、食事などをとらないことがあります。普段から周りの人や家族に自分が調子悪くなるパターンがありますので、それらを確認しておき、自分自身でそれらのサインに気をつけて生活した方がよいと思います。私も含めて当事者は再入院したくありません。そう考えるなら、どういう生活をしていけばよいか具体的に考えてみるとよいでしょう。
トップページに戻る