メンタルにゅーすVol.81

 

メンタルにゅーすヒエダ

 

病気と障碍の克服

 

2011年  Vol.81

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

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FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL  http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 私が病気と障碍について勉強しようと考え始めたのは、下関に来た生活訓練施設援護寮ヒエダに入寮したときでした。それまで、私は精神病についてなぜ勉強しなかったのか、今考えると不思議に思います。援護寮ヒエダに来る前に、本を買って援護寮のことを色々調べていました。そして、援護寮ヒエダで、精神病関係のことを色々勉強したのは、私にとっては、自分の人生をやり直すにはいい機会でした。現時点で、私が精神科病院を入退院したのは4回です。3回目の入院が4年近く入院していましたので、私は、こんなに長く入院したのは初めてでした。この入院で私は、精神が叩き直されました。本当に、私にとって思い出深く、色々なことを考えさせられる入院生活でした。本当に、本当に私は鍛えられました。この3回目の入院で、病気と障碍を持って生きていくこと、社会生活をこれから続けていくことについて、反省することもありました。こんな、過ぎ去ったことを考えると、ブルーな気分になります。私は、色んな経験をしましたがいつもただでは起き上がりません。私は、たくさんの経験を元に、これからの未来に向かって立ち上がりました。

 私は、過去を振り返ることが多いです。それは反省になりますが、私をフリーズさせてしまいます。未来に向けて明るい兆しであればいいけど、思い出すたびに後悔しっぱなしで、私にとって辛い思い出です。ただ私は、3回目の入院で幻聴の克服について実験のようなことを行ないました。私は、患者の中でAさんと言う人が嫌いでした。その人が私の悪口を1日中誰かれなく言っていたのです。このことを主治医に診察のとき話しました。主治医がそれは、幻聴だよと教えてくれました。それは、統合失調症に多い症状です。普通は抗精神病薬の服薬で症状は取れるのにSAMは残存しているんですねと話を聴いてくれました。もう一つ、私は頭の中から色々な考えが湧いてくるように被害妄想がありますと言いますと、それも統合失調症に特徴的な症状だと教えてくれました。このことから、私の幻聴の実験は、嫌いな人(A)の声とそっくりなので、本当に私の悪口を言っているのだと思い違いをするほど似ている声でした。ある日、1日中Aを見張っていました。彼は新聞を読んだり、本を読んだり、昼寝をしていたりしていました。部屋の中に彼一人のときで、彼が眠っていたとき私に幻聴がありました。これで、私はこの症状は幻聴だと明らかに証明が出来ました。このことから、私のもう一つの症状の妄想も、病気の症状なのだろうと推測がつきました。

 3回目の精神科病院を退院して、援護寮ヒエダに来てから残存した幻聴と妄想は続いていました。私は、ソワソワし、落ち着きが無く歩き回りはしませんでしたが、辛かったですね。明らかにありえない幻聴と妄想は症状として自分には感じるものでした。これらの症状に対処をする方法を考えないといけないなと思いました。私は幻聴と妄想の2点を除くと他に症状はありませんでした。ちゃんと援護寮ヒエダでも幻聴と妄想の実験はしてみましたが、同室の人に「今私の悪口が聞こえますが、貴方は聴こえますか?」と尋ねましたが「いや聴こえないよ。」と教えてくれました。これで安心しました。まだ、援護寮ヒエダに来た頃は、一日に何度か間欠的にありました。4年前、4回目の入退院では、幻聴と妄想が覚醒時、1日中ありました。唯一、眠っているときは夢でしたので、それはそれで、夢を楽しんでいました。

4回目の入院中も幻聴・妄想がありましたが対処していました。退院後での生活では、たった3ヶ月の入院でしたが施設症(ホスピタリズム)になり、幻聴と妄想に悩まされましたが、心の中で「大丈夫、大丈夫」と呪文を唱えていました。周りの人が怖くてたまりませんでした。昼間、仕事に行くことが唯一の楽しみでした。職場の仲間が私の職場復帰に迎いいれてくれて嬉しかったです。

 4年前の4回目の退院から、私の残存した症状の幻聴と妄想は重度化しました。以前は昼間、間欠的に症状がありましたが、今は覚醒時ずっと継続して幻聴と妄想があります。まだ慣れていませんが、何とか対処しています。

 ところで、当事者の皆さんのなかで診察のとき「調子が悪い」と主治医に言えないことはありませんか?「調子が悪い」といえば、入院させられるから主治医に話さない人はいませんか?私は、調子が悪ければその通りに言います。そして、調子悪いけど何とか対処していますと最後に言います。

私は最近、病気が重度化しています。退院して社会生活に慣れるのに心配していましたが、何とか対処して生活しております。4度目の退院をして、1年後に結婚してから少しずつ病状が落ち着いてきました。二人でお互いにサポートしながら、何とか仲良く生活しております。人生は山あり谷あり、楽あり苦あり順境な時も逆境な時も、色々なことが私たちにあるかもしれませんが二人で力を合わせて、病気と障碍に向かい合ってちょっとだけ頑張ります。

 

【編集後記】

 自分で納得してしまうのですが、病院で入院しているときに統合失調症の病気とか対処の仕方とか退院するに当たり教えてもらったことがありません。時々、健全者の看護師に相談します。しかし、彼等のアドバイスには、病気と障碍を体験してないので頓珍漢でよく分かりませんでした。患者側としては、速く退院することに気を取られていますので、心は退院して何をするか色々考えていました。病院で退院するに当たり、退院プログラムがあればいいなと思います。患者としては有難迷惑と思う人が多いかもしれませんが、そういうことを教えてくれればいいなと思います。そういったことは、医療と福祉のスペシャリスト(PSW)や社会生活している当事者などから、そんなプログラムがあればいいなと本当に思います。例えば、病気、病気の予後、調子の悪くなるパターン、対処法、服薬・通院の大切さ、制度(訪問看護、精神ホームヘルプ)等・・・・・

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