メンタルにゅーすVol.85

 

メンタルにゅーすヒエダ

 

残存症状と私A

 

2011年  Vol.85

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

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FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL   http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 私には残存症状があります。それは幻聴と妄想です。幻聴は頭の中で作られた、耳で聴こえるように感じる音や声です。幻聴は、私への悪口を言っています。妄想は、被害妄想が多いです。妄想は、根拠がない誤った考えで、説得をしたり誤りを指摘しても考えを変えることは出来ないのです。以下に私が残存症状として体験した幻聴と妄想の内容をまとめます。

1.   幻聴

内容〜悪口を言われているような感じがする。

    声質が自分の知人のような声がする。男性であったり、女性であったりします。

*自分の嫌いな人

*噂好きの人

    自分の周りで話している人のグループが私の悪口を言っているように感じる。

    人の集まる所(デパート、駅、飲食店、市役所、銀行、病院、バス、電車etc.)だと聴こえることが多い。(自分の知らない人の声で悪口を言われる)

    声は普通の大きさだが、拡声器で怒鳴ったり、囁くような大きさだったり、遠くだったり、近かったり、支配者のような命令する声の場合もある。

    自分しか知らない誰にも話してないことで悪口を言われる。

    TVやラジオの音・声で自分のことを放送している悪口が聞こえる。

2.   妄想

内容〜被害妄想、非難されているような感じで訂正不能

    頭の中から次々に考えが湧いてくる。

    バスや電車、飲食店で偶然隣同士の人が対象となる。

    以下のこれらのように感じてしまう妄想もある。

*誰かに監視されている。

*食べ物に毒が入っている。

*自分は神だ。

*自分は救世主だ。

*自分にはテレパシー能力(人の考えていることが分かる)がある。

私が、幻聴・妄想と自分で感じ分かるので対処しています。それらに巻き込まれること・振り回されること・引き込まれることは、今はありません。どうしてなのでしょう。私にも分かりませんが、3回目の入院のとき主治医や看護師達が私の状態が寛解状態であるときに、声・音が聞こえる、妄想と思われる症状などが自分にあったときに、それらは幻聴・妄想だよと教えてもらいました。

そして、幻聴・妄想の実験を自分でしてみました。私の嫌いなHさんが私の悪口を言っていると思ったときに、彼は一人で本を読んでいました。私の食事に毒が入っていると妄想があるときは、病院の食事がセルフ(自分で食事を選ぶこと)で選ぶので、毒が入っていたら特定の私に毒入りの食事を選ばすことは難しく、その前に他の入院患者が皆死んでしまうでしょう。病気のせいで幻聴と・妄想があるのだと、自分でも納得しています。この頃、わたしの状態も安定してきて少しずつ自分の置かれている現実の認識が出来るようになりました。まだまだ、幻聴と妄想の対処の仕方は分かりませんでした。

山陽小野田市のA精神科病院を退院してからその足で下関市の生活訓練施設援護寮ヒエダと言う病院と社会の中間施設に入寮しました。しばらく、幻聴と妄想がMAXでしたが1ヶ月もすると落ち着いて1日に間欠的に症状がありました。通院は稗田病院で、幻聴と妄想の残存症状があると主治医に話すとセレネ−スからリスパダールの新薬に移行しました。新薬は副作用が小さく良く効くと聞きました。リスパダールはセレネースより踏ん張りがあり、残存症状や副作用を自分で我慢できるようになりました。しかし、幻聴と妄想はリスパダールでも消えてくれませんでした。昼間は福祉工場のひえだランドリーで、週3日働いていました。時々、薬の副作用で目が釣ったり(眼球上転)、手が少し震えたりしていましたが薬の調整で治まりました。私は、統合失調症の妄想型だそうで幻聴と妄想に対処ができれば、地域社会での生活が可能だそうです。そう、A精神科病院の主治医も大丈夫だと言われていました。

【編集後記】

統合失調症を発病した29年前を思い出します。あの頃、病院に入院しても、病気・障碍のこと、予後・対処の仕方、ADL(日常生活動作)、生活技術(調理、服薬管理、金銭管理、掃除、洗濯etc.)など身につけて地域社会で当事者が自立生活をすることができるなど誰も考えもしないことだったように思います。私は、何故仕事が続かないのか、身体がすごくだるいのか分かりませんでした。病気の症状と障害、副作用が三つとも病気の症状と思っていました。残存症状の対処の仕方とか、私は発病して20年後、援護寮ヒエダに来てから当事者仲間に教えてもらいました。15年位前から、病院では障碍者を医療モデルと見ないで、社会モデルと障碍者を捉えています。入院患者の接遇についてもここ15年ぐらい変わってきました。たぶん、精神保健福祉法の成立(1995年)くらいから精神障碍者を社会モデルと考えて病院・施設でも接遇・支援しています。障碍者にできないことは、介助者にサポートしてもらい自己決定・自己実現・自己責任を考えて自立生活をする当事者も少しずつ増えてきました。掃除をするのに40分かかるのなら介助者に頼み10分でできて残りの30分は当事者のやりたいことに有意義に使うほうが当事者には良いことではないでしょうか。ようは、当事者のできないことを減点方式で評価するより、出来ることを加点方式で評価していけば、病院の主治医・看護師・PSW、施設職員の当事者への接し方・考え方も変わっていくのではないでしょうか?私は、病院に診察にいくと職員の声かけが本当に嬉しいのです。病院職員の皆さん、いつも声かけ有難うございます。

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