私は、CIL下関で働いてもう9年が経ちました。私が統合失調症を罹患してから29年が過ぎ去りました。良いこともありましたし、悲しいこと・辛いこともありました。下関に来てからの11年間は大変貴重な時間を過ごしました。私は、健全なとき社会人として5年間、会社勤務をしていました。自分が自分の力で働いて生活(金銭的)していると思っていました。これを「自活」といいます。一方、障碍者は自分のことをすべて全うすることができません。それで自分の出来ないことは介助者にしてもらい、自己選択・自己決定・自己実現・自己責任を担って生活することが「自立」といいます。私は時々、次のような言葉を使います。「人間は生きているのではない、生かされているのだ。」自立して生きていることとは、宗教的な発想かもしれませんが「生かされている」と考えて生きています。神様は、私に何らかの仕事を与えて、社会の中で生かされているのだとも考えています。
歳をとっていくに従い謙虚な生き方を過ごしています。だから、何か仕事をすることで社会に役に立つ仕事を援護寮ヒエダにいたときに様々考えていました。時々、仕事を探しに援護寮の職員には黙って下関のハローワークに通っていました。私が仕事について考えていたのは、病気をオープンにして働こうということです。今までクローズで働いていて調子が悪くなったとき、仕事を休んでいたら会社を首になることが何度かありました。それで病気をオープンにして働いたら、こんな私でも働けて社会のために同じ仲間の精神障碍者のお役に立てる職場があるのではないかと、淡い期待をしてハローワークに通い続けました。私自身に都合の良い職場はありませんでした。半年、1年ハローワークに行っても仕事はありませんでした。諦めないで3年目を迎えるときにCIL下関が精神の当事者の求人を出しているのを見つけました。CIL下関の代表Kは私の知り合いでしたが、彼に迷惑をかけるといけないので他の仕事を探していました。私は、今まで知り合いの紹介で仕事をしていましたが、調子が悪くなって仕事を首になったり・やめざるを得なくなったことがありました。それで、CIL下関の代表Kに自分の気持ちを伝えて、面接を受けました。自分を入れて面接は5人くらい受けたようでした。私は、たまたま運よく採用が決まって、現在に至ります。そして、勤続10年目を迎えることになり、振り返るとよく仕事が続いたなーと思います。私は、焦らない・頑張らない・無理しないことで、仕事をしてきました。また、CIL下関は、障碍者を主体とした団体でしたので、私のような精神に障碍が有る者でも何とか仕事を続けることが出来ました。
精神障碍も様々な障碍の一つで、本人や周囲が十分に障碍の特性を理解し、環境を整えていけば当たり前に仕事をして暮らしていけることの証(私の今の現況が)と皆さんも考えていただけたらなと思います。
私は、統合失調症を発病して29年が経ちました。長い年月が過ぎ去りました。今は、仕事も生活も順調です。私みたいな人間でも、病気と障碍を抱えても何とかやっています。自暴自棄にもなりました。辛いときもありました。人生とは、晴れた日、曇った日・雨降りの日・雪のとき、様々な天候があります。私は、長い年月をやり過ごして、今を生きています。たくさんの人達がその時々に知り合い・別れの繰り返しです。それらが過ぎ去って、私は52歳になりました。まあ何とか今まで生きてきましたので、私に与えられた仕事は、まだまだたくさんありますしそれらの仕事をクリアするまで、今の仕事を続けないといけません。焦らず・頑張らず・無理しないで仕事を続けていこうと思います。
今振り返ると、下関の精神障碍者の福祉工場(ひえだランドリー)で以前知り合った同僚のFさんには、今もお世話になって時々会って馬鹿話をしております。彼には私はすごく支えられています。私と彼は一回り違う同じ十二支のいのしし年です。私が何か問題を抱えたとき、辛いとき彼の顔を見に行くとホッとします。現在は福祉工場も名称が変わり「ひえだファクトリー(ランドリー)」になりました。この施設で働くFさんに時々会いに行きます。彼と知り合って11年になります。彼との付き合いは続いています。これからも、互いに長い付き合いをしていきたいと考えています。
今私は、CIL下関で毎日忙しく仕事をしていますが、職場の皆にもサポートしてもらっています。時々私の状態が悪くなり心配と迷惑をかけています。いつも毎日、お世話になっております。いつまでも、長く同僚と共に仕事を続けていきたいものですね。
話は変わりますが私が結婚して、妻に教えられることがあります。彼女には、人の話をするときはいいことの話をするようにして、人をけなす悪いことの話はお互いに我慢しましょうとよく言われます。聴く方は、けなす悪い話は気分が悪いです。人をほめる良い話は、聴いていて気分がいいです。妻には、教えられることが多いです。
【編集後期】
自分の周りの人達が、時々人の噂話・悪口など話しているのを聞くことがあります。私は人の非難の話をすると決まって幻聴・妄想がひどくなるので、そのようなことを話さないように気をつけています。人間は完全完璧ではありません。対人関係は、失敗を繰り返しながら学習しています。私は、何度も失敗しましたが、その対策として周りの人達と会話をしなくなりました。そうして、孤立してきたのだろうと思います。これは、私の性格だと思っていました。統合失調症の勉強をしていくうちに、これはどうも病気の症状ではないかと考え始めました。例えば、会話の空気が読めないし、突然話しかけられると答えられなくなります。臨機応変な対応が出来なくなります。これらは統合失調症の病気の症状です。統合失調症とは、さまざまな心の動きをまとめ上げることができなくなった(情報を統合する機能が失調している)状態です。なんでも、病気と障碍のせいにしていると皆さんは考えるかもしれません。私は、統合失調症と共存して生きていくために病気や障碍と向かい合っています。闘いはしませんが向かい合っています。とりあえずそうして、自分を守るために幻聴や妄想を頭の中で働く部分をシールド(遮断・囲い込みして防御する)しています。私は暇を見つけては幻聴・妄想を薬の力も借りて完全には無理ですが、シールドの練習をしたりしています。私は、完全完璧な人間ではありませんので失敗しながら学習しています。私にとって大事なことは、様々な経験をすることです。そして、自分の行動に対して自己責任を取ることが私に様々の行動をとる度に経験させられ、次こそはと次のステップへのエンパワメントに繋がってくれればいいなと思います。そして、学習します。たった1回の人生だから自分で考えて自分だけの人生を全うしたいですね。
トップページに戻る